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妻氏とはじめて合奏した件 あるいはわたしとジャズフルートの日々

妻氏の発表会に出た件

妻氏は以前からジャズピアノを習っている。
講師の先生は年も近いこともあり気が合うようで、レッスンというより「ピアノのある女子会」という感じで、毎回うきうきと通っている。
終わって帰ってくるたびに「ああ楽しかった」といって機嫌がよくなるので家庭の平和にも貢献している。

例年教室全体の発表会というのがあって、妻氏も毎回出ている。グランドピアノのあるステージで、ベースの講師の先生の伴奏付きという晴れの舞台だ。
今回妻氏が選んだ曲は彼女のイチ推しジャズピアニストであるラーシュ・ヤンソンの「Giving receiving」という曲だった。
レコードではカルテット編成で、ソプラノサックスがリードを取っている。どうすんだいと思ったが、わたしにフルートで入れという勅令が下された。そういえばわたしはフルートを吹いているのだった。
幸いキーはCでフルートにはとっつき易いし、不承不承受諾した。

妻もわたくしも二人とも生活を共にする前から長く楽器をやっているが、不思議なことにこれまで何か曲を決めて合わせたことというのがほぼない。それぞれ勝手に好きな曲を好きな時に好きなようにやっていた。ほんとうはあまり仲が良くないのかもと思われても仕方ないし実際そうなのかも知れない。
果たして今回はじめてよっこらしょと合奏してみるとお互いなかなかにいろいろダメなので二人で頭を抱えたが、ゆるゆると練習を重ね、まあなんとか本番をやっつけることができた。

実奏音源は上げるにしのびないので、原曲を置いておく。どちらかといえばジャズっぽくない、非常に素直でキャッチーなメロディだ。キャッチーすぎて先日秋田に行ったらテレビのローカル天気予報のBGMに使われていた。そのうちスーパーマーケットとかでも流れるかもしれない。

せっかくだからこれを機にジャズのみならずクラシックの小品を何曲かやってみようという機運も高まりつつある(普通と順番が逆だ)。フォーレとかラヴェルとか、フランス近代のあのあたり。

ジャズフルートとわたくし、そしてYoutube教則動画

フルートは仙台に住んでいた時に吹き始めて、ジャズの修業をしたりしなかったりしていた。しかし当時は好きなときに練習できる環境も無かったこともあり、吹いたり吹かなかったりでいまひとつ意欲に乏しかった。そのため近年に至るまで大して上達していなかったのだった。
人前で演奏した経験といえば当時ブラジル音楽のバンドで吹いていたことがあって、ないわけではないが、それは全然なっちゃおらん感じだったので、個人的には黒歴史としてなかったことにしたい記憶である。なのでそれはノーカンだ。
その後、二拠点生活が始まり、さらには一昨年山荘の規模が拡大して笛でも太鼓でも好きな時に気兼ねなく練習できる環境になった。それを機に、初心に返って基礎から稽古してみることにした。

今は楽器を問わず、Youtubeを見ればすごい数の教則動画があり、独学する者には大いなる助けとなる。
フルート教則チャンネルだけでもすごい数だが、その中でもジャンルを問わない基礎的な奏法に関してわたくしがもっとも「おおなるほど!そんなのタダで教えてもらってごっつぁんです!」とありがたく思ったのは以下の二人の先生である。

ジャズ全般、スケールとかコードといったことに関しては、フルートに特化しなくてもあらゆる楽器のものが勉強になるので、むしろサックスとか他の楽器での教則動画を見ることが多い。もともとわたくしはチェット・ベイカーに憧れてジャズに入ったのでそのへんはなんでもいいのだ。フルートとはキーが違うだけだ。

それにしても楽器を問わず、教えるのを生業にしてる人も多いだろうに、これほどまでに無料動画で秘伝を教えてしまったら、習いに来る人が少なくなってしまうのではないかと心配になってしまった。
しかし、動画を見ているだけでは「お前はここがダメだからこういうふうに直せ」といってもらうことはできないので、その点においてこそ先生に習うことの意義があるのだと改めて思うし、また動画を見て「この先生にもっと、直接習いたい」と思って入門する人もあまた生じるであろうから、それは講師ビジネスにおいてプラスにはたらいているのだと推察される。

(写真はおこがましくも有名なジャズフルートのレコード。妻氏もわたしもB. エヴァンスは大好きだが、J. スタイグのスタイルは個人的には好きくないです。)

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