大阪
10日、11日とライブで大阪に行かせてもらった。
弊社(松竹芸能)は大阪が本社となっていて、9年も松竹にいると大阪に行く機会というのは度々訪れる。キャモン西本さんに連れて行ってもらった事もあったな。そんな訳で今回は6回目の大阪遠征。
大阪の街並みは、滅多に行かない場所なのに何故か親近感があって割と好き。
庶民的な店が並ぶ裏通りに一件だけPOLOなんかのハイブランドの店が突如として現れたり、庶民的な通りを一本抜けたら横浜の赤レンガ周辺のような西洋風な街並みになったりと、町の統一感がないところなんかに惹きつけられる部分がある。
地下鉄は東京よりドアが閉まるのが早く感じる。せっかちな人間性を電車からも感じる。危うくドアに挟まる所だった。
10日は大阪のロフトプラスワンウエストにてトークライブに出させていただいた。
会場に入るまでは怖かった。「Googleマップではここになってるけど、まさかこんな怖いビルじゃないよな」なんて思ってビルの前を3回ほど通りすぎるような、いかつい店ばかりがテナントのビルの中に存在していた。しかし、入ってみれば阿佐ヶ谷ロフトと同じような作りで、これまた親近感のある会場。居心地のいい空間で大阪松竹の皆とゆっくり喋らせてもらって、遠征に来てこんなまったりとしたライブに出るのは初めてだった。ライブ中なのに、なんだか旅先でゆっくり寛いでいるような、そんな雰囲気を楽しませてもらった。
終わりに打ち上げ。「牛」「豚」「鷄」という説明が足りなさ過ぎるメニューしか存在しない、食べ放題1000円の焼肉に連れて行って貰った。看板はピンクや黒を基調としたド派手なもので、焼肉屋というよりコンドームのパッケージのような趣き。腹を満たした後は大阪の後輩の骨つきバナナのうえしの経営するバーで朝まで楽しませてもらった。
こんなに夜通し遊ぶなんてのは本当に20代中盤以来。次の日のネタライブは喉が潰れかけていてネタを遂行できる瀬戸際の状態だった。
飲んでいる時にハノーバーのカルビが
「いやあ!明日めちゃくちゃ楽しみや!」と1時間おきに急に言い出して、
森田さんが「ほんまやな!絶対勝ちたいな」とそれに毎回同じ熱量で返していた。
どうやら次の日は事務所内のピラミッドライブがあったらしく、それに燃えていたらしい。東京から来るとそれもまた新鮮に映った。東京では事務所ライブの順位にかける熱量は、芸歴と共に段々と薄まっていく人が多いイメージ。自分も含め。なんだか大阪の芸人たちが眩しく感じた。
大阪というお笑いの本場故の、劇場を大事にする寄席文化というのも関係があるのかもしれない。
無粋な言葉だが、大阪の人たちの方が自分達より日々を楽しんでいる感じがした。少し羨ましかった。
その日はオールスターズのしょうごとインサイドアウトのリキの住む家に泊めさせて貰った。大阪の芸人は「うちに泊まっていいですよ!」率が東京より高い気がする。森田さんも言ってくれたし他の芸人も誘ってくれた。人情なのか。警戒心が薄いのか。
僕も彼らが東京に来たら家に泊めさせてあげたいが、風呂がないので積極的には勧めづらい。
11日は楽屋Aという会場でネタライブに出させていただいた。寝不足もあって、普段はありえない部分でネタが飛んだりなどハプニングもありながら大阪2ステを終えさせて貰った。
ロン毛が僕含め4人いたので、みんなの髪の毛を繋げて舞台に上がってふざけたりなんかして、
今文字に起こしていて恥ずかしいけど、口角は上がってくるような、楽しい時間を過ごした。
帰り際、後輩のオーパスツーの大ちゃんやオールスターズの山が「ブリキさんがいなくなってしまうなんて嫌やあ!明日からどうすればいいんや」と涙目になっていて、「いやいや、大ちゃんは一昨日まで喋ったことなかったでしょ」なんて返したけど、本当は抱きしめてやりたいぐらいだった。
懐まで人を入らせない癖のある自分がこんな風に思うのは意外だった。
東京に戻って来たら、ゴチャゴチャした街並みを見た後だからか、なんだか町がスッキリして見えた。地下鉄も余裕を持ってドアが閉まる。今週は新ネタライブがある。全然間に合っていない。作らなきゃ。現実に戻ってくる。
それでもなんだかリフレッシュにはなった。また疲れたら、非日常と親近感が混在する、あの場所へ行ってみよう。