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車中泊、あるいは走る別荘というライフスタイル

最近Youtubeで好んでよく観るのが車中泊アカウントのかずかずである。
キャンピングカーの類ではなく、もっぱら軽の1BOX で旅するのがきょうびの流行りであるようだ。
車の中で寝泊まりして旅行するという旅のスタイルは昔から興味があって、後に記すがわたしもかつてはやっていた。それにしても現在こんなにもたくさんの人らがクルマで寝ているのか、そして皆かくも車内の快適設備がめちゃめちゃ充実しているのかと、そのような動画を見るにつけ驚かされるものがある。

お気に入りのチャンネルを。

野外のもりこ

静岡県の若い娘さん(人妻なのだが)がひとりで車中泊の旅をする。泊まるのはひと気の疎なキャンプ場だが、ひとりでだいじょうぶなのか、へんなおじさんとかがウザ絡みしてきたりしないだろうかと心配になる。しかし喜んで見ているわたしも充分ヘンなおじさんなので自重したい。

軽バン生活

こちらは若いカップル。DIYで改造した軽バンで全国を旅して3年目だというから驚きだ。優しくてイケメンの彼氏、タイニーで可愛らしい彼女。最近のクレバーな若者を象徴するふたりだ。若いころこんな彼女/彼氏がいて軽バンで旅してこんなふうにキャッキャウフフできてたらと遠い空を仰いでしまう人生だった。関西弁の会話も耳にここちよい。

驚くのは、軽バンの車内で煮炊きどころか、天ぷら揚げながらチャーハン炒めてたりして、もはや厨房である。換気とかどうなってるんだと思ったが窓にかなり強力な換気扇が付いている。そのようなハード面の進化もこんにちの車中泊ブームを推進したのだろう。
とかいってるうちに10月には本が出るそうな。

他にもいろんなチャンネルがあって、あらゆる年齢層や属性の人びとが車内泊の旅を楽しんでいるさまがうかがえる。

車内泊のおもひで

わたくし自身は、学生時代に乗っていたダイハツミラで夏休みに北海道を3週間放浪したことがある。テントも積んでいってはじめのうちはキャンプ場に泊まっていたが、雨の日が続いたのと、テントの設営撤収がめんどくさかったのとで次第に車中泊が多くなった。
中古で買ったそのおんぼろミラは4ナンバーで、後部が荷室になっている謎のスパルタン仕様だった。初めから後部座席が無かったので寝やすかったのである。
学年末毎に留年に怯え、除籍放学の恐怖に苛まれるだめな学生だったが、もしプータローになったらこうやって車に住んでバイトで食いつなぎながら旅する人生もなんか楽しそうじゃんなどと頽廃的なことも考えたりした。

しかし幸いにしてなんとか卒業できたので、仕事に就いたわたしはしばらく関東各地で暮らしていた。その頃ワゴン車(軽ではないが)を持っていたことがある。1990年代のことだ。
もともとは当時やっていたサーフィンのために(板が積めて海辺に泊まって翌朝波乗りする)買ったのだが、たびたび東北に旅行に出かけては車中泊にも利用していた。山形では西蔵王周辺に好んで泊まったものだ。
トヨタライトエースというクルマだ。

シートを倒すと広々した室内は「部屋」という感じだったし、屋根はガラスサンルーフになっており気持ちがよかった。パートタイム4WDで林道もガンガン入って行ける健脚で、楽しいクルマだった。いろいろなクルマを乗り継いできた今になってこそ、改めてライトエースの良さを再認識するのである。
今調べてみると中古車は今もなお100万円は下らないので驚く。もはやヴィンテージカーだ。もっとも、最近は当たり前に付いている安全快適装備は何もない時代のクルマであるから、今乗る気はしないのだけど。

今ではトヨタの1BOXといえば土木業スパルタン仕様に寄せてしまったハイエースか、ヤンキー的オラオラゴージャス路線のアルファードに両極化してしまったが、当時はこのライトエースのほかマスターエースとかいろいろ多彩なラインナップだった。ハイエースもリビングサルーンという居住性重視のモデルがあった時代だ。あれは仕事で一時期仕事でよく乗せられて東北各地に運ばれたこともあったが、乗り心地がすこぶる良くシートもソファー感があり、移動中はよく寝られたものだ。その後その仕事先はアルファードに買い換えたが、居住性は当時のハイエースに劣ると感じた。

走る別荘構想(未遂)

その後仙台に住むようになってからしばらくして、サーフィンよりもっぱら自転車の方が面白くなり、海に行くことも無くなってライトエースも手放してしまった。しかし仙台に住んでみると思ってたほどいい街ではなかったので、休みの日はこの街にいてもあまり楽しくないなと考えるようになった。そこで思いついたのが「走る別荘」計画だった。
仙台からアクセスのよい岩手県の、どこか新幹線駅近くの駐車場(水沢江刺駅近くにあたりもつけていた)に、炊事用具や折り畳み自転車を積んだ軽バンを置いておく。週末に新幹線で向かって(所要40数分)軽バンに乗り換え、まずは温泉でも入る。そのあと山中に入って車中泊してゆっくり過ごすという構想だ。
現在に至る二拠点居住の原初的形態だったと言える。
そんなことを考えているうちに流れ流れて山小屋を買うに至ったため、この計画は実現しなかったが、今のようにポータブルバッテリーで普通に電気が使えたりネットに常時接続できたりする世においては、格段に利便性の高い車内生活が期待できるだろう。

(タイトル画像のヤドカリカーはどう見てもハイラックスサーフだが、AIに作らせたものです)


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