日陰の可憐な花たち
首の筋がおかしくなるくらい桜を見上げてきたこの一週間だった。
流石に桜も盛りを過ぎて、他の花に目が向くようになった。
伽羅木の影に群生している可憐な花に気が付いた。
白い花びらに淡い紫でアクセントにはっきりした黄色が配色されている。
娘が小さい頃、こんな配色のパジャマを着ていて、提灯袖の先がフリンジで
ヒラヒラと可愛い姿を思い出した。
家内に花の名前を問うが、知らないという。
こんな時はスマホの画像検索が便利だ。
花の写真を撮ると即座に答えがでる。
これじゃあ、地図帖が売れなくなったのと同じで
花図鑑も売れなくなるなあと人様の会社ながら心配になった。
この花の名はシャガ。原産国は中国で漢名「著莪」。
学名を見ると、なんと「iris japonica」アイリス・ジャポニカだという。
これはまずい、中国の人に知られたら、この学名には断固反対だと
一悶着起こりそうだ。黙っていよう。
花言葉は「友だちが沢山」。
根茎を横に伸ばして周囲に沢山の花を付けることからの着想だろう。
風水では「自分運」ということで、自分の容姿や性格を
よりよく活かせるとある。
人生で自分をどう活かせるかは究極のテーマでもある。
敷地の北東か南西に繁茂させると運気が巡ってくるという。
シャガの花に見惚れていると、家内が後ろから声を掛けてきた。
「可愛い花ね、でも生け花にすると直ぐに枯れちゃうのよ」
野生の花は、どんな環境でも生き抜くためにその力はいつもギリギリなので
切られると直ぐに弱るんだろう。生えたまま楽しむのがいい。
花の形が胡蝶蘭に似ているからか、別名胡蝶花と呼ぶそうで
胡蝶蘭が聞いたら断固反対されそうだから、黙っておこう。