「髪」
人間、特に女性にとって髪はとても大切なものといいます。「髪は女の命」などと言いますし、シャンプーやトリートメント剤などの様々なヘアグッズがあることからその大切さがわかりますね。
そんな大切な髪は、古来より呪いにも使われてきました。京都の貴船神社で行われたとされる「呪いの藁人形」にも呪う相手の髪の毛が用いられました。また、「洒落にならない怖い話」のスレッドの中にも数えきれないほどの髪の毛が登場しますね。今日はそんな人の思いを乗せた髪にまつわる怖い話です。
小学生の当時、あまり学校の治安が良くなく軽いいじめのようなものが起こっていました。その時の私はいじめには加担しないものの、助ける勇気はなくただ傍観していた人間でした。いじめられていた男の子、Oくんは大きな背をキュッと縮めていたのを覚えています。
Oくんは記録係というクラスの係についていて、学級会や季節の行事をノートにまとめるという仕事をしていました。ある日、そのノートがなくなってしまったんです。真っ先にみんなが思いついたのはいじめていた複数人のうちだれかが隠したのではないか、という考え。しかしいじめていた集団も先生に怒られるのは嫌だったようで、「ノート早くみつけろよ!」ってOくんをどついていたんです。
そのノートは結局校庭のはずれの池で発見されました。先生はそんなことをした人が誰なのか、探そうとしましたが一番怪しいいじめっ子集団たちはサッカーをしていた様子がみんなに目撃されており、他にも名乗り出る子はいませんでしたので迷宮入り。しかし、私はOくんの表情とある言葉が気になって仕方がありませんでした。いつもキュッと縮まっていた背はなぜか伸びていて、「やった…!」とつぶやいていたんです。丁寧にノートを毎回とっていたから、係の仕事にうんざりしていたことはないでしょうし、なぜなんだろう?とその時は思いました。
それから、不可解な、不幸な事故が続きました。いじめっ子集団の中の2人が池に落ちました。足の骨折程度で命に別状はなかったのですが、おぼれかけたということで相当怖い思いをしたらしいのです。…不可解、というのはこの点です。校庭のはずれの池は、当時の私が入っても膝くらいの深さなのでした。
なぜ、校庭のはずれの池にわざわざ近づいたのか。
なぜ、こんな浅い池でおぼれたのか。
その真相は今もわかっていません。一つわかっているのは、その溺れかけた子の足首になにか細いものが巻き付いた跡があったくらいです。
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