2021年ボカロ10選
どうも!
書き上げるのに死ぬほど時間かかりました!すみませんでしたァ!!
まえがき
2021年のボカロシーンを駆け抜けた皆さん、お疲れさまでした!
年が明けてだいぶたってしまいましたが、最近VOCALOID知ったばかりだよって方に向けて耳寄りな情報を提供しようと思います!
ボカロリスナーの間では「○○年ボカロ10選」という、その年で個人的に最高だった10曲を決めて公開する文化があるんです。去年でいうと、Twitterで「 #2021年ボカロ10選 」というハッシュタグで検索をかければたくさんの方の10選を見ることができます。
10選って要はめちゃめちゃオススメの10曲ですからね。いろんな10選を見ていって好きな曲を探してみるといいですよ。
本題!
そんな10選ですが、私も今回2021年の10選を作成しています。ので!ここで雑多に感想を書いていこうかと!
ちなみに上半期10選も公開していますので、そちらと比べながら見るとちょっとおもしろいかも?
ではさっそく、以下に1曲ずつ感想書いていきます。
KAIRUI - 空想 (feat.初音ミク)
こちら、上半期10選でも選出した曲です。
蓋を開けてみれば、年間通して圧倒的な存在感でした。この10選を作るにあたって最初にマイリストに追加した曲がこれです。
今年聴きすぎてもはや馴染みのある音と化してしまったので、音に関する新鮮な感想は上に貼った上半期10選のnoteを見たほうがいいと思いますw
どれくらい馴染んでるかというと、ヘッドホンを買う時の比較の基準とする曲の1つにこれを選んだくらい。
というわけで歌詞の話でもしようかと。
これすぎる。(自画自賛)
自分が知覚できる最も大きな単位である”宇宙”と自分の身近にある”小さな部屋”をこの曲では並列してるんですよね。
それが『君の鼻先 宇宙に触れて』『小さな部屋の 小さな明かりが 私の太陽だよ』といった歌詞で、いちばん近いものといちばん遠いものが混ざり合って、距離感がわからなくなってきています。
この浮遊したような感覚が曲中でもよく表現されていると思います。重ねられたボーカル、様々な音色やノイズ、ビート感のない部分と強い部分のメリハリ。
『三角形』と綴っているのも絶妙だと思います。二次元といったら他にいくらでもイメージしやすいものがあると思いますが、ここで三角形を選ぶことで「近くて遠い」感覚をより強固なものにしている。ただ韻を踏む都合で選ばれただけかもしれませんが・・・。
といった対立もすごく好きです。『目を逸らしてる』→『信じているね』の無防備というか無邪気な感じがすごく・・・愛しい・・・。
歌詞について特に好きな場所を書きましたが、そもそも全体的に歌詞が好きですね!言葉選びがいちいち琴線に触れてきます。『いつか』『それでいいの』とかのあたりもすごく好きなんですが、何なんですかね。歌詞の流れとして好きなんでしょうか?
あとイラストがめっちゃ好き。ほっぺがぽよぽよしてる感じと、イラスト部分の輪郭も含めて絵が滲んでるところが特に。
ナイトフォール / 伊根 feat. IA
上半期10選からの続投その2。かつ、ボカコレ曲その2です。私の10選をもうご覧になった方はおわかりかもしれませんが、この後凄まじい数のボカコレ曲が登場しますw
異常とすら言えるほどに不規則なスリップのビートが先行し、続いてそのドラムに付かず離れず(付いたり離れたり、の方が正確でしょうか)のリズムを刻むギターとシンセ、その上に乗っかる歌メロ。
これが伊根さんの最大の特徴です。
歌メロやギターリフからは決して予測させないドラムフレーズは複雑すぎる未知のステップを踏んでいるように聴こえます。あまりにも過激な拍刻み。
そんな他を寄せつけない独特のオーラを放つ伊根さんですが、本作はかなりこの複雑性が和らいでおり、とても聴きやすい音になっています。そんなシンプルさに私が飛びつき、10選入りしたというわけですw
ギター色が強くなる代わりにシンセ音がサポートくらいの主張になった結果、見通しが良くなったからでしょうかね?ドラムは変わらず予測不能の動きをしていますが、今回はどちらかというとギターのリズム先行に思えます。
今自分の上半期10選noteを見たのですが、ちょっと違うところを特徴として挙げてませんか私?w大丈夫かな・・・何も考えずに書いてるとこうなる・・・でも今の自分は今の説明で納得できるからそのまま続けちゃう・・・
気を取り直して、好きな部分を語っていきますね。
一番好きなのはなんと言ってもギター!前述したギターの主張を強くしたところが本当に良くて、ブリッジミュートを始めとしたリズムを刻むリフがよく聴こえて非常に”映える”んですよ!このリズム取りが気持ちよくて、逆にリズムを取らず普通にコード弾いてるところすら気持ちよく聴こえるんです。1番でブリッジミュートとループしたところが2番で何の刻みもしないの、マジで気持ちいい。ドゥードルも音のバランスをギターに寄せてわかりやすくしていたと思いますが、私はこの塩梅がすごく好きです!
Adoさんがおすすめ曲としてこの曲を紹介していたそうですし、さらなる活躍に目が離せませんね。
【UTAU / 十鳴子】daikonspiders「she is」【オリジナル】
みなさんはdaikonspidersというボカロPを知っていますか?(上半期10選のnoteと同じような導入)
2/12の初投稿以降、毎週投稿を維持したまま2021年を走り切った化物みたいなルーキーです!
肝心のクオリティはどうなんだという話ですが、安心してください。ちゃんと全曲やばいですwどうしてこのハイクオリティを維持したまま週1で投稿できるのか不思議でしょうがない。
そんなdaikonspidersさんの特徴ですが、”打ち込み”です。打ち込み音のみの楽曲が数多く投稿されるボカロシーンにおいて何の特徴があるのかというと、打ち込みにもかかわらず、ギターへの理解が深すぎるのです。
このあたりを説明しようとするとかなり横道に逸れてしまうので、別の機会にしようと思います。できるかな・・・。
とにかく、この場では「ギターに精通しているにもかかわらず、あえて打ち込み音で作曲しているように思える」と覚えておいてください。つまり、何か意図があってギターを生音にせず、打ち込み音を選択しているのではないかと。たとえば、打ち込み特有のサウンドの方が自分の曲調に合うと判断したとか。もしそうだとしたら、ものすごいこだわりだと思いませんか?ロマンがあるので、私はこの説を推したいです。
「生録音よりも打ち込み音を良しとする」というこだわりは、最も(生録音ができる楽器の)打ち込み音が浸透しているであろうボカロシーンでこそ発揮できるんじゃないかと個人的に思います。みんな、daikonspidersさんを聴いてくれ~~~!
∴flower『アイロニーナ』 / 煮ル果実
この曲について言いたいことの核はだいたい上半期のnoteで言ってしまったと思いますw
「作品を創造することについて書かれた曲」「自分の過去作品に宛てた曲」と「創造されたイマジナリーフレンド」の相性が良いというのは、アイロニーナで初めて気付きました。こうして作品を見てみると当たり前だって感じもしますが、これは特に映像も込みで聴きたくなる曲です。全ボカロPは自分の過去作品をイマジナリーフレンドにした曲をMVで書いてくれ
この前気付いたんですが、この曲って歌詞に”君”って一度も使われないんですね。つまり、ヒースとニーナのどちら主観とも解釈できるということですか??やばすんぎ。作品内のキャラクターって基本的に作者の感情や思考あるいは嗜好の一部を引き継いで生まれたわけですから、確かにそのまま考えれば”僕は君、君は僕”が成り立ってもおかしくないですよねえ!
となるわけです!!よね!!
・・・最後の3枚目については、動画を見る限り『伸びた手をぎゅっと掴んだ』のはヒースだと示唆されているのですが、それはまぁ・・・裏解釈ってことで、いいじゃん・・・。はっきりとは描かれてないからニーナかもしれないじゃん・・・。ほら、あの、イマジナリーフレンドだしさ・・・。
離さないでよ。/ 虚箱 feat.初音ミク
ここから下半期突入!そして、ボカコレ2021秋の曲になります。つまりボカコレ曲その3!
めちゃくちゃ時間をかけ、この前(2022/02/07)ようやくボカコレ秋を完走した私ですが、ボカコレ期間中はせいぜい初日の24時間に投稿された曲しか聴くことができませんでした。(参加曲多すぎ問題)
ですので期間中は投稿される曲を追うので精一杯・・・というか全然時間が足りない状態だったのですが、外に出かける時や、新曲を聴きすぎて気分転換をしたい時などには、マイリストに入った曲を聴いていました。そんな時ずっっっと再生していたのがこの曲です。ボカコレが終わった頃にはすっかり馴染み深い曲に。
この曲がどんなところが好きかというのは・・・説明しにくいですね。曲調全体と言えばいいでしょうか。切なく美しいピアノと調声、対してやや硬質な音のギター、主張しすぎることなく展開を作る4つ打ちのドラム、歌メロやギターのシンプルなリフレイン、それを活かしてカタルシスを生み出すボーカルライン。こうした要素から構成される空気感が、好きです!
この雰囲気重視なおかげで通して聴きやすく、期間中ずっと聴いているということができたのだと思います。聴きやすさは正義!これからもふとした時に気軽に聴くような曲になりそうです。
アダムとイブになれたら / ねこまんま feat.初音ミク
ボカコレ曲その4!作者のねこまんまさんはこれが処女作となるのですが、初投稿から素晴らしいクオリティ。ボカコレではこういった大型新人が本当に多かったですね。とても良いことだと思います、多すぎて捕捉しきれないことを除けば・・・笑
10選入りの決め手はひとえに歌メロです。サビのボーカルが歌っていて気持ちよすぎる。
あと個人的には歌詞がわかりやすいのが好印象でした。普段は音とか曲構成ばっかり気にしてて歌詞を理解できていないことがしょっちゅうあるんですけど、テンポがゆっくりめなおかげで歌詞を聴き取りやすかったのかな・・・?かといってバラードならなんでも歌詞を理解できるのかと言われたら全然そんなことはないのですが、歌詞が記憶に残りやすいような言葉選び、メロディ配置というのはあるんじゃないかと思います。
中でも”言葉選び”は、
など口語的な文体の歌詞が多く、それが耳に引っかかって歌詞を聴き取るきっかけとなっているのかもしれません。こういった歌詞は個人的に好みなので、いいこと尽くめ!
【可不】雨細工の傘【kous】
ボカコレ曲その5。まだまだボカコレ曲が続きます。笑
今回の新曲はとてもkousさんの味を感じられるサウンドで、それでいて自分の好みにとても近いものでした。嬉しい。
この曲はサウンド自体と曲構成が印象的です。曲中ではサビが2回ありますが、そのどちらも前半のテンションを下げて落ちサビの形式とし、後半から満を持してサビが始まるよう仕向けています。Bメロで一瞬のブレイクを挟んでから1サビに入りますが、サビが来ると思いきや期待より静かな進行で、曲のピークを引っ張られたように感じます。この”引っ張り”が後の展開にさらなる期待を生み、後半で頭拍フィルと共に最高潮へと連れて行ってくれます。この美しい流れはまさに玄人の”業”・・・!
あとここで鳴っているライドシンバルがめちゃめちゃ美しいんですよね。バスドラがないためこれが曲のリズムを担う唯一の刻みとなっていて、他の音が空気を演出する役割なのも相まってとても煌めいて聴こえます。まさに玄人の”業”・・・!(2回目)
Bメロで一瞬のブレイクと言いましたが、ここが2番だとブレイクの空白が伸びます。こういった細やかな差異が確認できると、思わずハート目になってしまう。まさに玄人の(以下省略)
またこの曲のBメロがすごく良いんですが、
このあたりで既に言ってますねw
めっちゃわかる。(自画自賛)
先述の通り、熟練のコンポーザーだからこそ見せることのできる”音の余裕”が随所に散りばめられており、kousさんの旨味をこれでもかというほど堪能できる一曲でした。
KAIRUI - 幽霊 (feat.初音ミク)
ボカコレ曲その6。そして、KAIRUIさんの曲その2です。空想では言いませんでしたが、KAIRUIさんもまた2021年にデビューしたボカロPの一人。個人的に、2021年最注目の新人PがdaikonspidersさんとKAIRUIさんです。
1作目2作目から健在である中・高音域の豊かな音に加え、イントロの水音だったり、靡くように鳴るギターだったり、一見無秩序に聴こえるこれまた水のようなコロコロしたような音だったりは、一定に区切られたループの中で見せる1/fゆらぎのように感じられます。アンビエントを想起させますね。MVでも生い茂る草葉に空といった環境音楽を連想するような映像が流れます。草葉が映るシーンはその時のアウトロの音色と本当によくマッチしていて特に好きなところです。
そしてAメロBメロのどっしりとした音運びから、鮮烈なサビに入る瞬間がたまらないんですよね!!一度しか流れないサビですが、この強烈なインパクトによって、むしろ一度しか流れないことに意味があるとさえ思わされてしまう。素晴らしい曲構成です。
2022年はKAIRUIさんが来る・・・いや来い!いや恋!!
颯/ホノfeat.初音ミク
ボカコレ曲その7。これが10選入りした最後のボカロ曲です。多い!本当に多い!wボカコレがいかにとんでもないイベントだったかが窺えますね・・・。
ホノさんの曲は昨年投稿の「夜」が10選候補だったのですが、今回でめでたく選出となりました。青春パンクの側面を色濃く持つこの曲調がホノさん楽曲の一番の特徴で、声が震えているような調声を、ギターやベースの粗さ際立つ音作りを、ノスタルジックなメロディを使って全身で表現しています。
この小細工抜きのストレートさに切なさを帯びたところがとても好きで、本作ではサビに入った時の歌メロやコード進行で強く感じることができます。サビでのカタルシスに向けてAメロで燻るようなタメを作る技巧も見事。
私は『見透かして』から少し空白の後に『怖くなって』と続くところが大好きです。映像を見ていると「見透かしてーーーー」という表記になっており、ここから歌詞が一旦切れてしばらくは演奏のみになるのかな?と思うんですが、いや実際そこで伸びる歌メロになり余白が生まれるんですが、4小節後にまた歌詞が入ってきます。この騙された!感が好きw
私は青春パンクバンドをよく聴いているというわけでは全くないのですが、なんでしょう、VOCALOIDが青春パンク歌っているのはとてもエモいです。エモくないですか??
OmoiさんとかサイゼPあたりと組んでボカロシーンにパンクの波を持ってきたらおもしろいな・・・と思っています。
東亰舞踏 / flower
11月1日に衝撃のデビューを果たしたAriさん、その初投稿作品です。といっても投稿作品は2月現在1つだけですが!
この曲の素晴らしさは、まず歌メロです。『独りトウキョウダンス』から『この想いが痛いな』まででひとまとまり、後半では同じメロディ遷移を繰り返しますが、このリフレインが4フレーズと長い。私の10選で言うと、「レインフォール」や「颯」のサビは2フレーズでリフレインを、「she is」では(少々アレンジこそしますが)1フレーズでリフレインしています。リフレインは短いものをたくさん繰り返すほど効果が高まる傾向にあるので、4フレーズでひとまとまりというのは、長くて2回、サビが短ければ繰り返すこともできないということになります。このメロディ作りが自信の表れというか、無闇にリフレインを使わずともキャッチーに聴かせてみせるという技巧を感じます。正確には1フレーズ内で『膨らんだ』という小さなリフレインを使っていますが、前の小節に裏拍のタイミングに食い込む形で入っており、安易にならないよう工夫が凝らされています。ダサさを孕まないキャッチーさですね。
また冒頭では『トウキョウダンス』という印象的な単語を挟むことで、これをまとまりの頭に2度聴かせるだけで決め台詞のような、いわゆる「インビジブル」での『ルンパッパ』のような効果を生んでいます。こういった様々なアプローチからキャッチーを形作るAriさん、只者ではないですね。
それだけではないです。映像ではピンクや紫を主に据えたビビッドな色使い、名曲に入ることの多い「東京」をタイトルに取り入れ(ボカロシーンではYOASOBIで知られるAyaseさんの「幽霊東京」がありますね)、さらにそれを異体字の「東亰」と表して概要欄のクレジット表記も異体字表記(漢字表現というとツミキさんが思い浮かびます)など”今風”な表現が散りばめられていますね。音楽ないしボカロシーンをしっかり研究した上で投稿されているように思います。
個人的な好みは、2番Aメロとラスサビ入りですね!しっかり流す1番と対象的に半分へ削ぎ落としてスムーズにBメロそしてサビへと移行するのは、まさに様式美。また落ちサビからの接続をボーカル(とエフェクト)で押し通るのは、ドラムこそ一緒に入ってますがボカロ曲ではあまり見ない手法だと思います。「ロキ」と「アディショナルメモリー」は思いつきますが、他にあるかな・・・。こういうハッとするような展開をボーカル主導で作れるのは強い!
2022年に暴れてほしいボカロP筆頭です。ぜひに。
あとがき
以上で10曲になります!
それでは恒例の!1選紹介~~~~~パチパチパチパチ
私が選ぶ「2021年で一番好きなボカロ曲」は・・・こちら!!
KAIRUIさんの「空想」です!!
曲の良さは当然ですが、今年クラブイベント等で聴く機会が多かったというのが大きい!さすがDJのみなさんはヤバい曲をしっかり流してくれる・・・。「自分で聴くために流す」以外で好きな曲を聴けた時って、その曲のこともっと好きになれますよね。ライブとか、イベントとか、Kiite Cafeとか。来年以降もこういうチャンスを大事にしていきたいな。
個人的に、今回の10選はかなり気に入ってます。並びが。
私はいつも投稿日の早い順で10選を作っているのでただの偶然なんですが、「空想」で宇宙に触れて始まり、「東亰舞踏」の『時代よさらば』で2021年の幕を下ろす。デカーーーーい!!!1曲目が1選というのも主張が強くていいですね。最初からフルスロットルな感じが。まぁ、ただの偶然なんですが。
あと、今年はほんと~~~~~~にボカコレがやばかった!!w私は2021秋のボカコレは全曲聴いたのですが、めちゃめちゃ大変でしたね・・・。それが尾を引いてか、今年の10選はボカコレ秋だけで5曲もあります笑
来年のボカコレは走りきれるんだろうか・・・?
これで全部です!ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。2021年も楽しくボーカロイドできてよかった。
来年もボーカロイド楽しんでいこうな!
ボカコレも・・・が、がんばるぞ!
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