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バブル -「N」に捧ぐ -

https://youtu.be/dBmQJvovu3U

バタバタしていた。 機材を運んで、マイクのテストして・・・

ここは福岡は中洲にあるライブハウス「Sora」

「こんにちは~ きょうはよろしく~」

あの人は突然現れた。

本当に存在するんだ・・・


オレは全国展開する大手音楽講座で教えてた。
生徒さんが送ってくる作品を指導、添削するお役目だ。

で、ある年、講師陣が全国各地に出掛けて行き
生徒さんと交流、懇親会。
そして最後に講師によるデモ演奏を
やるというイベントが開催されることになった。

オレは選ばれて、主に西日本を中心に回った。
いや~楽しかった。生徒さんにも直接会って
相談や質問に答えたりした。

ラストはデモ演奏をするのだが
オレは毎回、機材を用意してもらって
その場で1曲作って見せるパフォーマンスをやった。
所要時間は30分ほど。

この時間内にイントロ~1コーラス~エンディング
をやるわけだ。

30分ぽっちで出来るのかって?

オレは年がら年中、歌ばかり作ってきたから
出来るのよそれが。
ただし歌詞書いて、歌うってほどの時間は無いので
演奏だけのインスツルメンタルだけど。
ピアノとかでメロディーを弾くわけね。

それを静岡、大阪、名古屋、広島、福岡etc なんかで
毎回やった。

どんな曲を作っても良いんだけど
毎回その場の雰囲気で変えるのよ。
昨日は、アップテンポだったから
今日はバラードにしよう
とかね。


そうそう、同行するスタッフの中に
「Yさん」って人がいて。
この方、ポプコンの大ヒット曲をアレンジしたり
オーケストラの指揮もされてる大変なお方なんだけど
この「Yさん」がずっとオレのデモ演奏を見て下さってて

「今日は35分で1曲か・・・出来映えも含めて
   う~ん まずまずの速さかな」

あっ、ありがとうございます!

「僕たちは昔、もっと速く作業してたよ」

ははっ! 今後とも精進いたします!

もう、生徒さんにプロの技を見せる、とか言うよりも
毎日がオレ自身の添削指導だったな~


それで、夜になると毎回宴会なわけよ。

だいたい4、5人で動いてたんだけど
スタッフさんみんな音楽関係者だから
飲むと音楽談義で盛り上がるのよ。


あるとき音響スタッフ「Dさん」が

「サトウさんってどんな音楽聴いてたんですか?」

って言うので

たくさん好きなのがあるんですが、一番ってなると
そりゃ~もうNSPですね。

「ほ~ そりゃあ奇遇だ~ ボクも大好きです」

おおっ! 気が合いますね~ 嬉しいな~

で、話し込むことしばし

「サトウさん、実はボクはNSPの中村さんの
中学校の後輩でして、この会社に入ってからも
スタッフとしてNSPのコンサートにも
ずっと携わってきたんですよ」

エ~~~~ッ!?

「いや~最近の子たちと話しても
NSPなんて知らないって子が多くてね」

あっあっあの~エピソードとか教えて下さいよ~


「Dさん」恐るべし・・・

その後もレコーディングに詳しい「Dさん」には
マイクの選び方やセッティングなどいろいろと
教えていただいた。


・・・時は流れて・・・


日足のKenから

「中村さんがソロでライブ活動やってて
今度九州各地を回るみたいですよ」

ほ~ 福岡は中洲にある「Sora」でライブやるのか・・・
その後、北九州・・・次は別府、中津、大分、宮崎・・・

う~ん・・・どうしよう・・・

見に行くのはモチロンなのだが
この頃オレは撮影の仕事もしてて
すでに何本も市販されてるDVDを制作していた。

なので、この場合の「どうしよう・・・」
は、中村さんのライブを観客としていくのか
撮影をしに行くのか、迷ってる「どうしよう・・・」なのだ。

何と言っても中村さんはギター始めた頃からの
神にも等しい3人のうちのお一人。
オレなんぞが気安く近づける存在であるはずもない。

・・・・・・・・!?

ふと頭をよぎったのは「Dさん」の存在。

そうあの人なら中村さんとの
橋渡しになってくれるかもしれない。

音楽用語なら転調する際の「ピボットコード」だ!
(前回の記事を参照のこと)

オレももう若くは無いのだから後悔はしたくない。
「それは厚かましいぞ!」
って言われても良いじゃ無いか!
何もしなけりゃ何も起こらない

勇気を振り絞って「Dさん」に連絡した。

「いちおう取り次いでみるけどね」

しばらくして

「OKが出たよ。ただこう言うことは書面を交わして
何かトラブルがあった場合に備えないといけないよ」

で、撮影に関する書類にお互いサイン、押印した。

オレが中村さんに初めてもらったサインは…「契約書」。

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