マナーとしての「介護脱毛」
最近になってやっと、そして急スピードで、アンダーヘア/VIOのお手入れに対する意識・関心が高まってきています。欧米ではもうずっと前から、女性だけでなく男性までも、自分自身のため、そして大切なパートナーのため、プライベートな部分を整えておくというのは洗練された大人の常識なわけですが…ここへきて今、そういった意識によるものではないVIO脱毛が注目を浴びています。そう、介護脱毛です。
私は広告営業、Webデザイナーを経て、ひょんなご縁から現在はデイサービスで「生活相談員」として働いています。
私の勤務しているデイサービスは規模も小さく、職員の数も少ないため、「生活相談員」としての業務だけでなく、介護スタッフとして駆り出されて入浴介助を担当することもしょっちゅうあります。
入浴介助とはその名の通りご利用者様の入浴のお手伝いをする業務で、正直なところ、毛深い方は洗いにくいものです。
デイサービスにおける介護脱毛の課題。 そもそもどうしてデイサービスで入浴サービスを受けるのかというと、それはご自宅での入浴が難しいからなのですが、毎日デイサービスに通われている方でも入浴回数は週に2〜3回がほとんど。
また、高齢になるにつれ日中も失禁対策として紙パンツや紙パッドをお使いの方も多く、夏場はもちろん冬場も蒸れていることがあります。
全身しっかり洗わないといけませんが、いくら年齢を重ねていって多少の認知症が出てきていても、人に股を洗われることを喜ぶ方はいません。
だんだんと気まずい雰囲気となり、こちらも焦ってしまいます。
また、アンダーヘアに汚れがこびりついた上にその汚れが乾いてこびりついているところを洗っていると、なんとも申し訳なさそうな顔をされます。そうるすと浴室内にだんだんと気まずい雰囲気となり、こちらも焦ってしまいます。
介護脱毛という考え方が広がってきたのはここ数年のことですから、もうすでに80代90代になっているご利用者様で介護脱毛を済ませている方はいません。
ですが、加齢に伴って体毛が減少して自然と「ハイジニーナ」になっている方がいます。言うまでもなくそんな方の身体は洗いやすく、素早く洗い終わります。そして素早く洗い終われば、その分湯船にもゆっくりつかっていただけています。
介護の現場、そして介護脱毛について、少しでもイメージしていただけたでしょうか。
最近「介護脱毛」が注目されているのは、こういう理由からだったのでした。
小さな赤ちゃんとは異なり、高齢者の入浴介助は大きな負担です。今のうちに介護脱毛をしておくことで、30年後、40年後、あなたを介護してくれることになる人に対しての礼儀やマナー、さらにある意味では感謝の気持ちの意思表示、となるような気がしています。
文筆:ステラ直美
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