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星野3

【ネタバレ祭り】星野、目をつぶって。名シーン10選



※本記事はネタバレしかありません。

星野、目をつぶって。をまだ読んでいない方はぜひ全巻読破したうえでこちらを読んでいただければと思います。


こんにちは。今回は漫画作品「星野、目をつぶって。」の良さを紹介すべく、このような記事を書かせていただいております。上に書きましたがネタバレしか書いてません。まだ全巻読んでいない方はただちに読破してからこちらを読みに来ていただけると嬉しいです。


既刊11巻、週刊少年マガジンで連載中の漫画です。私ね、最近はこの作品にすっかりお熱でして。ど~~~~~~~~しても、この漫画の魅力を伝えたい!と思いまして、ネタバレ覚悟で「好きなシーンベスト10」を敢行することにしました!
ですので何度も言いますが、ネタバレに次ぐネタバレのオンパレードです。まだ全巻読んでない方は(ry


ではさっそくいきましょう。10位から順番に紹介!



10位:第10話「と、或る人が云っていた。②」

『気持ち悪い何もかも 俺も』

小早川がどうして”こう”なったのかを知ることができる話です。まず、星つぶの大きな魅力のひとつとして、”明かさない”ということが挙げられると思います。
普通の作品はたいてい、こうしたキャラの造形にかかわるような過去などは、特にラブコメなど人間関係に重きを置いた作品においては特に、誰かに語りかけるという形で明かされることが多いと思うんです。なんらかのきっかけで主人公だったり近しい誰かだったりに、話し出す。そこから回想シーンに入る。というのが鉄板とも言えるパターンですよね。

ですが、星つぶはそうしないんです。明かさないんです。話さないんです相手に。だから相手からはどういった経緯があるのかわからないんですが、回想は会話の中での心情描写という形で差し込まれるため、読者からはどういう過去なのかわかるんです。
これがいいんですよ!鉄板パターンがあるだけに、そういったシーンを見ると「あぁ、ここから過去が明かされて話が展開するんだな」と思うんですよ。でもそれが見事に裏切られるんです。「かぁーっこうくるか!」って。

また、話数を見ていただけるとわかるように、まだ序盤なんですよ。そんな序盤から、まだ完全に打ち解けているわけでもない相手にトラウマともいえるような過去なんて話すわけないじゃないですか。
先のメタ的な視点からの表現手法としてだけではなく、状況からも非常に説得力があるため、それも併せて非常に魅力的に感じるんです。地に足の着いた納得度の高い流れと、それを土台とした意表を突いた表現。これを文句なしに両立させられるのが、私が星つぶを大好きな理由のひとつです。



9位:89話「走れ!」

『・・・飛べねえと思ってやがるな・・・!?』

ここは第1話との対比となるシーンですね。これは「序盤で自分を助けてくれた=手を引いてくれたヒロインを今度は同じ形で自分が手を差し伸べる」パターンだといえると思うのですが、こういうの出されちゃうと無条件で好きになっちゃいますよね。笑
「いや飛ばんのかいィィ」という小早川のツッコミに笑ってしまって、私は初見時にちゃんと感動できなかったのですが、読み返せば読み返すほどじんわりと感動がやってくるスルメシーンです。最初はこのような逆パターンがくると思ってもみなかったので、やはりこのマンガはアツい!と改めて思いました。

あと、飛んだ小早川を見た星野が後から小早川のもとへ飛んでいくシーンがとても好きです。今度は助けられる側となった星野ですが、一人では踏み越えられなくても、小早川の力を借りれば。二人ならば越えられる。そんなメッセージを感じました。



8位:45話「半透明少女関係」

『隠すよ・・・私のこんな醜い心なんて』

こちらも10話と同じで、”明かさない”シーンです。実際には明かされて(というよりはバレて)いるのですが、「隠さなくてもいい」と言った小早川に対して心中でこう返すのです。明かさないんですよ。こういう時って普通はだんだんと明かす流れになってくじゃないですか。明かさないんですよ。いいんですよこれが。

このセリフからは「君のことが好きだから」というモノローグが続くのですが、好きな人の前では隠していたいっていう気持ち、すっごく普遍的なものじゃないですか。好きな人はありのままの自分を受け入れてくれたけど、それでもその人の前では”いい自分”を見せていたい。こちらのシーンも意表をつく展開でありながら、すごく説得力があるんですよ。
これのひとつ前の話が、松方さんの人となりというか、内に秘めたものが表れる!という終わり方なのですが、そのキャッチーなオチひとつで終わることなく、さらにこんな良さみあふれる展開を持ってきてしまうわけですよ。一体どういうことですか!?(謎ギレ




7位:14話「ないものねだり」

『・・・こんな勝負に・・・何の価値もない・・・?』

みなさんにご報告があります。星つぶってね、俺ガイルなんですよ。

やはり小早川の青春ラブコメは間違っているんですよ。

私は俺ガイルが大好きですし、もちろん似てる!パクリだ!という意図はまったくないんですけれども、このシーンは特に、俺ガイルの最も大きなテーマのひとつである「間違い」、それに近しいものを強く感じました。「あの人みたいにうまくやれたら」というのはきっと誰もが思うものだと思います。ああいう風にするのがきっと賢い、ああいう風にするのがきっと正しい・・・。
『私も・・・アンタもそういうのできないじゃん』と言った添島ですが、”正しいやり方”ができる綾香が楽しそうにプレイするのを見て、心が揺れていきます。彼女のほうが正しいということを添島自身もわかっているから。屈してしまいそうになる添島に「それは違う」と主張するのが我らが小早川。正しいとか間違ってるとかじゃない、何を貫き通したいかだ!
この作品は「変わる」ということはもちろんのこと、「変わらない」ということにもまた焦点を当てた作品です。登場人物ごとに窺える強い信念を楽しむことができるのもまた、星つぶの大きな魅力のひとつだと思います。は~青春。




6位:17話「絶望と欲望と男の子と女の子」

『三角関係なんて言葉で壊したくなかった・・・そのままがよかったんだ』

このシーンの魅力を語るために、他の作品のある文章を引用させてください。とても長い引用になってしまうのですが、すみません。

『俺は、俺なりにその想いを大事にしようと思っていた。もしかしたら、今でも告白すれば栞はうなずいてくれるのかもしれない。でも、今までよりもたくさんの時間を重ねて、ゆっくりと想いを育てて、自然に友達以上の関係になれたらと思っていた。~中略~俺と栞が大事に描いてきた絵は、もう俺たちの望んだ通りには完成しないのだ。~中略~形にしたくなかった二人の関係は、大人のせいで形を与えられてしまったのだ。』           君を愛したひとりの僕へ ―乙野四方字―

これは『君を愛したひとりの僕へ』という小説の主人公の独白です。栞というのは作中の登場人物。
ここでは形を与えているのが大人となっていますが、第三者からレッテルを貼られるという点で共通しています。最後の一文なんかはほとんど同じようなことを言っていますよね。
いま引用した文章は作中でも最も印象的かつ一番気に入っている部分なのですが、このシーンも同様です。アニメやマンガなどでも、たとえば「幼馴染という言葉では言い表せない関係」ってあるじゃないですか。腐れ縁という言い方もありますが、それはどちらかというと悪友みたいな印象で、全てをそう呼べるわけではないですよね。こういう関係だよ!そういう、こう、曖昧なままの方が心地いい関係ってあるじゃないですか!!

声に出すっていうことはつまりは記号化なんですよ。「あいつ、○○だよね」という人がいると、それが事実か事実でないかには関係なく「あいつは○○かもしれない」という可能性が生まれる。「あいつは○○かもしれない」と考える人が生まれる。ましてやそれを本人に言えば、本人は肯定するか否定するか、「○○なのか」「○○でないか」のどちらかを選んで表明しなければならないんです。だから互いに言わず、うやむやにしたままでなんとなく察しながら過ごすんです。なんて青春・・・。あまりにも青春・・・。本人たちがそれを自覚しているというのもまたいいです。





5位:86話「ペインキラー」

『俺だってわかってたよ・・・・・・』

この話の最後の演出が本当に大好きなんです。星野を諦めて帰ろうとする小早川に、後ろから松方さんが蹴りを入れるシーン。ここはマンガ的な表現が強い描写なので、実際に読んで該当のページを見ていただきたいです。
作中ではこのシーン、小早川が星野の元を去り、学校のみんなのところへ歩いていくような描かれ方をしています。そして直後にページをめくって出てくるのが靴の裏。松方さんが蹴ったよという表現ですね。ここですみなさん。

小早川にとってとても大切な繋がりとなった星野ですが、彼女を連れ戻そうとするのは自分のわがままなんじゃないか。新しい地で暮らすほうが星野にとって幸せなんじゃないか。葛藤の末、小早川は自分がどうしたいかではなく、星野のためにどうすべきかで結論を下します。彼女を置いて帰ろうとするのです。

ここの先生が本当にいやらしい!小早川と松方の二人共が来ていることは想定外と言っていましたが、狙ってたんじゃないの?と思ってしまいます。実際に小早川を慕ってくれる人を呼び寄せて、「ほら、君には他にも人がいる」と。「私と星野にはそれぞれお互いが必要だ」と。「だから私たちに比べたら小早川の事情なんてささいなものだ」と言っているように聞こえるんですよ。小早川を諦めさせるために、あの手この手で誘導しているように感じるんです。
その前の話で小早川の体育祭などでの活躍ぶりを指摘するところなんかは嫌味というか、冷やかしているようにすら思えます。「もう君は自分の居場所を手に入れたんだから、星野がいなくたっていいじゃん」とでも言っているようです。子供か先生!4巻の感動返せ!

脱線しました。先生のそうした誘導(?)に乗せられたのかはわかりませんが、とにかく小早川は星野を諦めることを選びました。そしてかけがえのない存在である星野のいない、自分の居場所へと帰っていく・・・。
そこに松方さんが待ったをかけるのです!足で!ここの漫画という表現を最大限活かした手法が良い。ここの部分、小早川だけでなく小早川の周りに集まる人たちをも蹴り飛ばしているように見えるんです。そんな仮そめの居場所なんていらない、というような。小早川を囲う人々がいるあの場所が上辺だけの存在だと言っているんじゃありません。いちばん大切なはずのものが欠けている、ということでしょう。

小早川と松方さんには共通点があります。それは美術部員であることと、「安息の地を探し求めている」こと。どちらも学校なんて、そこにいる人なんてくだらねーと思っていて、ゆえに孤独な日々を過ごしていました。同じものを持っていたからこそ小早川は松方さんの漫画(それも本人の最も核を突いた作品)に心打たれ、松方さんは小早川に惹かれたのでしょう。だから、そんな小早川に蹴りを入れられるのは松方さんしかいないんですよ!本当に求めてるものは違うだろと!いやあ、痺れました。





4位:47話「ざんげの値打ちもない』」

『楽しい私の毎日は 小早川のおかげだ』

この回は全「おれら」の胸を鋭く抉ったことでしょう。10話で語られなかった小早川の内面が、ここにきて明確に他人の前で明かされます。

ここまで小早川はいろいろな物事を他人の力を借りながらも解決してきて、それなりに自尊心を取り戻しているものだとばかり思っていました。それがここまで劣等感に苛まれていたんです。言われてみれば、過去の話でも小早川がなにか成し遂げたと実感している場面はなく、むしろ自分の無力さを噛み締めていることが多かった。合宿編なんかはその最たる例でしょう。

ここまでなのかと。多くの人が小早川のことを認めるようになってきて、加納と松方から好意を持たれていると(松方は作中で判明)して。それさえも受け入れることができていないんです、小早川は。
悲しくないですか?普通自分を好きだというくらい受け入れてくれる人がいたらそれで満たされるでしょう。でも小早川はそれさえも素直に受け取ることができないんです。ここまで第三者からの認識と自己認識にズレのある主人公もなかなかいないと思います。
高橋は十ナン年分の踏ん切りが付いたとまで言っていますし、鍔生には弓削先生が小早川に居場所を与えたのと同じだけのことをしています。そう私は思っています。それでも小早川の中ではなんにも進めてなくて、救われてなんかなかったんだなって思うと、すごく絶望させられます。ほんと悲しい。

また、ここで星野の感情がダイレクトに伝わってくるのがまた切なさに拍車をかけているんですよね!これまでに星野が小早川はすごいって何度も言ってるし、感謝と尊敬の念があることが伝わってきているんです。そんな風に思っている小早川が心情を吐露した直後の星野の表情。もう・・・切ない!!
その後「そんな・・・そんなことない 小早川は・・・」と否定しようとしますが、その先の言葉が続くことなくこの話は締めくくられます。こんな切ない終わり方があっていいのか・・・。

星野はこの話の中でも、最初と最後の2回「小早川のおかげだ」とモノローグで言っているんです。こんなにも感謝しているんですよ星野は。そこを踏まえた上でもう一度さっきの星野の表情をご覧ください。もう・・・切ない!!(2回目)小早川の絶望がそのまま伝染したのかと思うほど。
「ちゃんと感謝の気持ちを伝えればよかった」とか「どうしてそんな悲しいこと言うの」とか、そんな気持ちが伝わってきませんか?私は伝わりました、うんうんわかるよ星野!!(限界キモオタ)
だって!みんなもそう思うでしょ?そんなことないよ小早川って!星野が読者の気持ちを代弁してくれているんですよ。この瞬間私たちと星野はシンクロしたんです。そんなこと言うなよ小早川・・・お前はすごいやつだよ・・・





3位:22話「眠れぬ森の君のため②」

『今度はひとりにしない!』

めちゃアツい!少年漫画かよ!あ、少年漫画だったわ。
これはけっこうな同意を得られると思うのですが、私は挫折を経験した主人公がそこから這い上がるところが好きなんです。成長して克服して、もっとかっこよくなってほしい。この話なんかはまさにそれですよね。今の価値観を築いているといえるほどに小早川の根幹を成す出来事であった”忘れたい過去”、それに触れて一度は打ちひしがれるものの、星野の助言を受けて加納に宣言するのです。「やり直したい」と。


こういう表現は、成長をテーマのひとつとしている漫画にはありがちな表現なのかもしれないです。それでも私は小早川をかっこいいと思いました。過去の悪行だとかいさかいだとかは、実際にはなあなあにして時間が忘れさせてくれるのを待つことが圧倒的に多いでしょう。ましてや今回は被害者と加害者が明確に決まっています(小早川が直接害を与えたわけではありませんが)。そんな人と久しぶりに会ったとして、そんなことはなかったことにしてその話題には触れず、それとなく話すのが普通じゃないですか?それが悪いと言いたいわけではありません、私ももしそういった相手がいたらそうするんじゃないかと思います。私には小早川みたいなことはとてもできない。できないからかっこいいと思ったんです!

それにしてもこの回、すごく濃密なんですよね。トラウマに触れて打ちひしがれるシーンと、それを乗り越えてもう一度立ち上がるシーンが1つに収まっています。
普通の漫画、ましてや週刊連載だったら1週ずつで分けた(もしかしたらもっと引っ張ることもできるかも)としても全然不思議ではないはずです。しかも恋愛という、登場人物の心情に重きを置いたテーマです。たとえばジャージ女編をもっと増やして、その間にキャラの感情をゆっくりと動かしていくような展開となってもおかしくはないのではないでしょうか。

実際にそういう漫画はたくさんあると思いますが、この作品はそういったことがあまりありません。このように感じる部分は他の話でも確認することができ、星つぶがそれだけ密度の高い作品だということがわかります。パッパッと話を進めていくのですが、ただお話を進めていくだけではないのです。要所要所でキャラの心情が窺えるコマを配置して後の展開に繋げ、ポイントとなる話では1話単位での序破急がとても意識された構成にもなっています。

私の贔屓目があることは疑いようもありませんが、この漫画は物語としておもしろいだけでなく、漫画としての完成度も非常に高い作品だと思っています。





2位:48話「できっこないを やらなくちゃ」

『どんなに最低で最悪で 自分で自分が嫌いになるような奴でも』

ついにきた!!この話、この話です!!
私が「星野、目をつぶって。」と運命の出会いを果たしたお話がこれなんです!!

なぜこんな途中の話から入っているのかというと、コンビニで立ち読みしたからなんですけども。本当に偶然、気まぐれでマガジンを読んでみたらこの漫画が目に止まって、読み進めるとものすごく良い!!感動した私は、すぐさま書店へ駆け込み全巻購入したのであった・・・実際に買ったのは1ヶ月後くらいなんですが!w
そんな立ち読みでの私の感想はこうです。「正ヒロインが片想いキャラ!?」


私は片想いキャラに目がないのですが、この話の結末的に、どう見ても星野は片想いしてるんですよね。でもパッと見てすぐわかりますが、星野、正ヒロインなんですよ。いやこの漫画読んでれば誰もがそう思うでしょうけども。なんで正ヒロインが片想いキャラになってんの!?
・・・いや、「正ヒロインが主人公に片想いしてる」だけならまだ他にもそういう作品はたくさんあると思うんですよ。でも違うんです。正ヒロインが片想いをしたとして、その片想いという属性が存分に発揮されているケースはそんなに多くないんです。「正ヒロインが主人公に片想いしてる」だけなぜなら最終的には主人公は正ヒロインを選ぶから。正ヒロインの方も主人公のこと好きですよ~とだけ言っておいて、あとは待ってればいいのです。今めちゃくちゃ極端な話をしていますが、実際そういう作品もあると思います。
報われないのが片想いキャラ。それでも頑張るのが片想いキャラ。想いを寄せてるけど動こうともせず主人公待ってるような子は片想いキャラとは言わねえんだ!! ※個人の感想です。

ハァ・・・ハァ・・・本題に戻りましょう。そんな中で、星野は片想いキャラとしてこの回で凄まじい爆発力を魅せてくれました。片想いキャラが最も輝く時、それは想いを寄せる人のために頑張るときと、相手への気持ちを押し込めるときです。
星野は小早川にとても感謝していて、恩返ししたいと思ってる。小早川がどんなことに悩んでいるのかもわかった。胸のあたりが苦しい気もするけど、それには気付かないフリをして小早川に力を貸そうと決心する。だって小早川は”恩人”だから。恩人ですよ!「恩人」だって言ったんですよこの子は!一瞬迷って!心のモヤモヤをごまかして!お前自分の気持ちから逃げるなよ!!目をつぶるなよ星野!!(全読者の代弁)
4巻で小早川が「星野は俺の――」と言いかけるシーンがありましたが、あれも恩人と言おうとしてたのかな・・・と考えると切なくなります。お前ら・・・お前ら・・・。

また脱線しました。そう、この小早川に恩を返すという健気さ、自分の想いには目をつぶるという切なさが相乗効果をもたらし、この話を神回たらしめている大きな要因となっているのです。
そして、小早川。彼って・・・「おれら」じゃないですか。私たちはこの無力感や自己嫌悪を抱える小早川に自分を重ねてこの星つぶを読み進めているわけじゃないですか。そんな私たちにとって、星野の「目をつぶってあげる」行為は、もっとも求めているもののひとつだと思うんですよね。自分で自分が許せないから、誰かが許してくれたなら、がんばれそうな気がする。あの言葉は小早川と、私を救ってくれました。





1位:88話「愛してる愛して欲しい」

『そのすごい私が好きになったんだから!!キミだってすごい人間なんだよ!!!』

星つぶに出会った私の中で長らく不動の一位を保っていた48話を見事追い抜いたのがこちらの神オブ神オン神イン神オーバーザ神である、88話です。
この背中の押し方がなにより大好きなんです。「あなたはすごい人間だ」と言うために「あなた」がどれだけ素晴らしいかを説明したとしても、相手はそれをネガティブな見方で捉えたり、その事実から目を逸らしたりして否定してしまう。だから「あなた」のすごさを「あなた」に伝えられないし、「あなた」は自分のすごさを納得できない。
でも松方さんは違った。小早川のすごさを証明するために、まず自分がすごい人になるんです。そしてそんなすごい自分が好きになったんだから、小早川もすごいんだと言うんです。小早川のすごさを小早川以外のもので、自分で証明しようとしているんです。実際にすごいのも(私は小早川もすごいと思ってるけど)、小早川を好きになったのも、全部松方さん自身のことですよね。それを使って小早川をすごいと主張するんです。

とんだ暴論です。理屈なんてまるでない。でもこんなこと言われたら否定できないじゃないですか。自分のことについて言われているなら「そうじゃない、お前に何がわかる」って言える。でも自分がすごい根拠が自分じゃないんですよ。こんな風に言われたらがんばるしかないじゃないですか。たとえ自分がすごい人間じゃなくても、自分をすごいと本気で信じてくれたその人の期待に応えなきゃって思うじゃないですか。
小早川は6巻時点で松方さんはすごいやつだって言ってて、その6巻での努力が実を結んだ松方さんは、小早川にとってはさらに遠い存在になってしまったように感じたと思うんですよ。
そんな人から好きだって、すごい人間だって言われたんです。ずるくないですか??松方さんは自分がずっと大切に秘めていた気持ちすらも利用するんです。すべては小早川の背中を押すために。「私の為に描いたんじゃない」という言葉の切実さ、本気さがよくわかります。

先ほどの文章で察してもらえるかもしれませんが、私は主人公に片想いしているキャラが大好きなんです。ですが松方さんは最初ここまで胸を撃ち抜かれることはありませんでした。
3巻の最後や8位で挙げたような象徴的なシーンはもちろん大好きなのですが、まず漫画の構成、演出として好きになった部分が大きく、またこれらはこの場面を見たことでさらに評価が上がったものでもあります。
そう、この話を読むだけで他の松方さん登場回の良さがぐっと深まる!(ここから話が逸れます)
6巻は神巻だと述べましたが、8~10巻あたりで「ちょっと中だるみしてない?」というようなことを思っている方がもし、もしいたら、絶対に11巻まで読んでください。あなたはきっと土下座をすることになるでしょうし、中だるみだと言っていた8~10巻が途端に輝きを増していることに気付くでしょう。そして2度目の土下座だ!(謎のテンション)

コホン。話が逸れました。とにかく私は片想いキャラが好きで、松方さんもその属性を持っているという意味では好きだったのですが、個人として大きく肩入れをするほどではありませんでした。
そこにこのシーンです。もう株がうなぎのぼりよ。私は片想いキャラには強気キャラと献身キャラに大別できると思っているのですが、この松方さんは両方のいいとこ取りですね!「君の背中を押せるのなら」なんて献身の塊みたいなことをするために、「私はすごい!」なんて超強気なことを言ってのけるんです。もう涙出ちゃうよ。。。

このシーンには何度泣かされたかわかったもんじゃありません。他のシーンでも泣きそうになっている(3位として挙げた22話とか、4巻の最後とか)し、2位のシーンでは数回泣いているのですが、このシーンは比較にならない。読むたび泣いてる。今でも泣く。8回あたりまでは数えてました。累計感涙回数、絶賛更新中です。さっきこの文章書きながら泣いたので1回追加。

最初読み進めていた私としては、松方さんの「私は私のやり方で、小早川くんのためにできることをやる」という言葉の意味がよくわかりませんでした。よくわからないのですが、言葉の強さと松方さんの並々ならぬ決意に気圧されて、「がんばってほしいな」となんとなく思っていました。
そうして後回しにしてきたのがここですべて理解できた!こういうことなのかと。

今まで「つまらない連中に私の漫画を見せつけてやる」という、ぼんやりとした相手に向けた怒りと抗いの入り混じった感情で松方さんは漫画を描いていました。それが47話の小早川(4位のシーンです)を見て「宛名がついた」と言うのです。小早川のために漫画を描こうと。
めちゃくちゃかっこよくないですか?一度はその漫画も選考から落ちかけたところを、ものすごく食い下がって「良いと言ってくれるまでここを動きません」とまで言って、連載を勝ち取るんです。誰もが認める”すごい人”になるために。それを根拠として小早川のすごさを証明するために。すごいですよ。かっこいいです。あまりの優しさに、あまりのかっこよさに、このページを開くたびにまた目が潤みます。そして、活力をもらいます。大好きなシーンです。




いかがだったでしょうか?ネタバレのオンパレードですみません!!ほんとは読んでない人にも魅力を十二分に伝えられたらよかったのですが、これが私の限界でした・・・。ごめんよ星つぶ・・・。

それはそれとして、ネタバレ入れまくっちゃえ!と開き直ったおかげで、星つぶに対して溜まっていた感情が一気に放出できて、個人的には満足です。その結果何いってんのかよくわからない文章になっている気がしますが・・・気にしない!ほんとに、ほんとに、星野、目をつぶって。という作品は本当にいい作品なんですよ。ここまで読んでいる方はおおらくその魅力を十分キャッチできていると思うのですが、それだけが伝えたくてつらつら書き連ねました。
あとは共感がほしいかな!私の感じた良さみ、みんなもわかってくれ~~~~~~~!!


さて、星つぶ最新12巻は今月17日に発売予定!今から楽しみだーーーーーーー!!





#マンガ #漫画 #星野 、目をつぶって。 #星つぶ


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