思いつきは天から

なんの脈絡もなく、ふっと思いつくことがある。
大体、ボーっとしている時だ。
着眼の良さで人生はゴロリと転回してゆく。
 
三年寝太郎は、仕事もせずごろごろと寝て過ごしてきたが
ある日、大量のわらじを持って佐渡の金山に行き、
鉱員たちが履いていたわらじと交換してどんどんと集めた。
そして火に掛けるとお見事、金が採れて大儲け。
 
お盆にはご先祖さんが帰ってくるので乗り物を用意する。
早く来てくれよとキュウリの馬を、あの世に戻る時は
ゆっくり往ってくれよとナスの牛を作ってお供えした。
お盆が終わればキュウリとナスは川に流した。
川下で流れて来るキュウリとナスを見て、勿体ないと
掻き集め漬物にした男がいた。神様仏様の賜物だから
福神漬けとして売り出して大儲け。
 
中国の四川省に「麻」という名のお婆ちゃんが孫息子と
暮らしていた。その孫が難関な国家試験の科挙を目指す。
貧しい暮らしでも栄養を付けてやりたいの一心で、
豆腐屋や肉屋を廻り、売り物にならない端切れを
貰ってきて、味噌で炒めて煮る料理を考えた。
孫は見事試験に合格して、この縁起のよい逸話から
麻婆豆腐になった。