〜街なか人狼テク①〜当たり前を語って「すごい!」と思わせる営業マンに学ぶ、占い騙りのテクニック
ウォーターサーバーの営業マンに「停電や断水の時でも水が出るんです」と言われた時、わたしは「すごいですね!」と相槌していた。
当たり前のことを言っただけの彼は、どのようにしてわたしの関心を引いたのだろうか。なぜわたしは、当たり前のことに対して「すごい!」と感じてしまったのだろうか。この記事では恥ずかしさと悔しさをバネにそれを分析し、人狼ゲームにおける占い騙りに応用しようと思う。
断水時も水が出るウォーターサーバー
「停電や断水の時でも水が出るんです」
そう言った営業のお兄さんの明るい声を聞いたわたしは反射的に答えていた、「へぇ〜いいですね」と。
週末のショッピングモールで配布されていたサンプリングのティシュを受け取って、「ついでにお水もひと口飲んで行きませんか」と誘われて、わたしはウォーターサーバーのキャンペーンを実施している一角で、セールトークを聞かされているところだった。
しかし、読者の皆さんはお気づきになったのではなかろうか。
「いや、当たり前じゃん。」と。
ウォーターサーバー (Water Server) とは交換式のタンクから冷水や熱水を供給する機器。ウォーターディスペンサーとも言われる。水の容器をガロンボトルという。 出展:wikipedia
ウォーターサーバーとは上記に引用した通り、交換式のタンクを使用して水を供給する仕組みの機器である。
つまり、水を満たしたタンクを事前に用意し、それを機器に設置する必要があるわけだ。
だから、「断水時でも使える」という説明は正確には「水を事前に用意して置くから水道が止まっていても使える」という意味であり、ウォーターサーバーの機器が凄い訳ではないのだ。
わたし自身、セールストークから逃れて落ち着いて考えてからは、なぜ即座に気づけなかったのか不思議なほど、「当たり前」の話でしかない。
しかしながら、その時のわたしはお世辞でもなんでもなく、心から「へえーすごいですね」と言ってしまったのである。
その原因を、以下の3点にまとめたい。
①ジェスチャーで操る
ジェスチャーを上手く使うと、相手の注意を引き付けることが出来る。
実を言うと、わたしはウォーターサーバーを利用したことがあまりない。歯医者や薬局の待合室で使ったことがあるくらいである。だから、ガロンボトル(水の容器)を設置した経験が無いし、それどころか、正直そこに水が溜められているのだということをきちんと認識していなかった。
ウォーターサーバーからどんな仕組みで水が出るのか、よく分かっていなかったのである。
しかし、たとえそうでも、お兄さんがボトルに注目させるような仕草をしてくれたら、わたしにも仕組みが想像出来たはずだ。そして仕組みさえ分かっていたら、「当たり前じゃん」という反応も、きっとすぐに出来た。
だが、お兄さんは、冒頭の台詞を、コック(蛇口)から水を出しながら言ったのだ。
これによりわたしの視線はコックに縫い止められ、ボトルも、そして真相も、眼中に入らなくなってしまった。
②抑揚で誤魔化す
前項で述べたジェスチャー。これは、お兄さんにとって故意だったのか偶然だったのかは分からない。が、こちらは確実に故意の技だった。
「停電や断水時でも水が出るんです。」
その台詞の後に。小さな、か細い声で。早口に。
「常温ですけど」と、彼は付け加えていた。
出る水が常温となれば、ペットボトルの水を備蓄しておいて飲むのと全く変わりがない。そこに気付かれないように、彼は小声で言ったのだ。
抑揚を付けると、自分に都合の良い事実を強調し、都合の悪い事実は印象を薄める事が出来る。
③デメリットは自分で提示する
抑揚を付ける事で都合の悪い事実から目を背けさせようと図った彼だが、都合の悪い事実があって深く追及されたくないとき、人はもっと楽な手段を取ることが多い。「沈黙」という手段だ。
しかし彼はデメリットも自分から提示した。
それは何故だ?
デメリットを自分から教えてくれる人と、こちらから指摘するまで教えてくれない人。どちらが「信用できる」人物だろうか?
人は、話者が自ら不利になるような発言をしているのを聴くと、「誠実な人だな」と感じやすい。そして、誠実な人の話は信用できると判断する。
だから、デメリットを自分から開示するという行為によって「信用を稼ぐ」ことは、長期的に見れば相手からの好感を得て購買意欲を上げる可能性のある技なのである。
まとめ
ウォーターサーバーの営業マンのお兄さんが「断水時でも水が出る」という当たり前のことをさも凄い事のように思わせた、という事件から、彼の行動を分析した結果、
①ジェスチャーで操る
②抑揚で誤魔化す
③デメリットは自分で提示する
という、3つのスキルが見えて来た。
これらはどれも人狼ゲームにおいて応用が出来る技術である。特に、信用を勝ち取って議論をリードしたい占い騙りの人外には打って付けであろう。
これから先、占い騙りをする日が来たら、ぜひこの記事を思い浮かべて実践してみて欲しい。
富士山の美味しい水があなたに味方するはずだ。
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