1992年 SideB-10「サライ/加山雄三&谷村新司」
谷村新司代表作詞 弾厚作作曲 羽田健太郎編曲
・「24時間テレビ15 愛は地球を救う」(日本テレビ系 1992/8/29~30)テーマソング
長い番組には必ず節目がある。1978年以来40年以上にわたって放送され続けている夏の終わりの風物詩「24時間テレビ 愛は地球を救う」の最大の節目は、この1992年だった。番組を立ち上げここまで育ててきた都築忠彦プロデューサーの手を離れ、パーソナリティーにダウンタウンを起用。「愛の歌声は地球を救う」をメインテーマに掲げてメイン会場の日本武道館をコンサート会場として使用して、ライブ感を重視した。その“生感覚”を24時間貫くための装置として導入されたのが間寛平によるチャリティーマラソンである。この改革は図に当たり、この年の「24時間テレビ」は過去最高の視聴率(当時)を記録。音楽重視の構成とチャリティーマラソンは現在に至るまで踏襲され、新たな24時間テレビのスタンダートとなっている。
そしてもうひとつ、この年以来現在まで引き継がれているのが主題歌「サライ」である。弾厚作こと加山雄三が曲を書き、全国の視聴者から寄せられたメッセージを元に谷村新司が“代表作詞”として詞をまとめて番組内で歌われた。以降「24時間テレビ」エンディングの盛り上がりには欠かせない曲となり、番組内外で様々なかたちで使用され、今や押しも押されぬテレビが生んだ代表的なスタンダードナンバーのひとつとなった。何しろみんなで歌うのに適した歌で、サビを何度繰り返しても飽きがこないし、それでいて適度に歌い甲斐もある。特別チャリティーを意識せず、若き日の旅立ちと故郷への憧れをテーマにした歌詞も実に巧み。これはやはり、「君といつまでも」や「昴」のような圧倒的な国民歌謡を歌ってきた経験を持つこの二人だからこそ作れた曲なのだろう、と改めて思う。
(次回はボーナストラックです)