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ブロンプトンで上山フルーツラインから楢下宿をポタった話 (やまがた里みちサイクリング)

はじめに

ここ一、二年、もっぱら県外のあっちこっちを走り回っていることが多く、相対的にわが山形県内のサイクリングの頻度が少なくなっている。
しかし他県を走る度に、山形の道と風景のよいところを再認識することしきりなので、事あるごとに山形に戻って走り、その認識を確認する要があると常々感じていたところだ。

そんなわけで、田んぼに水も張られた5月、いくつかあるお気に入りの中から、上山市の農道フルーツラインを使ったルートを定期巡回することにした。
上山市街から出発し、田んぼの中を突っ切り果樹園を抜け、絶景ポイントで眺めを愛でたのち旧街道の宿場町の風情をとどめる楢下に至り、また果樹園を抜けて上山の街に戻る30km弱。この日はブロンプトン一台である。

田んぼからフルーツラインへ

上山市街の南の外れにあるスポーツセンターの駐車場にクルマを置いてブロンプトンを展開する。
走り出すとそこはもう一面の田んぼの中に集落が点在する田園風景だ。
田んぼは田植えが済んだばかりで、通り過ぎる山形新幹線の列車が水鏡に映える。

開業当初の塗色を再現した車両
上山市街を振り返る

田んぼを突き抜けると山裾に突き当たり、盆地の外縁を縁取る農道に行き当たる。これがフルーツラインである。
名前の通り沿道は果樹園が続く。季節によってさまざまな果実が実っているのを目にできるがこの時期はさくらんぼだ。収穫期は7月だがもう身を付け始めていた。

フルーツラインに入ってほどなく、丘を登る坂がある。
本日のルートの中で唯一の登りと言ってもよい。短い距離だが登り切った丘のてっぺんからは蔵王の山並みと上山市街を一望できるビューポイントである。

今回来てみたら付近の木が伐採されて、左側の農道に柵が作られていた。

道はさくらんぼ畑の中の小さなアップダウンのあと麓の集落に至る。
用水路沿いに小さな公園のようなスペースがあって、木陰がここちよい。通るたびにここで一休みさせてもらっている。

楢下宿

果樹園の中の農道をさらにたどると楢下に着く。
楢下はかつての羽州街道、宮城側の金山峠ふもとの宿場町だった。今も当時を偲ばせる街割りと、復元された旅籠が残る。

旅籠大黒屋。内部も見学自由で江戸期の旅人の気分が味わえる
明治築の新橋(めがね橋)
さらに旅籠 庄内屋
もうひとつの旅籠 山田屋(見学可)と覗橋
前方にスカイタワー41が見える

上山の町まで

楢下から方向を変えて果樹園の中の農道を辿り、上山の町に向かって戻る。ずっと下り基調が続くので気持ちがいい。

視界の奧に屹立して見えるのが田舎のダンジョンことスカイタワー41である。
田んぼの只中にモノリスのようにそびえる光景が近年とみに話題となり、ネタとして消費されているきらいがあるが、積雪地の非都市部の高層マンションというのは、これからの住居のオプションとして、とくに高齢者のためにありうると以前から思っている。
・眺望がめちゃくちゃいいのでリゾート気分
・冬季の雪かき雪下ろしが不要
・冬季各室の暖房で建物全体が暖かい。
不動産物件マニアでもあるわたしはもう10年以上前(築20年ぐらいの頃)、買う気30%ぐらいで売却物件を探していたことがあったが、上層階で1000万円ちょっとだったと記憶している。

やがて上山市街に戻ってくる。
丘の上の上山城とその周辺の武家屋敷にかつての城下町の風情が残っている。その麓に広がるのは歴史ある温泉街と昭和レトロの面影漂う商店街だ。少し裏通りのポタを楽しもう。

商店街の古い建物も櫛の歯が抜けるように消えつつあるが、まだ健在のものも多い。

この反対側の正門では今も歯科医院が営業中

山形市内から上山はJRのほか、路線バスも多く(といっても毎時1−2本だけど)運行されている(高松葉山温泉行き)。小径折り畳み車ならば輪行も楽しかろう。
走り終わったらぜひ温泉街の共同浴場へどうぞ。

このルート、毎年開催されるファンライドイベント「ツールドさくらんぼ」のショートコースにも設定されているし、推しルートのひとつです。

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