日記『保安検査場と聖痕ースティグマー』
先日寝れなかった日に日記を書いたら若干入眠しやすかったので続けて書いてみます。
意識にない検索履歴
羽田空港のロビーにいた。
地元に帰るための飛行機に乗ろうとしていた。
保安検査場通過の締め切り時間をなぜかめちゃくちゃナメてしまい、5分前に行けば乗れるだろうと思ったらもっと前の時間に行かなくてはいけないことにだいぶ手遅れな時間になってから気づいた。
人が少なく暗くなった空港の広い構内で迷子になりながらひたすら走ったものの乗りたい便はすでに飛び立ったあとだった。
他の手段は無いのかと残っている便をスマホで検索し、あ、あるかも!?でも今から走っても間に合わない…!となったところで飛び起きた。
ひとしきり心臓をバクつかせたあとに夢だとホッとして二度寝し、すっかりそのことを忘れて1日過ごしていたが、
さっきふと夢を見たことを思い出して「なんかスマホで検索した部分はリアルだった気がする…」と思ってChromeの履歴を見たら
「羽田空港 保安検査場」と検索した形跡があった。
夢が現実に漏れ出たようで気持ち悪いし、夢の中で焦ると起きてからほぼ無意識の状態でスマホのロックを解除して検索までやれるんだと思うとまあまあ怖い。
その瞬間の自分は夢と現実の境を意識していない。
夢の中で早く爆弾を起爆しないと!!みたいなシチュエーションにいて、もしたまたまふとんの上になんらかの起爆スイッチがあったら起きた瞬間スイッチを押してあやまって爆破してしまうと思うと怖すぎる。
わたしの枕元にはなんのスイッチも置かないでほしい。
羽田空港の保安検査場通過は20分前までだそうです。
右手にあらわれし十字架
pixel Watch3を購入したその数日後、わたしの右手にくっきりと赤い四角が2個並んで現れた。時計のシリコンバンドでかぶれてしまった。
皮膚と接触していないバックル部分はスペースを入力したように空いていて◼️ ◼️みたいな図。
しかし充電はこまめにしていて、デスクでの作業時や入浴の際など結構外していたつもりだった。一体何時間連続で着用するとかぶれるのだろうか。
ためしにバンドの位置を少し下にずらして眠ってみた。
6〜7時間後起きて外すとまたくっきり赤いスクエアが誕生していた。しかもともと荒れていた部分の赤さが引いていない。あっこれデンマークだ。デンマークを作ってしまった。いや結構センターに十字が寄ってるかも。スイスかも。
とにかくめちゃくちゃ赤いし十字い。
みんなはどうする?この状態で異世界転生したら。
突然pixel Watchから放たれた光に包まれ、目を開けると
15世紀くらいのヨーロッパ。しかしどことなく衣服や建物に違和感がある。
現実とは異なる世界のようだ。
教会の前に突然現れたユニクロの上下エアリズムをまとった人間を村人たちはどう扱うか迷ったあと、手首にある奇妙な時計の下に隠された赤い十字を見つける。
「あまりにうつくしいクロス。神のみつかいである」
「いいやこれは悪魔のしもべのあかし。罪をおかしたものの烙印である」
残念ながら上下のユニクロが黒かったことが村人たちの心証にマイナスに働いてしまい、教会の前の広場にはりつけにされることになる。
しかしそこへ人だかりの中をかき分け1人の少女が叫ぶ。
「お待ちください!もしこの方が天使様だったら神のご意志にそむくことになってしまいます。神はわれわれを試しているのです。」
と助命を乞うてくれる。
彼女は自分がただの人であることを直感的に知りながら助けてくれたのだ。
「だって見るからにただの汗かぶれなんだもの」と笑う少女。
幸いスタバのWi-Fiがここまで飛んでいたため、pixel Watchで最新の農法的なやつをGoogleアシスタントに聞いて村人を助けて暮らす。
その間もユニクロのエアリズムは全くいたまず、よく伸び、よく乾いた。まさしく天使の衣と村人に畏敬の念を抱かれる。
夕暮れ、村の裏手にある大きな木の下で少女と2人でたたずむ。
もとの世界で見る夕日よりも大きく感じられた。
天使の布に触れてみてもいいかと少女がTシャツの裾に触れる。
ユニクロと東レが開発した極細マイクロファイバーが生み出すテクスチャーは15世紀のどの布よりも柔らかい。
ちくりとどこかが痛む。首のところのタグが刺さったわけではない。
感じたのがエアリズムへの嫉妬心だということには気づかないフリをした。
pixel Watchが刻んだ赤いしるしはやはり魔女の烙印だったのかもしれない。
わたしは布製のバンドを注文した。
(1時間44分)
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