天草四郎の命日に天草・島原に行ってきた 〜MR天草四郎〜
ここまでの旅の記録を見たい方はこちらからどうぞ。
→天草四郎の命日に天草・島原に行ってきた 〜1日目〜
まえがき
島原城の「MR天草四郎」を体験してきた感想と見解です。
あまりにも長くなってしまったので、ここだけ単体でまとめることにしました。
さて、いろいろ言いたいことがあるんですが、まず天草四郎のいちファンとしてのシンプルな感想を。
そして次に島原・天草の乱の知識も踏まえた上での見解を書きました。
ガッツリとしたネタバレはありませんが、完全に前情報なしで体験したい! という方は注意してください。
いざ体験
MR天草四郎は、一度に4人まで体験できるようです。
つまり、4人そろえば知らない人同士でも一緒に体験するということ。
わたしのときはたまたま他に誰もいなかったので、完全に四郎さんと1対1で対面することができました。最高でした。
さて、このMR天草四郎。
わたしはこういったVRとかMR用のゴーグルをつけること自体が初めてだったのですが、もう感激の嵐です。
天草四郎と目が合うんですよ……。彼が自分に向かって話しかけてくれるんですよ……。夢?
ホログラムの四郎さんは、自分より少し身長が高めの設定でした。170~175cmくらいだったかな? でも足元を見たらブーツのようなものを履いていました。
いや、もう全体を通して一言で感想を言うなら「良かった」。彼は基本的に敬語で話してくれますが、たまに敬語をやめてくるのでそのたびに心がギュンギュンしました。ありがとうございます。
石田彰さんの声は文句なしで合っていました……。
MR体験中は、実際に館内を歩き回って四郎さんがガイドしてくれます。
四郎さんが自分の前を歩き、こっちですと案内してくれるんですよ? こんな幸せなことある?
おかげで彼の後ろをついていくことになったのですが、後ろ姿も完璧でした。ポニーテール(正しくは「総髪」と言うそうです)が似合う……!
前述の通り、わたしのときは1人だけの体験だったうえ、体験中はスタッフさんも他の観光客も(たまたま)いなかったので、マジで四郎さんと2人きりでした。
憧れの人と2人きりになるという夢のようなシチュエーション、本当に本当にありがとうございます!
後半、四郎さんがなぜかだんだん近づいてきて、最終的に顔と顔の距離が20cmくらいになってしまい「ちょ……待……アワワワワ」と脳がパニックを起こしていました。(しかし顔はガン見)
たぶん4人で体験していたらもっと四郎さんから離れて見るものなんでしょうが、いかんせん1人だったもので、距離感を間違えていたのかもしれません。いずれにせよ最高でした。
天草四郎 vs 幕府軍のシーンではマジで前に飛び出して庇いそうになりました。
おれはこういうときのために居合を習っているんだァーーーーッ!! 刀を貸してくださいッ! 四郎さんッ!!
しかし、そこはご愛敬な展開。四郎さんが怪我をするなどということはありません。ああよかった。
30分ほど四郎さんとの時を過ごし、エンディングへ。
どうやって終わりにするのか気になっていましたが、ちょっと余韻が残る感じで終わりました。
バッドエンドとかではないですが、ちょっぴり泣きそうになってしまった……。
ここ最近、誰かに心酔するということが極端に少なくなっていたので、久しぶりに誰かのファンであるという感覚を味わうことができました。
というかMR四郎さん、顔の造形が美しすぎる。体験中、彼がいろいろキリシタン文化の資料とか出して見せてくれたんですが、ほぼずっとお顔をガン見していました。(資料を見ろ)
島原・天草の乱を踏まえた見解
ここからは島原・天草の乱について自分なりに勉強した上での見解を書きます。割とガチな意見になってしまいました。
本来、島原城は天草四郎や一揆軍にとっては敵、幕府の陣地でした。四郎さんは島原城に来ていないと思いますが、乱が勃発した初期の頃、島原にいた農民たちが島原城や城下町を襲って引き上げ、その後に天草のキリシタン軍と合流したと聞いています。
なので、この催しを島原城でやるのか……!? というツッコミは多少ありましたが、まあ天草四郎の城というか陣地であった原城のほうにはもう何も残っていないし、乱からおよそ400年経った今、幕府軍も一揆軍も天草四郎もまとめて「天草・島原の遺産」という扱いにしているから島原城でやるのかな、と納得しました。
MR天草四郎の内容としては、「一揆軍から見た乱」という感じ。
幕府軍がシンプルな「悪役」として扱われているのを見て、うーむ本当はそんな単純なことじゃないぞと思ったんですが、島原・天草の乱について知らない人にもわかりやすくしたのかもしれません。少なくとも、天草四郎にとっては敵に違いなかったので。
そもそも幕府軍がなぜキリスト教を禁止したのか、ざっくり言うと「キリスト教を布教する国と日本国内のキリスト教徒が結びつき、幕府に反抗することを防ぐため」だったと理解しています。
実際に軍事的に介入しようとしてきた国もあったと聞きますし、そもそも当時の日本では「将軍様が唯一無二にして絶対的な存在」です。
そんなところに「神様が一番で、人間は将軍も農民もみんな平等」と説くキリスト教が広まってしまえば、幕府の威信は薄れてしまいます。それを防ぐ目的もあったのでしょう。
いろいろ言いたいことはありますが、幕府が絶対悪、何もかも幕府が悪い、とまではわたしは思っていません。このあたりは遠藤周作の『沈黙』でも描写されていたかと思いますが、日本という国を運営していく幕府にもいろいろ考えるところはあったのでしょう。
ただ、幕府のやり方はあまりにも乱暴だったのではないでしょうか。
なぜ民がキリスト教に心を寄せていったのか、キリスト教を信じることがなぜ彼らの幸せだったのか。権力者たちが彼らの心を理解しようとしなかったのが、乱の原因のひとつだと思っています。
北風と太陽の北風みたいなことを幕府や大名はやりました。北風どころじゃなく暴風雨という感じでしたが。
話は天草四郎に戻ります。
このMRに関しても、正直に言うと「天草四郎を乙女ゲームのコンテンツみたいに扱わないでほしい自分 vs 大喜びしている自分」で大戦争が勃発していたんですが(めんどくさいオタクですまない)、これで天草四郎の知名度が上がったり、彼や島原・天草の乱について興味を持って調べようとする人が増えるのなら、とてもいいことだと思います。
「島原の乱について背景や詳細まで詳しく知りたい!」という人にはあんまり向いてないかもしれないけど、ライトな感じで天草四郎や当時のキリシタン文化に触れてみたい人にはちょうどいいんじゃないでしょうか。
あとホログラム天草四郎に会ってみたいって人には超オススメです。もちろん「等身大ではない、多少は脚色された天草四郎である」ということを踏まえて見るのなら。
いろいろ書きましたが、わたしのような天草四郎大好き人間からしたら、本当にうれしい催しであったことは確かです。
MRで現実の空間とホログラムを組み合わせるというアイデアには脱帽です。これで興味を持ってくれる人が本当に増えればいいなあ。
MR天草四郎は、今回天草だけではなく島原城にも行こうと決意した理由になりました。
「絶対に会えない大好きな人」に、ホログラムや作り物でも会えたことが、純粋にうれしかった。
とても幸せな時間でした。ありがとうございます。
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