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大器晩成

随分前の正月の事だ。
神田明神に詣でた。三が日も過ぎていたのに
凄い人出で長蛇の列に並んだ。
抜けるような青空で、陽光に顔を向けて
暖かさに目を細めた。
ぽっかりと白い雲が拝殿上空に現れて
みるみると形を成して、一万円札の鳳凰になった。
ふと拝殿から下がる金糸銀糸の豪華な垂れ幕に
目を遣ると、なんと対の鳳凰の刺繍が施されている。
周囲を見廻すが誰もこの鳳凰の符合に気付いていない。
自分だけに起こった幸運と心が高鳴った。
良い年になると確信して株を買い、宝くじも
買ってみた。
その年が終わる頃、振り返ってみたが、
特段の幸運に恵まれたとは云えない
当たり前の年として終わった。
占いが気になった頃もあって手相、人相、星占い、
易経、四柱推命、算命学、片っ端から占ってみて、
共通してたのは「大器晩成」。
それから40年、大器とされるのは恥じ入るが、
齢70を超えて、これが晩成なのかとふと思った。
なるほど大禍なく不満はない。
でも、まだ晩ではなく昼過ぎであると思いたいのだが・・・。

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