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1992年 SideB-8「君がいるだけで/米米CLUB」

米米CLUB作詞・作曲 米米CLUB・中村哲編曲

・「素顔のままで」(フジテレビ系 1992/4/13~6/29)主題歌

 フジテレビ系月曜9時枠4月クールドラマ主題歌。米米CLUBは1985年にデビュー。ダンサーや多くのサポートメンバーを擁した大掛かりでアート感覚あふれるライブパフォーマンスとファンクやR&Bサウンドをベースにした多彩な音楽性で人気を得た、非常に個性的なエンタテインメントグループ。当時のバンドブームに半ば乗りつつ独自の活動を模索し、明確な意思を持って綱渡りをしていた。88年以降「KOME KOME WAR」「FUNK FUJIYAMA」をベストテンに送り込み、そんな自らの危なっかしさを音源に定着することに成功し得た米米だが、90年の「浪漫飛行」のミリオンヒットで状況が変わる(「浪漫飛行」の初出は87年のアルバム「KOMEGUNY」。90年にJALの沖縄キャンペーンのCMソングに起用されミリオンセラーを記録した)。

 「KOME KOME WAR」より前に発表され、当時の米米としてはむしろ異質だったスマートなポップスが時を経てこうしたヒットになったことは、もちろんバンドの方向性にも影響を与えたが、何よりカールスモーキー石井こと石井竜也本人の音楽面での自信につながったろうと思う。すでにライブ面ではリーダーシップを取っていたカールスモーキー石井は、ここから楽曲面でも主導権を握っていく。

 1991年に出た「K2C」「米米CLUB」の2枚のアルバムは、それまでの米米の活動を俯瞰するようなそれはそれは見事な出来栄えで、米米CLUBの最高到達点といってよかった。そのタイミングで月9のタイアップの話が来るのだから、世の中良くしたものである。「君がいるだけで」は当時歴代最高の初週売り上げ92.5万枚をマーク、総売り上げも「ラブストーリーは突然に」「SAY YES」を超える289.5万枚を記録して当時のシングル売り上げ歴代3位に輝いた(1位と2位は「およげたいやきくん」と「女のみち」である)。そうして米米CLUBは、ユーミンやサザンと並ぶJ-POPを代表するビッグアーティストと目されたのだが、そのこと自体が解散時期を早める原因となったことも否めない。

 ドラマ「素顔のままで」は性格が正反対な2人の女性の友情物語で、主演は安田成美と中森明菜。すでに主演作をいくつも持っていた安田成美にとっても代表作と言っていいし、80年代に歌手として輝かしい実績を持つ中森明菜にとっても90年代以降に限れば最も輝いた仕事の一つと言っていい。しかしテレビドラマ史における「素顔のままで」の最大の価値は脚本家・北川悦吏子の登場にある。「世にも奇妙な物語」を短期間で数多く手がけ(この時期の代表作が「ズンドコベロンチョ」である)、これが実質的な連ドラデビュー作。ここから21世紀初頭にかけて、北川悦吏子旋風がドラマ界を席巻することになる。

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