1992年 SideA-4「Thank You My Girl/RABBIT」
岩佐友晴作詞 野下俊哉作曲 RABBIT編曲
・「悪女(わる)」(日本テレビ系 1992/4/18~6/27)主題歌
その「子供が寝たあとで」の直後の日本テレビ系土曜夜10時枠4月クールドラマ主題歌。製作は読売テレビ。新設されたドラマ枠で、主演の石田ひかりも連ドラ初主演、脚本の神山由美子もほぼ新人という非常に新鮮な、逆に言えば後ろ盾のないドラマだったが、これがすべてプラスに働いた。もともと深見じゅんの原作コミックが「落ちこぼれOLの田中麻理鈴が次々現れる難敵や大ボスたちをクリアして出世していき、一目惚れした憧れのT・Oさんと再会する」というストーリーをロールプレイングゲームに見立てたフィクショナルなもので、ドラマも基本的にはコミカルタッチなのだが、細かなディティールに宿るリアリティーがいちいち胸をくすぐる。なにより麻理鈴が敵に挑む動機づけがすべて「T・Oさんに会いたい!」という気持ちから発しているというのが心地良くて、挑んだ敵もみんな彼女の味方になっていくのである。主演の石田ひかりの魅力と多彩なゲストの好演もあって、ヒットドラマひしめく90年代前半の中にあっても裏グランプリといっていい傑作ドラマである。
2022年4月クールで、なんと丸30年ぶりにリメイクされた(こういうケースも珍しい)。基本的なトーンやテーマが当時とほとんど変わっていないところに、リメイク版スタッフの信念と原作の革新性を感じる。やはり連ドラ初主演となる今田美桜の新・麻理鈴もとてもフレッシュで魅力的である。
主題歌を歌ったRABBITは、おなじみ「平成名物TV いかすバンド天国」の5代目イカ天キング。いわゆるイカ天出身アーティストの中では最も早くメジャーデビューを果たしたバンドのひとつ。この曲はストリングスとピアノが印象的なバラードで、ドラマ主題歌ブームの追い風にも乗りスマッシュヒットした。実際毎週このロマンティックな主題歌を聴くたび、すべての原動力は麻理鈴の恋心なのだということが思い出された。だが当時ドラマを楽しみに見ていたという人は、本編のラストから次回予告にかけてかかるイントロが印象的なエンディングテーマ、デイト・オブ・バースの「思い出の瞳」の方をよく覚えているかもしれない。
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