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永遠の今

何やら忙しい日々があって
今日は久し振りに何もすることがなく空白になった。
歯を磨きながらポタッと落ちる水滴をボーっと見ていた。
 
蛇口の先に僅かに付いた水がやがて水滴になって、
持ち堪える限界がきて洗面ボウルに落ちる。
あっ、これは人の一生のようだという思いが巡った。
人も押し出されるようにこの世に生まれ落ちて、
蛇口から洗面ボウルまでの20センチ程の落下の
僅かな時間が、人生の儚い時間と何が違うのかと思った瞬間、
なんとも云えない恐怖感に襲われた。
この自分もいつかこの水滴のように永遠に形が消えてしまうのか。
 
この「今」という時間は何だろう。
永遠という時間が一方にあって、宇宙が出来てから150億年、
生命が誕生してから46億年、人類に進化してから600万年、
途方もない時間が流れて、この「今」がある。
そうしてみると、この瞬間「今」とは、存在の始めから切れ目のない
一続きの最先端にあるのであって、あえて価値として比べてみると
宇宙創成からの過去の全ての時間と、この「今」という瞬間の時間は
同じ価値だと云うことだ。
文学的な「永遠の今」という表現は、これまで幾度となく耳にして、
その都度、分かったような、分からないようなモヤモヤした感じを
残したまま、解った気がしてきた。
この水滴の落下を見て、何か頭で納得したというより体感した感じがした。
さて、今日一日、この大事な大事な刻一刻、どうのように過ごそうか。
考えている場合じゃない、まずは部屋を片して、掃除して、
それからじっくり見回して、する事を決めなくちゃ・・・。
ああどうしよう、日が暮れてきた、一日が終わっちゃう・・・。

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