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あれ?ここに何があったっけ・・

散歩していて、ぽっかりと更地になっているところを見て、
あれ?ここに何があったかなあ、古い家だか店だか・・・。
どうしても思い出せない。
見ているようでちゃんと見てないということか。
 
としまえん遊園地が東京都の防災公園になり、
その敷地の中にハリー・ポッター・スタジオがオープンした。
地元の住人として早々に観にゆくのが近所のよしみと予約して出掛けた。
我々高齢者夫婦が後ろめたくなるくらい、そこは若者たちの世界だった。
シリーズの映画を立て続けに観て、しっかりと予習しておいたので
館内を5時間、6,000歩、歩いても全然飽きもせず疲れることもなかった。
兎に角、造作物の作り込みが半端ではない。
そのまま直ぐに映画の撮影ができる程の完成度だ。
 
押し入れの奥の段ボールにVHSテープという表記があって、
取り出してみると30年も前のビデオテープで、
カビが生えているものもあった。
これはいかんと早速、データ化する機械を買ってきて作業を始めた。
その中に豊島園の満開の桜の下で花見弁当を囲む家族の映像が出てきた。
亡き両親も、若い妹たちも、まだ幼い子供達も
川辺の桜を見上げて歓声を上げている。
このひとときの悦び、笑い合いあった情感が生々しく蘇った。
人生って一瞬一瞬の光と影の連続でしかないのか
という寂しさでホロっともした。
 
そしてとんでもないことに気付いたことがある。
園内の川沿いにあった何百本ものあの桜の木は
いったいどうしたのかと背筋が凍った。
今はスッカリ無くなって、ただの遊歩道になっている。
今まさに、明治神宮外苑地区の再開発計画で
大樹が切り倒されることに反対する運動が起きている。
運営費を賄うために一部、高層ビルの建設を
東京都が許そうとしているという。
経済優先のイケイケ都知事は、都民が慈しむ樹木への
眼差しに鈍感なようだ。
 
遅ればせながら、古いビデオを観て、かつては豊島園が、
樹林の遊園地だったことに気が付いたのである。
木々を守る運動をしなかった。不覚だった。
 


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