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2012. 7 ハンガリー自転車ふたり旅 Day 5 ケーセグとシャルヴァール

オーストリア国境に近い保養地ショプロンで2泊してハプスブルクぽい気分に浸ったわれわれであった。前の日の話↓

当初、この先は南へ約50kmのケーセグ、次の日はさらに西に50kmのシャルヴァールへと自転車で走る予定だった。しかし連日の暑さから来る妻氏の疲労(ショプロンに来る日に熱中症になりかけた)に加え、平原と畑が多く日陰の少ないこの地域の状況に鑑み、要所を輪行でワープし、着いた町でゆっくり過ごすという戦略に変更することにしたのであった。

ケーセグまで 

次の目的地ケーセグまではショプロンから自走で50km弱の道のり。鉄道だと途中のBukという駅で乗り換えを要する。
その真ん中を取って、Bukまで輪行したのちケーセグまでの20km弱を自走するという折衷案とした。
ローカル線の輪行旅も悪くない。

ブクから自走でケーセグに向かう。

この日はおおかた曇りだったが、一瞬だけ晴れ間のサービスタイムがあり

途中の村にベリーの無人販売があった。さくらんぼのようだが小粒で酸っぱい。1パック250ft。走りながら食っては種を飛ばしていく。

ひとパックがでかい

余談だがこの地域のオーストリア側には、オスマントルコの侵攻から逃れてきたクロアチア人が作った集落がいくつかあって、今もクロアチア語の言語島が残されているという。地図を見たところその名も「Kroatisch Geresdorf」という村があり、その一つのようで興味深い。

ケーセグの街

その美しい街並みから「ハンガリーの宝石箱」と呼ばれるケーセグ。
中世の昔にケーセギさんという殿様が町を作ったのでそういう名前になったという。
第二次大戦の破壊も免れた古い家並みが残されている。

シャルヴァール Sarvar

今日はシャールヴァールという町に宿をとってある。
ケーセグにはあまりよさそうな宿がなかったのと、他の町をもう一つを訪ねておきたいという欲張りからだ(その後ケーセグ周辺にもペンションやアパートメントがたくさん開業し、2023年現在あまたのオプションがある)。

ケーセグから輪行し、途中ソンバトヘイ(この町も見たかったが時間切れで省略)で乗り換え。

温泉保養地として名高いシャールヴァールだが、町の中心に聳えるナーダシュディ城でも有名だ。
城そのものよりもむしろ、かつての城主夫人だったバートリ・エルジェーベトの悪名で名高いといえる。美容とアンチエイジングのために若い乙女の生き血を愛飲し、そのために領内の生娘延べ数百人を来る日も来る日もこの城内で惨殺したとされ、のちのドラキュラ伯爵伝説のモデルと言われているたいへんやばい人だ。

もっとも、実際に残虐行為に耽ったのはこの城ではなく、夫である伯爵の没後に未亡人となってから引っ越した、現在スロバキア領の別の城だという。
シャールヴァールとしてはいい迷惑とも言える。

今日の宿は城のすぐ向かいのホテル。

窓から中庭の眺め

夕方町を散策する。
町役場前の広場では、伝統音楽とダンスの催しが開かれていた。
民族衣装に着飾った若い男女が踊る優美かつ躍動感溢れる踊りは、あたかもおとぎの国にいるかのようで、血塗られた伝説も忘れさせるものがあった。
思わぬ濃密なひとときを過ごすことができて、この町に泊まった甲斐があった気がする。

木陰でどんじゃらホイ
ぐるんぐるん回ったり、男子がジャンプして空中でブーツを打ち鳴らしたり、結構ダイナミック
宿のレストランでばんめし。これは豚の足首ロースト(ドイツで言うシュヴァインハクセン)
ローストポーク。うーん豚が被ってしまった(井の頭五郎風)

明日はまた輪行で、2年前に訪れて気に入ったジェールの町を再訪する。


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