マーケティング戦略の基礎理論まとめ(競争戦略編)
このマガジンは、事業会社でマーケティング担当者として13年以上働いてきた私が、事業会社のマーケターだからこそ得てきた経験を、今後マーケティングに関わる方や、マーケティングを学びたい方に役立てていただくために残すものです。お仕事でマーケティングに関わる方もそうでない方にもお役立ていただけるものにしたいと思っておりますのでぜひお付き合いください。
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今回はvol.2として「マーケティング戦略の基礎理論(競争戦略編)」をテーマに書いていきたいと思います。
事業戦略の流れ
経営学(MBA)には、「競争戦略論」という分野があります。この分野は、マーケティング戦略の1つ上のレイヤーである事業戦略と密接に関わっています。一般的には企業の若手マーケティング担当者がこのレベルの戦略を立てるのは珍しいことですが、上位戦略をよく理解することはより良いマーケティング戦略を立てることにとっても重要ですので、ここから話を始めたいと思います。
事業戦略は、以下の流れに沿って考えるととても理解しやすいです。
1.業界を評価する
2.戦略を立てる
3.戦略を実行する
4.事業を持続させる
今回はこの1〜4のステップに沿ってそれぞれの基礎理論を見ていきましょう。
1.業界を評価する
まず、話は「業界を評価する」ことから始まります。業界とは、自動車、飲食、消費財、マスコミ、などの分類のことですね。まずは、自分が商売を行っている/行おうとしている業界がどのような状況かを評価しましょう、ということです。いわば、自分がどこの「土俵」で戦うか、ということですね。競争戦略論の大家マイケル・ポーターによると、この「土俵選び」が戦略の中で最も重要だとされています。
例えば、天才といわれる野球選手の大谷翔平選手が、野球という業界を選ばずに、小説家という業界を万が一選んでいたとしたら、どんなに素晴らしい運動能力や素質を持っている大谷選手も、ここまで有名にならなかったかもしれません。その人(その事業)の能力以上に、最初の土俵選びは重要だということです。
業界の分析ツールとしては、マイケル・ポーターが提唱したファイブフォースというフレームワークがあまりにも有名です。
【ファイブ・フォース分析】
その業界の価値(どのくらい儲かりやすいか)を決めるために、以下の5つの観点で評価すること。
既存競合の脅威:すでにいる競合との競争はどのくらい激しいか
新規参入の脅威:新たに入ってくる競合への障壁はどのくらい高いか
代替品の脅威:直接的な競合ではなくても、代替品となり得るものはあるか
買い手の脅威:顧客にどのくらい交渉力があるか。スイッチングコストはどのくらい高いか
供給者の脅威:原材料や製造側などの供給者の交渉力はどのくらい強いか
例として、英語学習サービス(英会話学校など)の業界で新たなビジネスを行うと仮定して見てみるとこのようになります。
既存競合の脅威:英会話スクール、英語学習参考書、安価なオンライン英会話サービスなど、極めて競合過多
新規参入の脅威:大きな設備投資や、法的な規制、特別な技術の必要性などの影響は小さく、新規参入の脅威は大きい
代替品の脅威:海外ドラマや洋楽、洋書などの直接英語学習に関わらない手段も存在している
買い手の脅威:消費者にとってスイッチングコストは低く、買い手の力は強い
供給者の脅威:ネイティブスピーカー講師の採用は簡単ではないものの、ネイティブ以外の選択肢もある
こう書いていくと、英語学習サービスの業界というのは非常に厳しい状況にあることが分かりそうですね。一つの判断としては、この分析結果を確認して「参入しない」という決める選択肢もあり得そうです。これはその時の経営者の判断になるでしょう。
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マーケターが最初の3年で学ぶこと
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