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オオミズアオ

夕方の散歩の途中で春日神社にお詣りした。
そこでオオミズアオという珍しい蛾に出会った。
なんて気高い姿なのだろう。
学名はギリシャ神話のアルテミス・月の女神から
きているという。
この美しさはオスとメスが出会うための精一杯の
正装なのだ。
 長い幼虫時代を地中で過ごし成虫になると
なんと口が退化して一切の食が閉ざされる。
成虫になって10日ほどの内に交尾し絶命して行く。
 
セミも幼虫として数年地中で過ごし成虫になって
数日で絶命する。
幼虫は鳥やもぐらの格好の餌となり、
成虫になるのは極々希で
危機をかいくぐった精鋭たちがひと夏、
大声で森に君臨する。
 
ホタルも10日ほど光を放ち交尾したら
絶命して次の世代に引き継ぐ。
カマキリは交尾すると
メスに自らの身体を餌として捧げるという。
男としてことさらに同情したくなる。
 
多くの昆虫の過酷な運命に思いを馳せて
生き物の本質とは、
子孫に遺伝情報を伝える事という
あまりに身も蓋もない
渇いた答えそのままの生涯で、
我が人生を語る意味を失くしてしまいそうだ。


 


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