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ブロンプトン積載用バックパックについて考える
以前にこんな記事を書いた。
Birdyその他のミニベロで旅行する際に荷物の積み方をあれこれ試行錯誤した話だ。
ブロンプトンを導入するところで一旦話を切り上げたのだった。
ブロンプトンを導入する際にいろいろ調べた情報の中で画期的と感じたのが、リアにバックパックを積む方法だった。サドルの後部に取り付けた棒にバックパックのショルダーハーネスを通して積む、今となっては定番のスタイルだ。わたしの知る限りでこの方法のパイオニアは米国のサイト Path less pedalledのカップルだ。
そうかこんなやり方があったのかと、わたしは目から鱗が落つる気がした。
それはまた、パニアに積んだ荷物を自転車に付けっぱなしの自転車旅から、適宜ブロンプトンを畳んで片手に持ち、バックパックを背負い、もう片方の手にフロントバッグを持って交通機関にも乗るというマルチモーダルな旅への発想の転換でもあった。ここに於いて自転車旅の自由さとバックパック旅の身軽さがついに融合したのであった。
それ以後、フロントはわたしの場合Sバッグが20㍑、妻氏がTバッグ31㍑*。加えてリアに40㍑以下のバッグパックを載せ、計60㍑前後の荷物を積んで国内外を旅するようになった。
その中で使用してきたバックパックのかずかずに就て今回書いてみようと思う。
*ストレートハンドルのSタイプに大容量Tバッグは装着不可とされているが、実際はハンドルの角度に制約が生じるものの可能ではある。まあ安全面ではおすすめしないけど。
*現行製品はS /T等の製品カテゴリーは無くなり、より多様な形態の製品が出ている。また、vincita 等他社ブランドのものや謎の中華ジェネリックに至るまで選択の範囲は広がっている。
1. Millet (ミレー)あれこれ
ミレーが好きでずいぶん持っている。いかにもおフランスらしい瀟洒なデザインは貧乏バックパッカー感もしくは難民感をも軽減させうるものがある。構造的にも幅広厚めのショルダーハーネスなど、背負い心地を優れたものと成す工夫があり、海外国内ともブロンプトンの旅で頻用している。
ミレー Requin 35
最初に買ったミレーはこれだった。外ポケットや表側の取手など、登山より旅行用パックとしてすぐれた機能性を感じさせた。わたし自身のほか、妻氏にも貸与して何度も旅に使用しており、当家で最も海外に持っていったザックである。
色(写真の玉虫グリーン)もいい。自転車に積むと見栄えがする。トリコロール🇫🇷の小さな刺繍もオサレだ。細身の造りだがデイパックよりは数段上の容量感がある。
ウェストパッドは小物入れ内蔵(引っ張ると袋が出てくる)になっていたりして便利なのだが、何度か使ううち、自転車に積んだり短距離を背負って歩く際にはむしろ邪魔であると感じた。なのであるとき思い切って切除してしまった。ウェストベルトは分離可能な構造なので温存できた。この容量なら腰部の保定はウェストベルトで十分であるし、ブロンプトンの荷台のゴム紐を利用して固定する際にパッドは無いほうが便利である。
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ミレー Kula 40/30
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ラカン35を使っているうち、もうちょっと大きめのがあると便利がいいなと思っていた矢先、安売りでつい買ってしまった。同時に35よりもう少し小さめのもあるといいなとも思って30㍑のものもつい買ってしまった。安売りの勢いで目が眩んでしまったのだ。
40は2気室、30は1気室。加えて両方とも外側にもうひとつ平たい気室がありノートPCなど入れるのに便利だ。40のほうは外側にワイヤーが入っていて荷物が少なくても型崩れしない。
これまでの使用頻度は40のほうが多い。ブロンプトンの旅に適していると感じる。これとフロントのSバッグで総容量60㍑だ。国内旅行には充分な感じである。
30のほうはやや中途半端な感じ、デイパックにしてはやや嵩張るきらいがあって、その用途には他のものを使うことが多い。
どちらもウェストはベルトのみでパッドは付いていない。長時間背負って歩くことの少ないブロンプトン旅にはその方が扱いやすい。
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(参考)持ってないけどカリマーTribute40
英国のカリマーは日頃から打倒ミレーを社是としているのか、同容量同構造類似デザインの製品を出すきらいがある。
このTributeなるモデルは一気室ながら同容量で好敵手と言えよう。英仏対決である。前面がフルに開くところが使いやすそうで、その点においてミレー40㍑の2気室構造のメリットを凌ぐものがあるかも知れない。
ミレー Tarn 25
これは妻氏の所有で、幾度も小旅行に使用している。デイパックサイズなのに2気室である点がめずらしい。
わたしも同容量のデイパックをいくつか持っているが、これがいちばん使い出がいいし、装着感もいい。
色違いで自分のも欲しいと思っているうちにしかし、カタログから姿を消してしまった。
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2. Boreas Buttermilks 55
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25㍑から5㍑刻みで揃えたミレーでの旅を重ねたわたしたちであったが、2018年ヨーロッパの旅に先立って、わたしはkula 40よりもう少し容量のあるやつが欲しいと考えた。フロントバッグにおける妻氏のTバッグとの10㍑の差を埋めようと考えたのである。そこで探したところ行き当たったのがこれであった。
55リットルだが極めて軽量、背中やハーネスには発泡素材のパッドが入っている。元来アタックザックの類に属するもので、本格登山においてキャンプから頂上を目指すために必要最小限のものを詰めて身軽に行動するためのザックである。従って造りも簡素で、上部のフラップ(フタ)も省略されている。
これまでのザックとの大きな違いは、躯体の素材が非常に薄く伸縮性もあることだ。これは実際荷物を詰め込んでみると膨れてしまって見た目も取り回しもよくなかった。ブロンプトンとの組み合わせにおいては40㍑が快適に使える上限ではないかと感じたものだった。
それでも容量の大きさでは有用なものではあったし、外側の大きなポケットに行動中なんでも突っ込めるのは便利だった。
残念なことに、現在は内側のコーティングが加水分解でベトベトボロボロになってしまって使用困難となっている。
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以上がブロンプトン旅での各ザックの使用感であるが、2019年以降はコ口ナ禍、続く五類移行後の公衆衛生の無秩序化のため、旅行もままならぬ日々が続いている。その間にまた購入したザックもいくつかあり、再び旅に出る際にはそれらを使ってみようかとも考えている。それらのもの含め、他にもあまた買い集めたバックパックについて別な機会に記してみたいと思うところである。