1991年 SideB-3「Hanakoの結婚/渡辺美奈代」
井上ヨシマサ作詞・作曲・編曲
・「HANAKOの結婚」(テレビ朝日系 1991/8/26~29)主題歌
あまり売れていない曲ではあるのだが、佳曲の多い渡辺美奈代の中でもベスト作の一つ。伝説のキッズテクノグループ、コズミック・インベンションのメンバーで、80~90年代にかけては作家として数多くのアイドルポップスを提供、AKB48のメインライターとしても活躍した井上ヨシマサの手になる超絶バブリーポップス。ツボを押さえたポップスの担い手として定評のある井上だが、作詞まで手がけている例はあまりない。が、この曲に限って言えば遊び心と時代感あふれるその歌詞がすばらしい。そして曲とアレンジの狙いすましたチープなあでやかさ。渡辺美奈代のあんまり歌い込んでいない歌唱もとてもよい。総合プロデュース力の勝利であろう。
「HANAKOの結婚」(ドラマタイトルはすべて大文字である)は8月末に4日連続で放送されたドラマシリーズ。「テレビ朝日がその年のトレンドを取り上げてドラマ化する夏のドラマシリーズ第3弾」だそうで、1989年は「霊界ブーム」ということで「丹波哲郎のミステリー劇場」を放送、1990年は「オヤジギャルブーム」ということで中尊寺ゆつこ原作の「お嬢だん」がドラマ化された(渡辺美奈代主演だった)。そして1991年に取り上げたのが「結婚ブーム」である(と当時の局資料にある)。
当時本当に結婚がブームだったかどうかはさておき、確かにこの「ベスト1000」のセレクトでも、1991年には「結婚」という言葉がタイトルに付いたドラマがSideAだけですでに3作登場しており、この「HANAKOの結婚」が4作目になる(1990年には1作も出てこなかったのに)。一方「Hanako」の方はといえば、間違いなくブームであった。巧いタイトルである(雑誌「Hanako」の創刊は1988年6月。1989年には新語・流行語大賞の新語部門・銀賞を受賞している。一応ドラマのタイトルの由来は、主人公3人の役名の頭文字をつなげるとHANAKOになるというところから取られたことになっている)。脚本は水橋文美江のオリジナル。23歳の3人の女性を主人公に三者三様の結婚観が描かれた。主演は千堂あきほ、相原勇、河合美智子の3人であった。