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運命のいたずら
「運命のいたずら」という言葉は日常的によく使われる。
誰でも、電車などでバッタリと知人に出くわすことはあるだろう。
誰かのうわさ話しをしていたら、その本人が偶然近づいて来たとか、
山登りして山頂に辿り着いたら、知り合いがいてビックリなんていう
話しも聞いたことがある。
電話機の発明者ベルが特許を出したその日に、偶然にも電話機の
特許申請をしていた発明者グレイがいたという話しは有名だ。
可愛らしい例では、大好きなお父さんが帰宅で駅を出た頃、
愛犬が何かを感じて玄関でソワソワしている、なんていう例は
ペットのいる家庭ではよくある話しだろう。
もっと劇的な出来事の数々はセレンディプティやシンクロニシティなどの
タイトルの本に満載されている。
私も、3年前に「光のパシスタ」という偶然の出会いが
テーマになった小説を上梓している。
あり得ない偶然は、けっこう頻繁に起きているようにみえる。
運命のいたずらという言葉には、それを仕組んだ誰かを匂わしている。
誰だかわからないが、操られている我が身の不気味さも感じる。
というのは、これまでの人生を振り返ってみると、人との不思議な出会いが
重なって、今があるという厳然とした事実である。
イギリスの学者シェルドレイクはこの雲を掴むような難問を学問的に
調査研究して仮説ではあるが形態形成場という理論を築いた。
過去に起きたことが再び起こる時間的な連関、離れたところで起きた事が
別の場所でも起こるという空間的な連関を調査した。
意識はエネルギーと考えれば蜘蛛の糸のように綿密に
ネットワークされていて、身体全体が受信機のように働いて、
事を引き寄せているようにみえる。
運命の糸を操る女神のような存在がいるのだろうか。
この世は本当にミラクルに満ちている。