西武線でほっこりした話
西武池袋線編
朝の通勤ラッシュ、コロナはどこ吹く風と、言わんばかりのひしめき合った車両の中。
せめてもの救いは、未来へと進む線路を眺める事が出来る先頭車両、運転席越しに見える景色、その日その情景は初めて目にするものだった。
それは、駅を発車して景色がゆっくりと移り変わる段階、運転手は声を出し信号の確認をした後で、ゆっくりと左前方に手を振っている。
どこに?
一瞬その先を目で追った。
見えた!
そしてゆっくり通り過ぎた。
そこには、大人に抱かれた子供がこちらに向かって手を振っている姿があった。
その子供に返すように運転手が手を振っていたのだ。
多分初めてではないのであろう。
そんな慣れ親しんだ情景に思えた。
そう感じ取れた瞬間、私の心は幸せな気持ちで満タンになった。
その日はいいスタートが切れた。