見出し画像

悪魔の証明

それは、あるのか、ないのか証明せよと言われたとき、
あるを証明するのは、実物を目の前に差し出すだけで済むが
ないことを証明するのは至難の業だ。
だから、これをおどろおどろしく「悪魔の証明」と呼ぶようになった。
UFOもネッシーも超常現象も死後の世界もないと証明できずにいるので、
有難いことに「ムー」という月刊誌が存続していられる。
 
中世ヨーロッパ、ローマ法王は無とか無限という概念は
キリスト教の神髄とは相容れられないとして禁じたので
「ゼロ」はなかった。
7世紀にインドの数学者のブラーマグプタさんがゼロの概念を提唱した。
これで数学が大発展する。
そして0と1が基本になるコンピュータの世界に拡がった。
面白いのは、この着想に仏教が係わっていたことである。
 
仏教には、「あるけどない」という色即是空「空」の思想がある。
元々存在するのではなく、原因があって結果が生まれる
「因果」でできていると教える。
この考え方はそのまま量子力学に繋がるところにも驚かされる。
なるほど、アップルの創業者ジョブズさんは「禅」に心酔していた訳だ。
 
西洋画と東洋画の違いは何かと考えてみると、
空白の取り方のような気がする。
空白のない絵は観ていて息苦しく感じるのは東洋人の感覚だろう。
ゼロを発見したことは偉大な事だが、もう一つ凄い発見者が我が国にいた。
漫画の神様と呼ばれる手塚治虫さんで、コトリとも音がしない空間に
「シ~ン」と画面一杯に表記した。
なんと無音を言語化したのである。
今では、誰でも静かな様子を「シ~ンとしている」と日常的に使っている。
 
画像:手塚治虫シーン171784より

いいなと思ったら応援しよう!