KOK 2023 決勝考察

※全て敬称略で記載させていただいております

先日1/8にMCバトルにおいてその年の日本一を決めるKOK2023が行われ、
その結果が賛否分かれる状態となりました。
今回はその決勝について自分なりに考察してみようと思います。

1.今回の決勝の結果について

今大会は各大会を優勝した16名のmcが出場し決勝に残ったのがこの2人です。
MOL53(口喧嘩祭代表)
だーひー(破天MCバトル代表)
※2名とも宮崎出身のMC

KOK2023の勝敗の決め方についてですが
客判定1票、
審査員4名(zeebra、FORK、ERONE、Mr.Q)がそれぞれ1票という
計5票の内過半数となる3票を獲得したら勝利となります。
なお判定がつかない場合は客判定、
審査員共にドローが選択されるケースもございます。

今回の決勝では客判定がだーひー、
審査員4名のうちFORK以外の3名がMOL53、
FORKが延長を選択しMOL53の優勝となりました。
客判定が接戦ではなく7:3くらいでだーひーに偏っていた事もあり、
観客にとっては驚きの結果になっていたかもしれません。

2.なぜ客判定と審査員判定が真逆になったのか

では、なぜ今回審査員判定と客判定が真逆になったのかについて考察してまいります

①観客と審査員の価値観の違い

例えを出すなら「レペゼン」についてが分かりやすいと思います。
今回の決勝戦お互い宮崎県をレペゼンしてる2人の対決になりレペゼンについて語られる部分が多かったように思われます。

MOL53が先行で「俺の作った道の上で宮崎レペゼンとか抜かすなよクソガキ」と攻撃しレペゼン宮崎に対しての論争がはじまります。
だーひーさんの2バース目のアンサーで「俺がラップ始めた時からあんた宮崎から引越してどっか言ったじゃないか」にかなりの歓声が上がりました。

現場にいる方にとって「レペゼン」という言葉のニュアンスが難しいと思います。
住んでいる事がレペゼンなのか、街を有名にする事がレペゼンなのか私にも正解は分かりません。
ただ審査員のプレーヤーの方の捉え方と差がある可能性を感じるポイントでありました。

このように細かい箇所での観客と審査員のズレが生じたのではないかと思われます。

②採点基準について

KOKの審査員は採点に関して以下のルールに則っております。

10 POINT MUST SYSTEM
※詳細:https://kokjapan.com/about/#about-rule

簡単に説明すると対戦全体で得点を付けるのではなくターン毎に得点をつけその合計で審査をするシステムです。

正直mcバトルを観客として観に行かれる方でこの方式を意識される方は少ないのではないでしょうか。
私自身今回のだーひーが最後のバースを「自分自身を提示、king of stage」で決めた時に勝負決まったかなという印象がありました。

やはりmcバトルの性質上後攻の最後の発言が頭に残りやすいです。
これは現場で見てた人は見返す事ができないため納得できない人が多い原因になったのかもしれません。

③観客と審査員の冷静さ

観客と審査員の立場は似てるようでかなり違います。
観客はお金を払ってイベントを楽しみに行く事が目的で審査員はお金を貰って審査をする事が目的です。

観客の主な目的が楽しむ事である以上審査をする際にどうしても常に冷静でいる事は難しいと思います。
良し悪しの話ではなく難易度の話という事を理解していただけると幸いです。
※むしろ観客は楽しむ事優先でいいと思います。

また、観客の場合周囲の歓声が上がった際にその後のワードが聞き取りにくいというケースもあると思います。
審査員は今回ヘッドホンを用いてたり、観客席とは別の位置で審査していたためおそらくですが聞き取りにくい発言は少なかったのではないかと思われます。

④バイアスについて

今大会は出場者がかなり強いと言われておりました。
過去のKOK優勝者3人、UMB優勝者6人、ほとんどの参加者が複数回KOKに出場している。
このメンバーと比べると初出場のだーひーの下馬評はかなり低かったと思われます。

そんななか一回戦を勝ち抜いただーひーの相手は現役最強と名高い呂布カルマでした。
呂布カルマは過去2度のKOK優勝をしており勝ち進む事が予想されてました。
ですが呂布カルマ戦で的確なアンサーを使い客を沸かせただーひーが完全勝利を収めました。

その後、MOL53が決勝進出を決め会場のムードは vs Authorityの再戦より vs だーひーの宮崎対決を求めていたように感じました。

だーひー vs  Authority に関してですが観客票はほぼ10:0でだーひーに声が上がっていました。
そのためだーひーが圧勝したように観客は感じたかもしれませんが実際はだーひーには観客票と審査員2票の計3票でギリギリの勝利となりました。

勝敗の是非や審査の是非はおいておいてこの時点でかなりだーひーに観客の心はロックされている事が分かります。
ちなみにですが私は観客の心を掴める事は武器なのでそれは素晴らしい事だと思っています。

また、先述した通り下馬評の低いだーひーが、
圧倒的優勝候補で決勝まで観客審査員票を全て取ったMOL53と戦うとなると、
だーひーにバイアスがかかるのは普通だと思います。

⑤観客審査員制度への慣れのなさ

MCバトルの大会が増えている昨今、
ほとんどの大会では観客判定のみが主流です。
逆にTV放送されていたフリースタイルダンジョン系列は完全審査員制です。

つまり観客票と審査員票が分かれるという経験があまりにも少ないのです。
観客判定の大会が多い事も影響し観客の深層心理には、
観客の歓声=勝利という物ができているかもしれません。

そのため歓声が多いのに負けるという事に衝撃を受けた人が多かったと推測されます。

3.今回の審査についての感想

今回私はPPVを購入して何度も見た感想は以下です。
1,2回目→だーひー勝ち
3,4回目→引き分け
5回目以降→MOL53勝ち

基準や詳細はかなり細かいので割愛しますが、
複数回見ると見えてくるものが変わる事もあります。
逆に複数回見てもだーひー勝ちという人がいてもいいと思います。
ただ自分の価値観や論理だけで審査員を誤審扱いするのはよくないと思います。
なぜなら審査員の思考の全てを把握してるわけではないからです。

今回の大会を通じて私は審査員は必要だと思います。
観客が楽しむ事、盛り上がる事を最優先して欲しいためです。

来年度も最高の大会になる事を願っております。

長文でしたが読んでくださった方はありがとうございました。

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