同性婚の議論
先週、「同性婚を認めないのは違憲である」という判決と「同性同士でも不倫に値する」という判決のふたつのニュースがほぼ同時に飛び込んできました。
これらの判決は同性婚の良い面だけでなく、これまでの異性間の婚姻同様に、婚姻についての責任も問われることも示唆した非常に意味深い判決だと感じました。
同性婚は現在、29の国と地域(アジアでは台湾が唯一認められています)で認められています。ご存じの通り日本では認められていませんが、パートナーシップ制度を導入する自治体も少しずつ(70以上の自治体)ではありますが、増えてきている現状があります。
今回、裁判所は同性同士の結婚が認められないのは「合理的な根拠を欠いた差別的な扱いだ」として法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示しました。
一方、同性同士の不倫も「不貞行為」と認定された裁判の判決の方は、裁判所は男女間の行為に限らず、「婚姻生活の平和を害するような性的行為」も不貞行為にあたると指摘し、同性同士の性的行為で、「既存の夫婦生活が離婚の危機にさらされたり形骸化したりする事態も想定される」として、不貞行為に当たると認定しました。
この裁判例では、「不貞」とは、性別の異なる相手方と性的関係を持つことだけではなく、性別の同じ相手方と性的関係を持つことも含まれるとしたうえでの判決です。
同性同士の不倫を認めた判例は初めてではないものの非常に珍しいもので、これまで「不貞」とは、配偶者以外の異性と性的行為をすることを指すとされ、同性同士の性的行為は不貞とはいえないとされてきました。
しかしながら、この判決は同性カップルの存在が世間的にかなり認知されてきている象徴であり、同性間でも「不貞」について異性間同様に責任を問われるということは、つまり同性間でも婚姻についての機能と役割は異性間同様だと意味するものだと感じました。
そろそろ同性婚についての議論の機は熟してきているのではないでしょうか。
原告のうちの一人の方の発言に「違憲の判断が示されて生きる勇気や希望を感じ、『このままの私でいていいんだ』とほかの同性愛者の方も思うことができた」というものがありました。
誰もが自分らしく生きられる社会へ、多様な家族の在り方も含め、多様性を認め合う社会の実現に向けて、同性婚についての早急な議論が求められています。
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