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1993年 SideB-5「サボテンの花~ひとつ屋根の下より~/財津和夫」

財津和夫作詞・作曲・編曲

・「ひとつ屋根の下」(フジテレビ系 1993/4/12~6/28)主題歌

 フジテレビ系月曜9時枠4月クールドラマ主題歌。もともとチューリップの8枚目のシングルとして発売された曲。チューリップは当時すでにいくつかのヒット曲を持っていたが、それらはすべて姫野達也がリードボーカルをとっていて、財津ボーカルとしてはこの曲が初めてのスマッシュヒットと言ってよかった。その後この曲はチューリップとしても財津和夫のソロとしてもなんどもリメイクされているが、タイトルに「ひとつ屋根の下より」と銘打たれたこの1993年の財津ソロバージョンが最もよく売れて、「心の旅」も「虹とスニーカーの頃」も抜きさって、グループ、ソロの全キャリアを通した財津和夫最大のヒットシングルとなった(バージョンとしてさほど際立っているとは思えないけれども。主題歌恐るべしである)。

 「ひとつ屋根の下」は大多亮プロデュース&野島伸司脚本。両親を亡くし親類にバラバラに引き取られていた兄弟・姉妹たちが、様々な事情を抱えながらひとつ屋根の下に集まり絆を取り戻していくという家族再生の物語。先の「ダブルキッチン」と同じ1993年4月クールに放送され、最高視聴率37.8%をマーク。現在に至るもなお、フジテレビドラマの歴代最高視聴率記録をキープしている。1992年を代表する2大ヒットドラマである「ずっとあなたが好きだった」のチームと「愛という名のもとに」のチームが、翌年の同じクールにともに大家族もののホームドラマでヒットを飛ばしたというあたりに、当時のドラマシーンの懐の深さを感じずにはおれない。

 主演は江口洋介、弟妹たちに福山雅治、酒井法子、いしだ壱成、大路恵美、山本耕史。6人の兄妹それぞれが物語を背負っていたため、各回のゲストキャストもなかなか豪華だった。また兄妹の叔父役で山本圭が出演しているのも元ネタである「若者たち」へのいい目配せになっていた(「若者たち」は60年代のフジテレビが生んだ名作ドラマで2014年にリメイクもされた。「ひとつ屋根の下」は、両親のいない兄妹たちが反発しながらも寄り添って生きていくという大きな枠組みをこのドラマに借りている。山本圭は「若者たち」で三男の三郎役を演じていた)。

 「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「愛という名のもとに」とずっと主人公たちを支え続けてきた江口洋介は、持ち味だったニヒルなダンディズムの対極にある“あんちゃん”キャラで堂々たる座長ぶりを見せ、のちのキャリアを決定づけた。「小雪~」のセリフで一世を風靡した“チイにいちゃん”こと福山雅治も、このドラマの放送中に発売された「Melody」が初めて50万枚を突破、この年の「紅白歌合戦」にも初登場を果たし、ここからビッグスターへの足がかりを築いていく。

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