推し香水レポ②市販品から自力で探す編

前回はこちら
推し香水レポ①セレクトサービス比較編|ひたなこう (note.com)

ジャンル撤退を検討して最後の記念に推し香水を買おうとあれこれしていたところ、結局作品への熱は冷めず、未だに誰に見られているか見られていないのかも分からない創作をしこしこ続けているオタクです。

前回の記事では好きなキャラの一人であるS(前回の記事で伏せていたのでこちらでも伏せます)の概念を探して、色んなサービスに課金する様子を書きました。
それで結局理想の香りは見つかったのかというと見つからなかったので市販品から自分で探すことにしました。
その探し方をまとめます。

※筆者は一般のオタクで香水の専門家ではありません。間違ったことを言っているかもしれませんが、ご容赦ください。


イメージから探す

刺激的な生き方のキャラならスパイスが刺激的なオリエンタル、若々しくはつらつとしたキャラなら爽やかなシトラスやマリン、紳士的で落ち着きのあるキャラならウッディやシプレー、といった感じです。(※この記事では香水の専門用語は解説しません)
「このキャラからこういう香りがしたら嬉しいな」という漠然としたイメージでも構いません。
とにかく、少しでも引っかかりがあれば他の人(セレクトサービスや店員さんなど)にもイメージを伝えやすくなります。
キャラの解釈によって複数種類選ぶのも楽しいです。
また、そのキャラが好きそうなブランドの香水から探すのも良いと思います。
香水にはブランドによっては小説かと思うような説明文がつけられていることもあって、そこから選ぶのも良いです。作ったブランドが書いた文なので香りのイメージが的確に表されています。

香料から探す

イメージするキャラのモチーフ、好きなものや花言葉に関する者なら選びます。
中華系のキャラならスターアニス(八角)やジャスミン、甘いものが好きなキャラならグルマン系、苦難の多いキャラならばニガヨモギ、といった感じです。
アンドロイドなどの人造物のキャラならカロンやイソ・イー・スーパーなどの人工香料で探してみるのも良いかもしれません。

実際に嗅いで探す

これが一番早いです。最終的にはこれです。
上記で探してこれかな?と思う香水を取り寄せるか、実際に店舗に行って試して探します。
使われている香料を見てイメージする香りと実際の香りは違っていたりします。
ノーマークだったものでも実際嗅いでみるとイメージに合っていたりもします。
嗅いでみて良いなと思っても、すぐには買わずにミニサイズ(2ml程度)のサンプルで試すか、手首につけてもらって数時間香りの変化を見ます。
なぜかというと、トップノートは好みでもミドルノートがなんか違うなと思うことが結構あるからです。
また、香水というものはその時の気温や湿度、肌の温度によって香り立ちが異なりますし、体調やその時の気分によって感じ方も変わります。ごくまれにですが、購入した時は好みの香りだったのにしばらく使っているうちに受け付けなくなることもあります。
なので、もしフルボトルで購入することを検討しているならば、できれば3日~2週間使える量(Celesなら15回プッシュがおすすめ)で試してからのほうがいいです。
前述したように気温や湿度によっても印象が変わるのでそれも考慮に入れてください。特にグルマン系などの甘めの香りは湿度と気温が高いとくどくなるので、試すなら秋冬がいいです。

どこで探せばいいの?

この項目では個別のブランドではなく、推し香水に強そうなセレクトショップを紹介します。

Celes(セレス)

有名ブランドからニッチフレグランスまであらゆる香水を取り扱っているお店です。
ムエット、ワンタップ(1回分お試し)から5mlまで好きな容量でお試しできます。
こちらの検索機能ではメインの香料、香りのタイプ、周りに与える印象など非常に細かい条件を指定できるため、イメージする香りが探しやすいと思います。
ムエットなら無料で試すことができますし、前回購入したもののレビューを書く等の条件を満たせば好きな香水のワンタップや15回プッシュを貰えたりもするので、この香水も気になるから買い物ついでにワンタップで貰おうということもできます。
後述するNOSE SHOPはニッチフレグランス中心でエルメスやディオールなど有名ブランドのものやドンキで五千円前後で売られているような低価格帯の商品は扱っていないので、そのあたりをカバーしているのは強みですね。

NOSE SHOP(ノーズショップ)

ニッチフレグランスに特化したセレクトショップです。
関東が中心ですが実店舗もあります。
基本的にフルボトルでの販売で量り売りはありませんが、不定期で「NOSE SHOP小店」というサンプルサイズを買えるイベントがオンラインショップや実店舗で開催されることがあります。
また、渋谷店などの一部の店舗では1回900円で回せる香水ガチャを設置しているので、せっかく来たのだからとりあえず回していこうという感じで回したら思いがけず良い香水に出会えた、なんてこともあるかもしれません。

ここの強みはなんといっても、実店舗で実際に香りを試すことができることですね。ショッピングセンターに入っているブランドショップなど、色んなブランドの香水を試せるお店はあるにはあるのですが、ある程度の価格帯の香水になるとそういうお店ってないんですよ。 NOSE SHOPでは日本ではなかなか売っていないような珍しい香水まで実際に試すことができます。

こういうお店だと敷居が高いように思えますが、全然そんなことはなくお店自体もオープンなつくりになっていることが多くて入りやすいです。若者向けの雑貨屋さんみたいな雰囲気です。
(立地によるかもしれませんが)店員さんもオタクに寛容なので、一方的に萌え語りするみたいなことをしなければ推し香水の相談に乗ってくれると思います。

ドン・キホーテ

言わずと知れた驚安の殿堂。

だいたいどこの店舗でも香水コーナーが充実していて、実際に嗅いでみたり、肌に乗せて試すこともできます。
1000円から一万円くらいまでの低価格帯が充実していて、中にはドンキでしか売っていない製品もあります。
例えばGENERIC FRAGRANCEというシリーズは有名ブランドのベストセラー製品のクローンを発売していて、2000円以下という低価格で販売されています。あの香水が欲しいけど高いから買えない、という時にこちらを買うのもアリです。
店舗によっては有名ブランドのサンプルサイズを扱っているところもあるので、種類は限られますが気軽に試すことができます。

アクアシャボンなどの手が届きやすい価格帯で中高生に人気の製品を多く扱っているので、「学生キャラがちょっと背伸びしてつけている香水」というイメージで探すならばここですね。

推し香水に向いていそうなブランド

Etat Libre d'Orange(エタ リーブル ドオランジェ)

「エタ リーブル ド オランジェ(オレンジ自由国)」は野心的でセンセーショナルな香りのジュース。情熱的で豊かで、解放された香水。自由によって創造され、自由を愛し、自由に愛される、ある種別次元の知性を感じさせる全く新しい香水。比喩や皮肉を駆使して、香りの名前を作り出す気まぐれな香水。偏見を揺るがし、あいまいさを煽る、激しい香水。独創的なアイディアで遊び、繊細に構成された香りを昇華させるなかで見つける喜びを、全く新しい形で提供する。これらのジュースの原料は最高級の"なまもの"であり、皮膚と融合されたときにはじめて、それを身にまとう者と一体となる。制約や妥協なしに作られた、香りのジュース。邪魔をし、触れ、誘惑し、スリルを与えるように設計された香りのジュース。香水の常識を逸脱し、禁止されたものを乗り越える。規則を破るため、反抗するため、ただ存在するために作られた香水。

https://noseshop.jp/collections/etat-libre-dorange

ここの香水は明確なコンセプトとストーリーが決められているので、キャラとマッチすればすごく「らしく」なると思います。
また、人気上位の香水は香水というよりもシャンプーやボディーソープに近いような、良い意味で香水らしくない香りのものが多いので、普段あまり香水をつけない人も親しみやすいと思います。

Ko-gu(コーグ)

生活の道具としての香りを提案するフレグランスブランド「KO-GU(コーグ)」は、日本生まれのデイリーフレグランス。毎日の暮らしを鮮やかに彩る日本製の高品質な香り。香水の本場グラースで調香した、世界最高級の天然香料を主体とした極上の香料の良さを最大限に引き出すために無濾過製法にて八ヶ岳で生産。植物由来のアルコールを使用し、環境負荷を抑えて人体への優しさを追求しています。年齢・性別を問わずすべてのお客様にシンプル・クリーン・ナチュラルな優しいフレグランスを毎日使いやすいフェアな価格で提供します。人体への安全性、環境と生物多様性に配慮した上で、日常の香りとして幅広く受け入れられ、「良い香り」の新たなスタンダードとなることを目指しています。好きな香りの基準を知ることは自分自身を知ること。たくさんのバラエティの中からお気に入りを見つけて、そのときの気分で香りを選び、自分なりにカスタマイズもできる。KO-GUは積極的・能動的に香りと寄り添う新しい生活様式を提案します。

https://noseshop.jp/collections/ko-gu?page=2

NOSE SHOPがプロデュースするブランドです。
ここの特徴はメインになる香料を据えて、それを引き立てるように調香されていることで、上記の香料から香水を探す方法だと探しやすいと思います。
「ジャスミン」と「イランイラン」など共通の香料が使用されている似た香りもあるので、双子やニコイチキャラで探すのも楽しいかもしれません。
ブランドのコンセプト通り、どこにつけていっても嫌味にならないような自然で親しみやすい香りです。
また、公式で重ね付けも推奨されているので自分なりにアレンジしたり、カップリング香水として楽しむこともできます。

Demeter(ディメーター)

こちらは色々なコンセプトを決めて調香している商品を扱っています。
「ラベンダー」や「ムスク」など定番のものもあれば、「焼く前のバニラクッキーの生地」や「葬儀場」なんて変わり種もあります。
特に、「何気ない日常の中の心地よい香り」や「自然の中で感じる空気感」の解像度が素晴らしく、例えば「雨」に関連した香りだけでも5種類あります。
扱っている香水はオーデコロンで30mlで3520円。
ブランドの方針としてシングルノート(つけたてから消えるまで香りの変化がほとんどない)で作られているので、香水初心者も安心して香りを選べそうです。
とにかく気軽に、カジュアルに楽しめるブランドだなと思います。
常設の実店舗はありませんが、全国の雑貨屋さんや商業施設などで不定期でポップアップイベントを開催しているので、機会があれば行ってみてください。実際に香りを体験することができます。

LUSH(ラッシュ)

https://www.lush.com/jp/ja

ちょっと前までどこのイオンにも入っていたすごい匂いの石鹸屋さんです
新宿駅の東口に旗艦店があります。

ここの香水の特徴はバニラやパチュリをベースにした非常に重く甘ったるい香調です。だいぶ好みが分かれるかと思いますが、好きな人は好きだと思います。
ヴィーガンの石鹸屋さんなのでアンバーやムスクよりもバニラやパチュリの扱いに長けているからベースに多用しているのだと勝手に思っています。
香料の入手ルートが元から確立されているからか、パルファンという事を考慮しても他のブランドよりも低価格という強みがあります。
また、石鹸やバスボムなどの他のアイテムと同じ香りで揃えやすいというメリットもあります。販売店舗が多い白いラベルのパフュームはLUSHの歴史の中でも名香として扱われている香りなので、同じ名前の商品が販売されているか、なくても店員さんに訊けば同系統の香りの商品を教えてくれるはずです。

Mendittorosa(メンデットローザ)

2013年にイタリア・ナポリ生まれのステファニア・スクエリアによって設立されたフレグランスブランド。香りを通して魂に触れることを目的に、職人によって妥協することなく作られたクリエイション。作品を個性豊かに表現するため、嗅覚だけでなく、視覚にも訴えかけるように、木箱やボトル、キャップを1点1点すべてイタリアの職人によるハンドメイドで制作し、作品の主題をオブジェとしても具現化することにこだわることによってブランドの美的なディティールを強烈に主張している。少量生産少量販売、非動物実験、ハイグレードな天然香料にこだわるといったイタリアン・ニッチフレグランスの特色を踏襲していることについては触れるまでもないが、映画の制作に携わっていた創業者ステファニアの知性から生み出される比類なき特異なテーマは、占星術、夢、無意識、詩、歴史、心理学、時間や哲学など多岐に渡り、季節やジェンダーを意識せずに、自身の魂に触れるプロセスとしての香り選びを推奨する。「メンデットローザ」のすべての作品は香水というよりは魔法の混合液のようなものであり、身にまとう人の魂に寄り添うものである。
科学者で嗅覚研究者と香水収集家としても世界的に有名な「匂いの帝王」ことルカ・トゥリンの最新の著作「世界香水ガイド Ⅲ 」で、「ルマット」が堂々の5つ星を獲得したこともあって、世界中のフレグランスラバーから熱烈な視線を集めるブランドへと一躍成長した。

https://noseshop.jp/collections/mendittorosa?page=2

ニッチフレグランスの中でもまあまあの高価格帯に位置するブランドです。
まだ数種類しか試せていませんが、非常に複雑で繊細な、他では嗅いだことのない香りが楽しめました。
香水という枠を超越した芸術品といった印象で、エタリーブルドオランジェとは違った意味で香水らしくないです。
ブランドコンセプトにもあるとおり、様々な学問の分野のエッセンスを取り入れているようなので、そのあたりと関係のあるキャラならぴったりなんじゃないかと思います。
ボトルやパッケージもインテリアとして部屋に飾っておきたくなりますね。

結局、理想の推しの香水は見つかったのか?


見つかりました。

NOSE SHOPの店頭で嗅いで、そのあとNOSE SHOP小店で見つけたのでサンプルサイズを買いました。使い切ったらフルボトルで買います。

ジンジャーやピンクペッパーの刺激的な香りの中にどこか冷たいようなスッとした香りが苛烈で冷酷なSの印象にぴったりだなと少し嗅いだだけで分かりました。
サフランやパチュリの土っぽい香りも、泥臭さや硬派っぽくて良いです。
「戦い」というテーマもドンピシャでした。

おわりに

ブランドから発売されている香水だと、色んな意味で安心感がありますね。
他の人にセレクトしてもらうのも「こういう解釈もあるのか」と知れる楽しみがありますが、自分で探すのもまた違った楽しみがあります。
たぶんもうこのテーマで記事を書くことはありません(続きを書くなら「自分で調香してみた編」になってしまう)ので左様なら。
書くとしたらUTAU関連で書きます。

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