台湾苗栗縣の山奥にバスで登ってブロンプトンで下りてくるだけの簡単なおポタです(2018. 1)
【A day in the life 13】
2018年の1月、われわれが台湾を旅していた時の一日。
このときは西側の桃園、新竹、苗栗の各縣を訪ねる旅だった。それまでの何度かの旅で台湾全島をほぼ一巡りしたわれわれも、台北と台中の間のこの地味な一帯は未だ詳細に検分しないままだったのだ。
新竹に滞在しながらの日帰り旅。バスで苗栗縣の山奥まで輪行し、原住民集落の風物を味わったのち下り坂オンリーのルートを自走して平地に戻ってこようという計画である。
新竹から竹南へ
街並みの味のある建物を鑑賞しつつ新竹駅に向かう。まずは鉄道で新竹から苗栗縣の竹南駅まで輪行する。山に向かうバスはそこから出ているのだ。
新竹駅は日本統治時代に建てられた重厚な建築が今も現役で使われている。日本国民としては大事に使ってもらってありがとうという感じだ。折しも改修工事中であまりいい写真が撮れなかったが。
新竹から列車で20分足らずで竹南に着く。
予想以上に気温の低い日が続いていた。竹南駅前のバス乗り場の電光掲示板を見ていたらこれからバスで向かう南庄の最低気温が3℃!。南庄から乗り換えてさらに標高の高いところに行くのだがどうなっちゃうんだと不安がよぎるのであった。
そもそも台湾では気温が10℃を切ると死人が出てニュースになったりする。その多くは凍死ではなく山奥の家で焚き火をして一酸化炭素中毒というものだが。
台北の上等なホテルでさえ暖房がない。エアコンは冷房専用なのだ。年に数日あるかないかの寒い日のために暖房を設備しようという発想がなく、もしもの際は適宜対応してねという方針なのである。
向天湖までバス輪行
目指すは山中分け入った向天湖という湖。
バスに乗って山道を登っていく。竹南からの路線の終点である南庄まで小一時間、乗り換えてさらに小半刻、目指す向天湖に着く。
サイシャット族の村
向天湖集落はサイシャット族の村。苗栗県と新竹県の山間部に約5000人が住むとという、他の6桁の数部族に比すれば比較的マイナーな部族だ。
これまでの数次に亘る台湾旅でもさまざまな部族の文物に触れる機会があったが、サイシャット族は初めてである。
着いてみた向天湖は地味で小さな湖で、とくに名勝地という感じもない。山形朝日町の大沼に来たような気分だ。この一帯は霧が出ることが多く、そんな日はたいそう神秘的な雰囲気に包まれるという。しかし今日は上天気なので大沼だ。
ここはサイシャット族の年に一度の大祭が行われる聖地なので軽んじてはいけない。年に一度の部族の祭りが行われる際には住民と観光客でごった返すという。
といってもこの日はオフシーズンでもあり、人影もまばらだ。原住民も屋台のおばちゃんぐらいとしか接する機会はなかった。屋台もヒマそうだ。
原住民の風物を展示する民俗博物館もあり興味を引かれたが、休みであった。
この辺りは標高800m台だが、この先さり気なく3000m超のガチ高山へと続いていくのが台湾のすごいところだ。かなり山奥まで林道が通じており、2000m超までクルマで行くことができる。ちなみに東西を貫く国道8号線の最高地点は標高2600m超だ。地図で見るとそんな秘境の集落にも宿とかピザ屋とかあったりして驚かされる。
来る前はどんだけ寒いかとおののいていたが、昼前には陽射しが暖かとなりさほどつらくはない。
伝統スナックの屋台で竹飯とソーセージを買って屋外でお昼にする。
そのへんの犬が寄ってきてしばし原住犬と触れ合うひとときは長閑であった。
南庄へ
湖を一周するトレイルをポタったのちダウンヒルに入る。さっきバスで登ってきた道を、乗り換えた南庄を経て三湾の町まで下っていく。
南庄の町
南庄の町に着いた。
老街(オールドタウン)が観光の売りだが、ちょっとツーリスティックで人大杉。
三湾まで
南庄をあとに川沿いの道をさらにたどって走る。
メインの交通路の対岸の道なので平和だ。
三湾の町に着く。
ここにも老街があるようだがどの辺りなのかわからなかった。
あとで調べてもよくわからない。
結局バスに乗っただけという町だった。
ここでサイクリングはおしまい。バスで輪行して竹南、そして新竹の宿に帰った。
新竹で晩餐
次の日は台北に戻って帰国の途につく。
新竹最後の宵を締めくくるべく御馳走を食べに出向いた。
評判のよい海鮮料理屋だ。