犬を連れてタイから日本に帰国する方法
彼がいなくなり、日本に居る両親から犬達を送る手続きを始めなさいと何度も言われ続けていました。
その時に始めていれば、いざ自分が帰国するとなった時に一緒に連れて来ることができたのですが、当時は動けなかった私。
自分のビザでさえ、更新する気も起きなくて、そんな私を見かねた友達がどうにか私に新しいビザを出せないかビザ関係の仕事をしている知り合いに聞いて周ってくれているのを知って、ハッとした。
それからなんとか自分でビザを取り、彼の遺品を整理して、(捨てられずに箱にしまっただけだったけど。)遅れていた犬達のワクチン接種を終えたものの、これからどうしたらいいのか、どうしたいのか、さっぱり分からなかった。
世界はコロナで大変なことになっていて、彼の遺骨をアメリカに居る彼のご両親に届け、散骨をした時には、彼の死から2年が経っていました。
日本に帰ると決めてからやっと、犬の輸出入に関して本格的に調べ始めることができた。お金も底を突いていた私は、まずは単身で日本に帰国し、後から犬を送ることにしました。
そんな私が今年の4月に無事犬達と日本に到着することができたので、そのプロセスをここに残しておきます。
まず、タイからペットを輸出入する方法は
①カーゴ
②フライトボランティア
③自分の受託荷物として連れてくる
の3つがあります。
①のカーゴはかなり値段が張るので、個人でのペットの輸出入の際はあまり使われません。
個人でのペットの輸出入の際に一番多く使われるのが②のフライトボランティア。受託荷物にかかる費用と書類手続きは飼い主が負担し、輸入先の国に渡航する人に受託荷物として一緒に連れてきてもらう方法です。
今回お話させていただいた方はお礼は要らないと言ってくれましたが、お願いする時はお礼分の予算も必要になると思います。
私も最初はフライトボランティアしてくれる人を探していたのですが、コロナ禍だったこともあり、やっと見つかったボランティアさんはフライトが2週間後、1月初旬のこれからが一番寒い時期というタイミングで、悩みに悩んで犬達の体調も考慮し、もう少し暖かくなってから自分でバンコクまで2匹を迎えに行くことにしました。
狂犬病ワクチン、混合ワクチンの接種
まず、絶対的に必要なのが狂犬病ワクチンと混合ワクチン。
これらを接種していなければお話になりません。
私の場合は、あんな調子だったもんで、少し遅れてのワクチン接種となり、2回の接種が必要になってしまいました。
タイでは前回の接種から1年以上経過してしまうと、1ヶ月あけて2回の接種が必要になるのでご注意ください。
マイクロチップ埋め込み
次に必要になるのがマイクロチップ。
日本への輸入時は必ず必要になります。
信頼できる動物病院に日本への輸入の為のマイクロチップとの旨を伝え予約、受診。埋め込み自体は秒で終わります。
私の場合はISO規格のものでした。
サティフィケートが届くまで数週間かかった記憶があります。
届いたサティフィケートは、情報が間違っている可能性があるので要確認。私達の場合は誕生日と毛の色が2匹ともに間違ってました。訂正にも数週間かかる場合があるので、早めの対応をお勧めします。
隔離期間中のペットシッターを見つける
いくつかのペットホテルに見積もりをとったところ、長期割引&ホテル側のご厚意で2匹で1ヶ月20,000THBが最安値でした。
ただ、その時の私にとって1ヶ月20,000THBはかなりの高額。
友人達はこっちでの生活は長いとはいえ、自分の国に帰る時期もあり、犬を預かってもらうにはハードルが高かった。
そこで毎月家の掃除に来てくれていたタイ人のプイにお願いしました。
何度も注意はしてたのにチョコレートを食べさせちゃったり、変更前のマイクロチップサティフィケートを持ってきちゃったり、タイ人らしいトラブルはありましたが、愛情に溢れた彼女には本当に感謝しかないです。
変更前のマイクロチップサティフィケート事件は未だに不思議で、パラレルワールド移行した説が有力。来るなら彼が生きてる世界に来たかった。
代理店を決める
私は取り敢えず、FBのコミュニティ内でも勧められていた、バンコクで大々的にやっている代理店に見積もりを取ってもらいました。事務手数料や出発前のインスペクション、移動費等全て込みで1匹7500THBくらいだったかな?
ただ、まだ狂犬病抗原検査をしていない時点での問い合わせだったので、抗原検査が終ったらまた連絡して、と言われました。
その後、抗原検査を請け負ってくれたサブリナがもっと安い所があると紹介してくれたのが、今回お願いしたエージェントのクリスティンでした。
出発直前までいくら請求が来るのか分からず少し不安でしたが、(何度聞いても、まだ分からない。そんなに高くはないから安心して。との回答だけでした。)マイクロチップサティフィケート事件の時も臨機応変に対応してくれて、この値段で請負っている所って他にないんじゃないでしょうか。
Christine's Pet Travel
https://www.facebook.com/profile.php?id=100064770711713
狂犬病抗原検査(約1ヶ月)
まずは動物病院で血液と血清を採取し、タイには狂犬病抗原検査機関が無い為、海外の検査機関に送ります。(ドイツ、アメリカ、イギリス等)
動物病院で狂犬病抗原検査の値段を聞いた時は、イギリスの検査機関で1匹22,000THBでした。
知り合いの伝で個人で請負っているドイツ人女性のサブリナと繋がることができ、1匹6,000THBで検査できました。(現在はFedExと狂犬病抗体検査機関が値上げしたため、8,000THB)
到着予定空港の検疫所に輸入許可証を申請
日本にいる間に、唯一自分で準備しなければならないのが、インポートパーミット(動物の輸入に関する届出受理書)です。
まずは、到着予定の日本の動物検疫所に“狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸入に関する届出書”の提出をします。(動物検疫所HPからダウンロードできます)
この届出書は、輸入する動物が日本に到着する40日前までの申請が必要です。が、急遽決まったフライトボランティアのフライト日が直近の場合などは40日を過ぎても対応してくれるみたいです。
届出書を提出する方法は、インターネットで入力する方法と、フォームに記入してメールに添付して送る方法があります。
私はフォームに記入してメールに添付する方法を選びました。
届出書をメールに添付して提出後、それらの内容の確認として、狂犬病抗体検査証明書とマイクロチップ証明書も提出しました。
ワクチン接種履歴の添付も必要になる場合もあるみたいです。
提出時、添付画像は1つのメールにつき1枚ずつ送ってくださいとの指定がありました。
複数枚送ってしまうと、送信されずに返ってきてしまうようなのでご注意ください。
これらの提出後、14日ほどで届出が受理され、改めて受理書が届きます。
受理書と一緒に、インスペクション時に獣医師が記入するForm ACという書類も送られてきます。到着予定日1週間前くらいから、獣医師の記入の前に間違いがないか確認する為、Form ACの飼い主記入部分を記入して事前に送ってくださいと指示されます。
自分で記入して送り、何箇所か訂正のメールが来ましたが、結局自分で書いた書類は使わず、既にクリスティンがしっかり用意してくれてました。どこまでがエージェントの管轄か、要確認ですね。
航空券予約(受託荷物のスロットも確認)
今回はマイルが貯まっていたこともあり、6万円程度で往復することができました。エコノミーで35,000マイルでした。
航空券予約時、受託荷物のスロットにも空きがあるか必ず確認すること。
パスポートの更新
パスポートの残存期間が帰国予定日の時点で2ヶ月弱だった為、一応更新。
JALやANAは残存期間が6ヶ月をきっていても期間内に出国予定の航空券があれば、問題なく乗せてくれるみたいですが、LCCの場合は念書が必要になったりするらしいです。
今回は、バンコクから知り合いの居るプーケットにエアアジアでそのまま飛ぶ予定だったので、余計なことで手を煩わせたくなかったので早々にパスポートを更新しました。
高速バス予約
今回は羽田空港着の高速バスがあり、とっても楽ちんでした。12:50発19:31頃着3列独立シート・トイレ、充電用プラグ付で4,900円。
ターミナルの入口まで行ってくれるので、下手に新幹線と電車とモノレール乗り継いで行くよりバスの方が安いし楽です。
但し、2時間程度の遅れはザラなので、搭乗時間にかなり余裕をもって行った方がいいです。
バンコクでの滞在先の予約
コロナ禍だったということもあり、フライトボランティアがなかなか見つからなかった時にクリスティンから紹介してもらったのが、今回滞在させてもらったB&Bのオーナーのナツコさん。
折角見つけていただいたフライトボランティアは断念する形になってしまいましたが、フライトボランティア探しのみならず、様々な場面で助言をくださり、次回犬達とバンコクに滞在する時は絶対にナツコさんのB&Bに泊まって、直接お会いしたいと思ってました。
B&Bにはその時は20匹近くのフォスター犬達が暮らしており、ワンちゃん達のご飯には毎回茹でた鶏肉がたっぷり。
ナツコさんが毎回、うちの犬達の分も茹でてくれて、ちび達はうちでの暮らしよりもよっぽど良い暮らしをしておりました。(笑)
20匹近くのワンちゃん達の世話、(排泄ができないワンちゃんも多数います)1日5回の散歩、ボランティアさんやお客さんの対応やご飯作り等、考えられないくらい忙しいのに、B&Bはいつもピカピカ。
お庭があり、フォスターしている子達の回転スケジュールにうちの犬達の分も快く入れてくれて、家の中でトイレをしないうちの犬達も思う存分、ストレスなくトイレに行くことができました。
私達は2階のトイレとシャワー、バルコニー付きの部屋に滞在させていただいたのですが、歯ブラシと歯磨き粉、ボディスポンジ、トイレシート、さらには、犬のおやつ、コロコロ、携帯の充電器やハサミも置いてあり、冷蔵庫の中には大量のお水というアメニティの充実っぷり。
滞在時には、ベジタリアンのドイツ人女性ボランティアさんがいて、料金には含まれていなかったであろうベジタリアンディナーやサンドイッチとサラダ、ヨーグルト等のボリューミーな朝ご飯、マンゴースムージーやストロベリースムージー、アイスクリーム等を私まで毎日ご馳走になってしまいました。
これがまた美味しいのなんのって。
PCRテストの病院の情報をくれたり、ローカル番号との電話のやり取り、緊急のペットタクシーの手配やマイクロチップサティフィケート事件等、フライトボランティア探しから無事日本に入国するまで、お掛けしたご迷惑は数知れず。ナツコさんには感謝しかありません。
ナツコさん、沢山ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした!本当にありがとうございました!
Green Tails B&B
https://abnb.me/6nJzLirqYzb
バンコクまでの犬達の移動方法を決める
バンコクで大々的にやっている代理店やペットタクシー会社の相場は8,000〜10,000THB。
隔離期間中に犬達の世話をしてくれていたプイの知り合いのブンさんが5000THBでやってくれるとのことで、ブンさんにお願いしました。
送られてきていた写真はよくあるピックアップだったのですが、当日には2tトラックにアップデートしてたようで、バンコク到着予定日の朝にPM2.5の為の2tトラックの交通規制に捕まり、11時まで足止めを食らったとの連絡が。タイらしいですね。(笑)
とにかく安く済ませたいという方にはお勧め。
Pathavee Logistics
https://www.facebook.com/jittichais
猛暑日だったこともあり、ナツコさんに紹介してもらったミーさんにお願いして迎えに行ってもらいました。近郊は1,000THB、バンコク都内は往復1,500THBでやってるみたいです。信頼できます。
Mee Pet Taxi
https://www.facebook.com/MeePetTaxi
東京から自宅までの移動方法を決める
今回は無理を言って、両親に車で迎えに来てもらいました。
夜勤明けだった運転担当の父の体力も考慮し、帰りは母が小谷流の里ドギーズアイランドという、犬と一緒に泊まれるホテルを予約してくれていました。
広大な敷地にドッグランやドッグプール、カフェやレストランが点在していて、正に犬のリゾート。
犬用の朝ご飯もビュッフェ式で、ドライフードに加え、カボチャやにんじん、ゴートミルクがあるのは嬉しかったな。
父、母、本当にありがとう!
クレートの購入
最初はLazadaで探していたのですが、クオリティや万が一サイズが合わなかった時に交換が利かないという不安点があり、ナツコさんの紹介ということもあり、最初に見積もりを取っていたRelo4Pawsのジェームズから良心的な値段で買えることになり、バンコクに到着後、サイズを確認してから買うことにしました。
当日はサイズもいくつか持ってきてくれて、水受けと航空会社指定のペットボトル用の給水口も付いてました。
少し大きめではありますが、どちらもしっくりきてたので2匹とも91cmx62cmx69cmのクレートにしました。
Relo4Paws
https://relo4paws.com/
空港でのインスペクション(出発の1〜3日前)
空港近くの動物検疫所で政府機関の獣医師のマイクロチップのチェック等を受けます。
前日にマイクロチップサティフィケートが変更前のものだと発覚し、大至急、サティフィケートを発行してくれた動物病院に再発行を頼み、書類カーゴで送ってもらうことに。
その受け取りも兼ねて、普段はエージェントだけで行くみたいでしたが、今回は私も同行しました。
が、宛名が家主のナツコさん宛で来てたため、私ではなくナツコさんのパスポート情報が必要という事態に。インスペクションを終え、犬達と私を送ってから再度、ナツコさんのパスポートの写真を持って書類カーゴまで受け取りに行ってくれました。感謝感激雨霰。
PCRテスト
海外渡航にはもう必要無い情報ですが、PCRよりも多少安い、抗原定量検査という新しい承認検査方法が出てたので、日本人街のトンロー49にあるDYMインターナショナルクリニックで受けました。2,500THB。
11時くらいに行って所要時間は15分くらい。当日の18:30くらいに結果がメールで届きました。
出発手続き
まずは犬達を連れてクリスティンとチェックインカウンターに並びます。別のカウンターに通されて、犬達の搭乗代(2匹で500USD)を払って、ゲート入口の横にあるオーバーラゲッジカウンターで犬達とはお別れ。私はそのままクリスティンともお別れしてゲートに向かいます。
到着手続き
バゲージクレームで荷物を取り、同じ階の端っこにある動物検疫カウンターで必要書類を提出。オーバーラゲージカウンターで犬達と再会した後、動物検疫カウンターに戻りマイクロチップの確認をします。
急遽送ってもらったマイクロチップサティフィケートは原本ではなく印刷だったのですが、それでも特に問題は無かったです。
出る矢先に犬用ジャーキーが見つかってしまい、没収されました。(泣)
犬用のおやつは出発前に全部あげてしまいましょう。
それでも到着から2時間くらいで外に出れました。
家に着いてから
家に着いてからは、各地の動物管理センター(仙台市はアニパル仙台)にて各犬の登録が必要になります。
登録が終わると、その場で狂犬病ワクチン接種のハガキが貰えます。
到着から1ヶ月が期限なので、遅れずの登録をお勧めします。
長々と読んでいただき、ありがとうございました。
かかった経費
隔離期間中のペットシッター料 10,000THB×11ヶ月=110,000THB
病院代
マイクロチップ代(再発行代740THB)950THB×2=1,900THB
狂犬病ワクチン、混合ワクチン 4,050THB
狂犬病抗原検査 6,000THB×2=12,000THB(FedExと狂犬病抗体検査機関が値上げした為、今は8,000THB)
パスポート更新料 ¥16,000
航空券代(変更手数料¥320) ¥61,900
高速バス代 ¥4,900
貨物室預かり代(ANA)250USD×2=500USD
ペットタクシー(サムイ島〜バンコク) 5000THB
ペットタクシー(バンコク内)1000THB
バンコクでの滞在先 3,500THB×5日間=17,500THB
クレート代(91cmx62cmx69cm)3,500THB×2=7,000THB
代理店代 8,500THB
レンタカー代 ¥12,000
高速代 約¥20,000
ガソリン代 約¥10,000
犬の登録代 ¥3,000×2=¥6,000
計¥1,519,064
¥1,326,204+¥121,000+¥71,860(325,050THB+¥121,000+500USD)
1THB=¥4.08 1USD=¥143.72で計算
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