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やせ我慢

粋でいなせで売っている江戸っ子にとって、
蕎麦の食べ方にはことさらに拘ったようだ。
せいろでは汁をろくにつけずにたぐるものらしい。
蕎麦こそ寿司と並んで和の食かと思えば、
そばは元々中国雲南省発祥で
ロシア100万トン、中国80万トン、日本では
3万トンしか作っていない。
ロシアではお粥状のカーシャ、欧米ではガレット、
クッキー、クレープ、パンケーキ。
麺としては、イタリアのピツォッケリ、朝鮮の冷麺、
そしてお茶にも焼酎にもなる。
寒さに強く乾燥地でも育つので、どれだけ北方の人々の
助けになったことか。
そばは英語ではbuck wheatと云い、三角錐の実の形が
ブナbocの木の実に似ているのでそう呼ばれたようだ。
食料品店で蕎麦の乾麺を買う時には、成分表をみて
最初にそばと表示されたものを選ぶのがいいだろう。
と云うのも、表示基準で成分表の表記は成分の多いものから
表示することになっている。
そば粉が30%あれば立派に蕎麦と呼べるからで、
注意してみると、ほとんどの蕎麦乾麺の成分表の
最初には小麦がきているのだ。
蕎麦喰いで知られた江戸っ子が、死の床で言った。
「一生に一回でも蕎麦を汁にたっぷり浸けて食べてみたかった」
 

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