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3月15日(月) 43日目 戒厳令、終日モバイル通信遮断、中国の声明とミャンマー国民の反応

3/18 1:17 更新!諸々書き切りました。
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国内の動向

アウンサンスーチー国家顧問の法定審問は、全国的な通信遮断を理由に延期。これまで 4つの容疑をかけられている。次の法廷は 3月 24日。ウィンミン氏の公判も開催されず。


国営放送を通じてヤンゴン市内6地区に「戒厳令(Martial Law)」を発令
ヤンゴン軍管区司令官に行政権及び司法権を委譲する旨発表
対象エリアは下記の通り
 14日 夜:ヤンゴン郊外 ラインタヤとシュエピーター
 15日 朝:北ダゴン、南ダゴン、ダゴンセイッカン、北オカラッパ

戒厳令とは
治安悪化や過激な暴動を中止させるために発令が行われる。
非常事態宣言との定義の違いは、戒厳とは国の立法・司法・行政の一部又は全部を軍に移管させることである。
通常の民事法・刑事法の適用は一部または全部停止され軍法による統治が行われる。また、裁判は軍事法廷の管轄となる場合がある。 by Wikipedia

「戒厳令下で、死刑執行権限も」
恐ろしいタイトルながら、戒厳令の厳しさが記されている。


そもそも、ここに書いてある罪名って軍がやってる事ばっかりやんって思うのは私だけではないはずですが…


こちらには「刑法 第144条とは違うのか?」等が触れられている。

記事:ミャンマーの戒厳令とは?(※概要を意訳)
戒厳令の発令は 軍による直接統治が始まったことを示す/第 144条は通常の刑事訴訟法の一部であり戒厳令とは異なる/2008年憲法以前の戒厳令はさておき、2008年憲法で戒厳令は認められているのか?/戒厳令は、文民の行政官や裁判官を介さず、軍が完全に支配することを意味する/対象エリアが広がる可能性もある/戒厳令の宣言はミャンマーの状況が著しく悪化していることを意味する

そんな中でも、多くの人が抗議活動に集う ラインタヤの様子。

2月 4日から始まったミャンマー全土での平和的活動開始からは 39日が経過。抗議やCDM活動への参加を通じて、その勢いは増している。

ミャンマーの伝統的な ピッタインダウン という 起き上がりこぼし 的な置物を道路に配置し「何度でも起き上がる」等のメッセージ。

マンダレーでも抗議


タゼ(?)というザガイン管区の町でも


被害状況

追っかけ記事 かつ 火曜 発表 にはなりますが…
「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングの製品を製造する2つの工場でも、14日(日)に放火され、火災が発生。「国連期間やNPO、その他のグローバル企業を含む 国際的な利害関係者と対話を開始した」とのコメントも。ビジネスへの影響も。


 ※AAPP(Burma)より

▼逮捕・拘束者 ※AAPP(Burma) より

単日 19名(実際には 100名以上拘束と見られる)
これまでの 累計 2,175名 うち 1,856名は 今も拘束中
※いずれも固有名詞での確認が取れている人数

The Irrawaddy が これまでの逮捕者をまとめた記事
州・管区の知事/選挙管理委員/大臣/報道官/活動家/ライター/僧侶/有名人/ジャーナリスト 等

▼死者 ※AAPP(Burma) 参照

単日 少なくとも 20名/これまで 累計 183名超
※前日 14日の死者は ラインタヤ等を含めて 74名 に増加

・マンダレー
 ・ミンジャン 女性含む4人死亡、50人以上が負傷
 ・マンダレー市内 2人死亡、3人負傷
 ・タベイッチン?(Thabeikkyinn T/S の Chaung Gyi村)
  中学 3年生の女の子を含む 5人が死亡
・バゴー管区
 ・ジョピンカウ?(Gyopinkaut) 1人死亡、3人負傷
 ・バゴー市内 バイクで警察の強制停止要請を無視して銃殺。2人負傷。
・マグウェ管区  アングラン 2人死亡、6人負傷
・シャン州  アウンバン 1人死亡、3人負傷
・ラインタヤ  3人死亡(頭を撃ち抜かれた 50歳男性、銃の乱射で 家にいた 60歳前後の女性 2人)、タクシー運転手 重傷
・その他、ザガイン州のモンユワにて、抗議活動の帰りの男性が軍に追いかけられて銃殺 等。

▼夜間の動き(前夜分)

ラインタヤ、インセイン、北オッカラッパ、レーダンでの夜間抗議は、暴力的に弾圧された。 軍政は個人や公共物を破壊し、バリケードに放火。

▼ネットブロック ※NetBlocks より
深夜 1時〜朝 6時半まで通信遮断(min 12%) 固定回線は 6時半復活。
一方で、モバイル通信は 深夜 1時以降 終日利用不可。
夜間の通信遮断 連続 30日目 + 終日 モバイル通信遮断 1日目

※具体的には、MPT, Telenor, Ooredoo 等のモバイル通信がアクセス不可
多くの方が モバイルから通信環境にアクセスしており、在宅勤務でもテザリング対応も多い。田舎ではほとんどがモバイル通信を利用しており、影響は広範に広がっている。

▼CDM(市民的不服従運動)

「ミャンマー軍事政権がストライキ中の公務員に実刑判決」
※記事の概要(意訳)
CDMに参加した10名の公務員が 15日(月)に判決を受けCDM参加を理由として懲役刑/父親は「軍事独裁政権に反対して投獄された2人の息子を誇りに思う」とコメント/ネピドーでは 8名が全員からの証人喚問なく、3ヶ月の禁固刑の判決/CDM参加者だけでなく匿った人や料理をつくった人も逮捕/多くの公務員を解雇・停職処分(3/11 に 73名が停職処分 等)/職員宿舎から追い出される人も多数 等


▼少数民族

モン州のモン統一党(MUP)は市民の反対を押し切り 国家行政評議会への参加継続を決定。3/15 に 開催した 緊急会議で採決が取られ、3分の2 が 賛成票を投じた、と。モン族での流血を恐れての判断、と。
新モン州党 は 反対声明を表明。武力ではなく、政治的手段で、と。


ミャンマー国軍の動向

▼国営新聞(朝刊) ※あくまで国軍が 言い分主張するメディア

3/15 国営新聞(こちら
1面:戒厳令
治安と法の支配と地域社会の平和を効果的に行なうため、419条に基づき ラインタヤとシュエピーターで戒厳令。ヤンゴン司令部の司令官に権限委譲。 地域情勢の変化に応じて、自ら戒厳令を行使するか、地域の軍司令官に権限を委譲する。
ソーウィン副議長一行はピンウールイン軍事病院で軍人や市民の患者を励ます。
(概要)
2008年憲法 417条と418条に基づき非常事態を宣言/国家行政評議会を設立/5つの将来計画/9つの目標/海外メディアやSNS、現地の外国通信社による偏った非難/暴動マニュアルに準拠して、下記行為を最小限の力で対応/罰として眉毛や髪の毛を剃るなどの人格を損なわせる行為/犯罪者としてプラカードをもたせる行為/額や頬に入れ墨を入れるなどの行為/コミュニティでの脅迫行為/CDM不参加者への攻撃/女性のロンジーを吊るしたり、崇拝すべき僧侶の画像を抗議活動に使用しミャンマー文化や慣習のイメージを悪くする行為をしている
また、国家の義務を担う国軍メンバーと家族の直接的・間接的な責任について説明し、軍司令部の完璧なセキュリティシステムと断ち切れない内部の結束を保証し、全土停戦協定(NCA)に署名した少数民族武装勢力との恒久的平和を回復し、他のグループが参加するようさらなる努力をしている/国軍とその家族は、個人、家族、コミュニティとして、意識的にせよ無意識的にせよ、国軍とその兄弟組織である警察との間に不信感の種を撒くような行為をしないようにする必要がある/継続的な二国間協定/24時間体制の治安部隊への評価等を継続する必要がある/また食品等をプレゼント
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(その他)選挙管理委員会からの報告/当局は可能な限り平和的に抑制している/スポーツをシステム化して国際的に/国境の開放(貿易)/COVID-19ワクチン接種/マレーシアからミャンマー人 1,086名送還は成果の1つ/
ラインタヤで 5つの縫製工場が放火された。暴徒達は道路を混乱させ 2,000人以上で道路を閉鎖して、消防車の出動を邪魔した/前日にも同様の活動を行っていた/昨日は 6区でも火災が発生/よって国家行政評議会は、戒厳令を発令した/インドからの帰国者を国軍の隔離施設で隔離/ネピドーに仏道の玉座を移動/コロナ感染者 11件/マンダレーで警察書が攻撃された/カチン州 パカンで 警察1名と市民4名が負傷/バゴーで鉄道警察が暴徒に攻撃された/ミャンマーとタイの国境貿易が落ちた/中国とミャンマーの国境貿易は政治変化にも関わらず上昇/真の勇気を持て。フェイクニュースに惑わされるな、外国の助けを求める人もいるが、彼らはルールを破って街頭で抗議活動を行っている/日々のキャッシュフローのため銀行業務を再開/

あくまでも「国軍」の主張。所感は後半部分に書きます。

国際社会の動向

CRPH の Dr. Sa Sa が 国連の人権擁護者 特別レポーターと会議を行なった、との報道。 CRPH の存在感が益々 増している印象が強い。
今のところ、外交相手として接触した国はない、と記憶しているが、国連との対話をしたことを考えると、それも時間の問題かもしれない。

▼国連事務総長 報道官の声明

ミャンマーでの軍による暴力拡大に愕然。基本的人権の侵害であり、国連安保理の呼びかけに明らかに反するもの。 特使の訪問を許可せよ。
※詳細は下記ご覧ください



▼対・中国に関する報道

中国資本の 32工場が破壊された、との発表を受けて、中国当局は軍政に向けて「犯罪を止めて、工場を襲撃した放火犯を処罰し、工場の損失補償を求める」と要求。
つまり軍に対して、平和的な抗議者である市民に厳しい対応をせよ、と要求しているように見て取れる。この中国大使館の声明の後、戒厳令が出された事もあり「殺害を繰り返す軍の対応は完全に無視して、自国の利益のみを求めるとは何事だ。」「中国が自国の利益を考えるなら、軍を非難し、国連の行動を支持すべきだ」などと国民は強く反発している。(との記事)


先日の 下記の中国とミャンマーとの会合の内容が漏れた影響もありそう…

もうひとつ参考記事。リンクだけ貼っときます


▼経済制裁

特に大きな動きを 把握できておらず

▼ASEAN

特に大きな動きを 把握できておらず

▼日本

全日本仏教会 のメッセージ。深い。
下記に一部抜粋して紹介させていただきます。

本年 2 ⽉ 1 ⽇に発⽣した、ミャンマーにおける国軍の軍事的な国家制圧による様々な事態について、私たち全⽇本仏教会はたいへん憂慮しております。

「すべての者は暴⼒におびえる。すべての(⽣きもの)にとって⽣命は愛しい。⼰が⾝にひきくらべて、殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ」

(中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』岩波⽂庫 1978 年)

在ミャンマー日本国大使館 が Facebookメッセージ発信

なお、コメントに関しては「ありがとう!」等の好意的なコメントが多かった印象を受けました。

ミャンマー日本商工会議所(JCCM)理事一同声明
出したようなのでリンク貼っておきます


▼私の所感 + おまけ資料的な何か

ミャンマーの国営新聞とは何なのか?って記事。
ぜひ読んでいただきたく、共有しておきます。このインタビュー取った人、すごい。感謝です!


この日の所感

国営新聞の中で気になった部分。

「軍司令部の強固さ」を示しつつ
・少数民族武装勢力との恒久的平和
・国軍と警察との間に不信感を抱かせるような事をするな
・継続的な二国間協定

といったワードが並んでいたのは かなり気になった。ここについて今日は書いていこうと思います。

これまで、何度も触れてきた 下記 5つの将来計画 (下記に記載)とも繋がるので、そういった視点から、ちょっとばかり下記に書いていきます。


▼継続的な二国間協定
 ここに関しては 「下記 (3)ビジネスの早急な回復」というところと繋がる。ここをPRしたいから、タイ〜ミャンマーの国境貿易中国〜ミャンマーの国境貿易 について「対象時期どやねん」「ここに書くんかい」と突っ込みどころだらけだが、あえて紙面に載せてきたのは興味深い。
 外交は本当は必死にやっていきたいのだろうから、逆にいえば、真剣に経済を世界中みんなで一緒に閉じれば、国軍もかなり辛くなる気がする。

▼少数民族武装勢力との恒久的平和
 国軍側から見れば「時既に遅し」感は否定できないと思う。私の読み間違いでなければ、NCA締結済の武装勢力は、CRPHと一緒に動く事を宣言したばかり。
 ここから交渉で武装勢力陣をひっくり返しにいく可能性もゼロではないが、国軍は武力で闘う事しか知らないし、既に手を出してしまっているのでかなり無理筋だとは思う。といったわけで、この分野の達成はかなり厳しい印象。 ここで武力を使ったら元も子もないし…
ただし、懸念としては、ラカイン州のANP・AFP が国軍との協力表明 、アラカン軍(AA)のテロ指定解除、モン州のMUP の国軍との協力表明。この辺りが不安材料。あとは ワ州 とか がどう反応するか、とかかな。

▼「国軍と警察との間に不信感を抱かせるような事をするな」
 かなり興味深い発言だと感じた。あえて前向き(?)に捉えると、国軍側が焦っているようにも見える表現。ここで「国軍と警察の関係性」を持ち出し「不信感を抱かせるな」と発言したのは、どういう意味だろうか…
警察の CDM とか 効いてるような気もする。焦って CDM参加者を罰したり、CDM参加者を追い出す等の見せしめもしているので。
とはいえ、国営新聞にこれまで、CDM参加者への厳しい対応については触れていないので、そういったのが出だしたら…と勘ぐりたくもなる。


【参考】 国家行政評議会 の 5つの将来計画
( Five future programmes of State Administration Council)

英語力に自信はないが、一応 日本語訳したので、参考まで。

(1)選挙管理委員会を再編成し、法に基づいて有権者名簿の点検を含むすべき業務を遂行していく
(2)現在 COVID-19 感染症予防のために、効果的な対策を一気に行なう
(3)COVID-19 により様々な形で損失を被ったビジネスのできる限り早急な回復に努める
(4)全土停戦協定(NCA)合意に基づき、国家全体で可能な限り永久的な平和を取り戻すことに重点を置く
(5)非常事態の規定に従い任務が達成された後には、2008年憲法に従い、自由で公正な複数政党制での民主的な選挙が実施され、民主主義の基準に適する勝利政党に国務を引き継ぐため、さらなる業務が遂行される

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