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スターダスト
陽が沈んで辺りが紫色の闇に向かう時
僕の心も薄明かりに拡がってゆく。
星たちがゆっくりと昇ってゆき
君と過ごした想い出がよみがえる。
肩を落として小道を行った君は戻って来ない。
このスターダストの曲が胸に残っただけ。
時々、不思議に思うことがあるんだ。
孤独な長い夜、淋しさに震えていると
このメロディーがやってくる。
そして決まって、君といることを夢想する。
僕たちの愛が始まって、痺れるような口づけを
交わした遠い記憶のことなんかを。
今となっては、君を失った傷を
癒せるのはこの曲だけなんだ。
庭園の壁にもたれて、僕の腕の中の君は星空を見上げている。
バラ園のナイチンゲールがおとぎ話を囁いている。
この曲に満たされているひととき、
愛の記憶はうつつになって繰り返す。
Star dust(1929) ホギー・カーマイケル作曲、
ミッシェル・パリッシュ作詩