
イマジン
記憶は定かではないが、小学校で絵に作文を添える
授業があった。
私は工場の煙突から黒い煙がモクモクと空に
漂う絵を描き、街を汚していると書いた。
それを見た教師は不快感に顔を歪めた。
1960年代、経済成長を最優先にして
公害を咎めるのは反体制派だと決め付ける時代だった。
一葉落ちて天下の秋を知るという言葉がある。
個人的な体験から世界規模の変化をイメージすると云うと
真っ先にジョン・レノンを思い浮かべる。
ジョンは不遇な幼少期を過ごして、刹那的な人間関係を
住み処にしてきたが、オノ・ヨウコという東洋と出会い
愛児を育ててみて、本来の世界のあるべき姿が
見えてきた。そして名曲イマジンが生まれた。
地球を俯瞰してみたら国境紛争も宗教の軋轢も
経済の不条理もみんな無意味なことだと優しく語りかけた。
でもそれはただの理想主義だ、夢想家だ
はたまた反体制運動家だとレッテルを貼られ、
あろう事か2016年12月8日、ニューヨークの住まい
ダコタハウスの前で凶弾に倒れた。
ジョンのイマジンは、国連が打ち出した2030年までに
実現すべき17のゴールSDGsの中にはっきりと見えている。