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1994年 SideA-2「冬の散歩道(A Hazy Shade of Winter)/サイモン&ガーファンクル」

Paul Simon作詞・作曲

・「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」(TBS系 1994/7/8~9/23)挿入歌 

 TBS系金曜10時枠7月クールドラマ主題歌。「冬の散歩道」はサイモン&ガーファンクル1966年のスマッシュヒットで、ロック的なアプローチが印象的な楽曲。映画「レス・ザン・ゼロ」のサントラの中でバングルズがカバーして、オリジナル以上のヒットになった。タイトル通り冬のくすんだ風景を彷彿とさせる曲で、夏のドラマである本作には不似合いのようにも思えるが、青春期の不安定な心情を写した歌詞がドラマの内容にドンピシャであった(主題歌としての許可がもらえなかったので挿入歌としてクレジットされたが、実質的には主題歌であった)

 「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」は、脚本家・野島伸司が「高校教師」以来1年半ぶりにTBSの伊藤一尋プロデューサーと組んだ作品。学校が舞台であることと赤井英和と桜井幸子が重要な役で出演していることが「高校教師」との連続性を感じさせるが、作品としての肌触りは相当に異なる。ストーリー展開は意外性に富み、確かに手に汗握らせはするのだが、一切の共感を許さない異様なキャラクターが次々に登場する歪さは「高校教師」の詩情とは比ぶべくもなかった(逆にそこに現在のイヤミスに通じる要素は感じられるが)。

 だがそんな後味の悪さにもかかわらず(というか後味の悪さとセットだったからこそ)、このドラマをある種の清涼感と共に記憶している人は少なくないと思う。その清涼感の正体こそ、まだCDデビュー前だった堂本剛と堂本光一の二人の存在であった。エキセントリックの極みともいえる異常な物語世界の中で、二人の存在はまさに希望の象徴であり、ドラマの要であった。特に凄惨ないじめの末に6話で死亡する堂本剛演じた誠の絶望は、そこから後のすべての物語を動かす原動力となる深い悲しみであった。

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