背伸び
2020東京オリンピックでのことである。
日本は金メダル、空前のゴールドラッシュで、
若い力が漲っていた。
勝利した若者たちがインタビューに応えてよくした話がある。
小学生の頃描いた将来の自分の姿だ。
その夢の姿のためにひたすら練習に励む。
誰よりも一番最後まで練習所に貼り付いていた。
同じ技を繰り返し、無意識のレベルにまでたたき込む。
試合中の事は記憶がないと語った選手もいる。
生涯を掛けた大舞台で冷静でいられるのは、
手を抜かずやり尽くした上での自負の心境なのだろう。
あるがまま自然体で無理なく生きよという教えがあって
そちら側に居た者としては、この極めた若者たちの姿が眩しい。
幼少の頃から背伸びして生きて来た若者が勝利の瞬間破顔で吠える。
涙無くして観ていられない。
背伸びもいいものだ。