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メールのCCはカーボンコピーが由来:将来残りそうな言葉を考えてみる

この間、外国人の友人が郵便局で銀行口座を開設する際に通訳的な役割で同行しました。銀行口座開設のための書類は、筆圧で後ろの紙にも書いた内容が複写される特殊な紙を使用しており、なんだろうと調べてみたら「カーボン紙」っていう名前の紙でした。

紙の裏側にカーボン(炭)がついていて、筆圧でそのカーボンが2枚目の紙に同じ内容を複写してくれるカーボン紙ですが、この手法で複写することを「カーボンコピー」というそうです。

コピー機が無かった時代はこのカーボンコピーが大活躍したため、電子メールが普及した現在でも同じメールの内容(コピー)を送り主以外の人に送る場合は「CC (Carbon Copy)」(カーボンコピー)に該当する人物のメールアドレスを入力します。

このようにカーボン紙があまり使われなくなった現在でも電子メールのCCとしてカーボンコピーという言葉が残っているのが面白いなと思ったので、今回は現在使用されている動作を指す言葉や発明品の名前で将来本来の動作や発明品が忘れられても残りそうな言葉について考えてみます!

考え始めて、まず絶対これは優勝だろと思った言葉が「クイックルワイパー」です。正直、床をあの柔らかい専用の紙で拭く作業の呼び方を「クイックルワイパー」以外で知っている人いますか?

先日、親に頼まれてクイックルワイパーの柔らかい紙をスーパーで買ってきたのですが、その時もクイックルワイパー正規品ではなく、安い模倣品を買いたかったのに、なんて呼べば良いかわからず、店員さんに「クイックルワイパーの安い紙はどこにありますか?」って聞いちゃいました。

じゃあ「クイックルワイパー」は将来も床を拭くことを指す、ずっと残る言葉です!で結論付けてよいのでしょうか?
いや、一旦落ち着いて考えてみます。

ここで、CCとして「カーボンコピー」がなぜ後世まで残ることができたのか分析してみましょう。

1. 多くの人が使っていた
まず重要なのは多くの人によって「カーボンコピー」という言葉とカーボン紙自体が利用されていたということです。
複写機やプリンターのなかった時代には文書のコピーを取る方法が限られていたことを考慮すると、多くの場面で使用されていたのでしょう。(現に郵便局では未だに使用されていますし、、、)

この一点目だけを見てみると上述の「クイックルワイパー」でもよさそうですね。私が考える重要な点は次の2つ目です。

2. 特定企業の名前 / 商品名・登録商標ではない
父親によると、コンピューターが多く普及していなかった、昔の工場や職場でコンピューターが設置されている部屋は「IBM室」と呼ばれていたそうです。
IBMは2005年にPC事業をレノボに売却しているため、現在ではIBM=パソコンと考える人は少ないですが、過去にパソコン市場を寡占していた時代がありました。その当時はパソコンといったらIBMということで、会社でのパソコン室はIBM室と呼ばれていたみたいです。

さらに、過去の職場でコピー機は「ゼロックス」と呼んでいたと聞きました。富士ゼロックス製のプリンターが市場に多く出回っていたことから、そう呼ばれていたそうです。これはIBMのパソコンの例と似ています。

では、2021年現在パソコンといえばIBM or プリンターといえばゼロックスとなるでしょうか?IBMがPC事業を売却しているとはいえ、パソコン=IBM or プリンター= ゼロックス のイメージはあまりないです。

このように特定企業の名前 / 商品名・登録商標の場合、その企業や製品が全盛期の場合、広く認知されますが、ライフサイクルの終盤になると忘れ去られてしまいます。また、商標権の問題から競合企業がその名称を使用することはないことが多いため、その名称自体のライフサイクルが完全に終わってしまいます。

具体例をあげると、現在クイックルワイパーが広く使われていたとしても、今後ルンバなどの自動掃除機が普及しクイックルワイパーが淘汰された場合、我々人類はルンバに対して「ルンバ、クイックルワイパーして」などと指示を送ることはないはずです。
同じような機能はルンバに追加されるにしても「クイックルワイパー」という登録商標をルンバが使用することはないからです。(コラボなどすれば別ですが)

このように、市場での競争に左右されることから特定企業の名前 / 商品名・登録商標でないことが言葉が残る2つ目の大事なポイントだと分析します。

(少し話はずれますが、最近ではなぜ過去のように市場を寡占する商品って少ないんでしょうね。パソコンといっても様々なメーカーがあるし。革新的な製品が少ないのか、もしくは模倣困難性が高い製品が少ないのか)

では、現在使用されているどの言葉が残りそうでしょうか?
私が考えるのは、、、

1) スクショ(スクリーンショット)
2) (電子レンジの)チン!

かなと。

スクショの機能自体はカーボンコピーと似ていて、どの時代にもコピーすることは必要であると思います。さらに、今後電子化が進んでいく中で画面のコピー(=スクショ)はより多くの人に認知され、かつ登録商標ではないです。将来的には見えている風景を瞬きで記録することをスクショとか呼ばれているかなと思いました。

電子レンジのチン!は電子レンジが開発された当初に温め時間が終わったことを知らせるために自転車のベルが電子レンジ内に組み込まれたことから、多くの人に使われるようになった擬音語です。現在では電子レンジに自転車のベルはないものの、多くの人が「お弁当をチンして」とか言いますよね。将来的に何かを温めるのを「チン」というのかなと予言しておきます(笑)

カーボンコピーが行われていた全盛期からメール時代の現代まで四半世紀以上経っているので、この答え合わせもだいぶ先かもしれないですね。

そういえば、母親に「将来どういう言葉が残るかな」と聞いたら「写メ!」と言われました。今でも母親はLINEで写真を送ることを写メというらしいです。私にとってはほぼ死語に近いものでしたが、人によって生きている言葉の認識は異なるんですね。

できれば毎日カルピスソーダ飲みたいです。お願いします。