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おばあちゃん仮説が答えだった

秋ともなると夕闇が早い。
大通りを4人の小学生が塾の手提げバッグを振り回し、
じゃれながら歩いている。
一人の女の子が脇道に入りバイバイしている。
その道は暗く、その先の変電所辺りは寂しい。
帰り道の道すがら、遠回りではないので、
その子を見守りたくてついて行った。
あまり近づけば怖がらせるし、離れればいざという時に遅れるだろう。
間合いを計って歩いた。
女の子はクルッと振り返ってニコニコしながら
「おじさんちどっちの方?」と訊いた。
「うん、豊島園の駅の方だよ」と 出来るだけ優しい声で答えると、
「うちんち、この道のすぐそこだよ」と指さした。
「そう、気を付けてね」と言ってその子の後ろ姿を見守った。
後ろの男が安全かどうか確かめたのだろう、利発な女の子だ。

歳をとって不思議なのは子供がやたらに可愛く感じる。
若い頃は自分の子供以外で可愛いと感じることは多くはなかった。
それがどうだ、近所で遊ぶ子供達もテレビに映る子供の姿も
見入ってしまう。

一体どこからこの感覚はやってくるのだろうか。
本で「おばあちゃん仮説」なるものがあることを知った。
人間の子供は生まれてから途方も無く手が掛かる。
母親には篤い手伝いが必要だった。 そこで神様は一計を案じた。
動物の生涯の成長期、生殖期、後生殖期のうちの
後生殖期を特別に延長した。
生殖期から50年以上も寿命が延びている。
この50年は子供のために使うべきものだと分かった。
核家族化した現代、子供と触れ合う機会が減って            寂しいお年寄りは多い筈だ。
そこで一案!
保育園と老人ホームを合体すると一挙両得とはならないか。       花が咲いたようなお年寄りの笑顔が目に浮かぶ。

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