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元 駐ミャンマー米国大使インタビュー ミャンマーの軍事政権は「路上で、国の希望ある未来を殺している。」

イラワジ メディア が 取った 元 駐ミャンマー米国大使のインタビューが
とても幅広く 興味深かったので、頑張って読み解いていたら
長くなったので、記事として配信します。

(ここから)

2012年から 2016年まで駐ミャンマー米国大使を務めた
デレク・ミッチェル氏に、話を聞いた。
在任期間中に、軍事政権下のテイン・セイン大統領の下で
ミャンマーが開放された時期とも重なり
最も有名で人気のある欧米大使の1人。

Q. 軍事クーデターの報道には驚きましたか? 今の状況をどう見ている? 

 ミャンマーを知る人ならば、軍の行動に完全に驚くことはないと思う。
 1月 31日までの出来事を追っていたが、軍が不満を抱き、
 行動を起こすかもとの噂も耳にしていた。
 しかし、実際に行動した報道を見て、正直驚いた。
 クーデターほどの重大な行動に対する 口実が薄っぺら過ぎる。
 ミャンマー国民に与える、既に与えたダメージに深い悲しみと怒り。
 国益にかなうと信ずるに足る理由もなく、膨大な才能と可能性を
 無駄にし続けています。信じられないほどに悲劇的です。



Q. 先日のTweetは力強く、感動的だった。(Twitterは下記に)

 武力弾圧を見て感情的に。目を覚ましてくれ、と期待を込めて書いた。
 クーデターは あらゆる場所、人、部門が反対。
 残虐性は議論の余地がない。健康と幸福を妨げている。
 軍は 50年以上の支配で有望な国を破綻させた。
 選挙で国民の支持も得られず、世界から尊敬される事もない。
 物理的に権利を得るかもしれないが…
 自らの利益のために分断を招き、隣国が食い物にすることを許した。
 彼らの唯一の成果は「失敗した国家」の代名詞にしたこと。
 世界的な成功事例の1つ、テインセイン政権の奇跡もなきものにした。
 
 クーデターは無意味で逆効果。軍の考えが、あまりにも愚か。
 希望に満ちた未来を担う、真に優れた人々を殺している。
 弁解の余地はなく、不名誉で、卑怯で、永遠の恥。世界も反発。
 長期的なダメージは甚大なものになる。 



Q. 国際社会にできることは?

 軍の行動を一切 認めてはいけない。理想は、民主主義の奪還という
 共通の利益に向け、持続的に調整すべき。
 国連にできる事もあるが、中国・ロシアが阻止するだろうが、
 禁輸措置などはできる。国際的圧力を主導することが米国の役割。
 軍部が信頼する外部の人間が静かに関与することは、理論的には可能。
 結局、軍部は自分のやりたいようにやるだけ。



Q. 日本は軍に圧力をかけられるか?

 そう思う。アメリカ単独では十分な影響力がない。
 日本は 経済・政治・人的に深い繋がりあり、軍部とも信頼関係がある。
 ミャンマー国民の願いに連帯する具体的な措置を取らないと
 日本のイメージも利益も損なわれる可能性があることを認識すべき。
 日本が行動を起こすにしても、日本の対話者は、暗黙・明示的に
 何らかの制裁措置を講じることで、それを裏付ける準備が必要。
 インド、シンガポール、ASEANも同様のことができるが
 そうしたくないのは明らか。
 希望的としては、日本とアメリカが共同アプローチについて
 理解を得られれば、クアッドでの協調行動の基礎となる可能性もある。



Q. 中国外相は当事者に対して「冷静に対応を」とメッセージを発した。 
 米国と中国、違いはあれど安定を望むのは同じ。協力は可能なのか?

 理論的には、両国ともに安定を望んでおり、協力の可能性はある。
 しかし、実際 中国はミャンマーは勢力圏の一部と考えており、
 自国の利益第一で考え、特権的な立場を求め、ゼロサムで見ている。
 米国・ミャンマーの関係性が前進すれば、犠牲になる、と考えている。
 自分が大使時代にこれを目の当たりにした。
 経験上、中国は他国と協力してミャンマーを支援したことは一度もなく
 自国の狭い利己主義と幸福のための機能としてしか見ていない。



Q. 当時 指導者ら、とりわけ 最高司令官に会った時の印象は?

 私がいた時の最大の目標は、最高司令官とスーチー氏を会わせて
 健全で安定した民主主義への移行を可能にする信頼関係の構築だった。
 2015年の選挙後にようやく実現したがうまくいかなかった。
 いずれも非常にプライドが高く、頑固で強い意思を持っていた。
 最高司令官は、耳を傾けているようにも見えたが柔軟性はなかった。
 テインセイン政権の閣僚とは雰囲気も違い、改革志向は見えなかった。
 少なくとも通常の民主主義に関心がなく、軍の利益のために必要不可欠
 と考えていただけ。
 彼は「規律された民主主義」との概念を強く信じていた。
 保守的で、伝統を重んじ、過度の変化に抵抗し、大統領権限を含む
 指揮系統を尊重しながらも、和平プロセスや国内安全保障に関しては
 伝統的な軍の特権を主張していた。
 2008年憲法に固執し、改正を検討をすすめたが抵抗した。



Q. 今のシナリオは? 軍政?民衆の勝利?

 悪いことが起きる可能性を無視すべき、とは言わないが
 うまくいかないことに主眼を置くのではなく
 物事をどのようにうまくいかせるか にも焦点を当てるべき。
 
 私は今、未来の予測に躊躇しています。
 軍部の行動は国を大きく後退させました。
 効果的に統治するためには正統性が必要です。
 軍部が方針を変えて国民と和解しない限り、投資家は進出を見直すし
 優秀な若者は自身の将来のため、外に出る必要がある、と感じる状況を
 作り出す恐れがある。ダメージは深刻です。
 軍部は、これらの事を心配している様子はありません。
 銃と金を持ち、国への影響を無視して残忍な事をする意思があれば、
 軍が思い通りにするために有利な状況にあることは間違いない。

 とはいえ、ミャンマーの人々は強く、創造的で回復力がある。
 正義 と 人数 と 世界中の人々を味方につけている。
 私が最も望むのは、彼らが団結を保ち、酷い瞬間を
 長期的連帯と時間をかけた国家的和解の基盤とすることです。
 罪のない カチン、カレン、ラカイン、ロヒンギャに何が起こるかは
 安全と幸福を願う、全ミャンマー人にとって等しく重要であるべき。
 最終的には、民族武装グループを含む民族がこの事態に対して
 どのように対応するかが、クーデターの成否を大きく左右するだろう。
 
 心配しているのは、市民的不服従運動が時間をかけて移行して
 人々を団結させることができるかどうか。
 例えば、仕事や現金がどうしても必要なのに、銀行で入手できず、
 人が脅されている、との報道が気になる。
 
 この運動に影響力のある人達が、この運動の勢い、誠実さ、精神を
 継続させようとしながらも、国の基盤が守られるよう、時間をかけて
 戦略を更新していくことを望みます。
 しかし、私が確信しているのは、ミャンマーの人々は支配される事に
 抵抗し続けるだろう、ということ。
 最終的には、国の将来のため、彼らが勝利する事を願ってやみません。


Derek Mitchell 氏のTwitter

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