オーストラリアが闇深くて涙ゼロで帰るかも

オーストラリア生活もそろそろ１年。

アボリジニのストーリーを歌った歌

先日こんな歌を教えてもらいました。

From Little Thing Big Things Grow
小さなことから、大きなことが生まれていく

オーストラリア政府から人権を認められず
本来持っていた土地を奪われ、
それを取り返す物語を歌にしたものです。

登場人物は
ヴェスティ卿というオーストラリア人と
ヴィンセント・リンギアリという
アボリジナルの人物で、

彼を含むアボリジナルの人々は牧場で働いており、
ヴェスティ卿に対して、
そこが元々自分たちの土地であり、
返還を求めます。

印象的だったのはそれに対して
ヴェスティ卿の返事を歌ったパートです。

Vestey man said,
"I'll double your wages Eighteen quid a week you'll have in your hand"

ヴェスティ卿は言いました
　「賃金を倍にしよう、
　　週に18ポンド得ることができるよ」
（　≒ つまり土地は返さない　）

この歌詞を聞いたとき、

あ、これ知ってる
私、今まさに会社で経験したやつだわ

と感じてしまったのです。

仕事をしていると、

ポジティブで夢に溢れたような言い方をされるのですが、

隠された嘘があったり、
微妙な仕事であったり、
本当に得たいものを得るための嘘、

そういったことがよくあって、
後から「あれ？？？」と気分を害されることがあるんです。

仕事のやり取りだけならいいのですが、
一年かけていろんなところへ訪れるなかで

アボリジナルとオーストラリアの関係に
凄く大きな闇を感じるようになってしまいました。

アボリジナルを知ろうとしないオージー

たとえばショッキングなことに、
私の会社でいうと、
ほぼ全員がウルルへ行ったことがありません。

仕事でアボリジナルのことを調べて
打ち合わせに行って、
ブッシュタッカーや星空の読み方などを聞いてみたら
みんな知らなくて驚いたことも。

ウルルの隣にあるカタジュタという場所に至っては
名前を知っている人に会ったことがなく、
スペルを聞かれる始末。

"アボリジナルをサポートしている”
とアピールしている会社があったのですが、
彼らに話を聞いてみると、
多額の寄付をしているだけで、
実働は別団体だったり。

あれ…多様性の国だよね…
同じ国に住んでるよね…
あちこちでグッズ売ってるよね…
オリンピックユニフォームの柄にも入れてたよね…？

美術館や博物館にもかなり行きましたが、
「この土地をみつけた」というストーリーが多く
「土地を奪った」とはほとんど記述されていません。

一年かけて見てきて、なんとなく…

アボリジナルの人たちをアーティスト扱いして
社会と一線を置こうとしている

…と、うがった見方をしてしまいます。
絶対そう、とは言えないけど
私にはそう見えてしまう、
そう見える人が多く感じてしまうのです。

つい去年には
先住民の声を政策に反映する法案について
国民投票で全６州が過半数拒否で、否決でした。
2024年の今も、
アボリジナルの権利に問題があるんです。

先日はこんな本も見つけました。

裏表紙に書かれた概略を一部引用すると、

We've had 236 years of continued destruction in the name of 'civilised progress', under an oppressive colonial system that punches down on almost everyone. We all deserve more. But to move forward we have to be honest about the past.

「文明的進歩」の名のもとに、236年間も続いた破壊がありました。抑圧的な植民地制度の下で、多くの人々が苦しんできました。私たちは皆、もっと良いものを求める権利があります。しかし、前に進むためには、過去について正直でなければなりません。

と、あります。

うーん。。。。。。

一年オーストラリアに住んでみて
大自然に癒されたり、
気持ちのいい人に元気をもらったりもしましたが、

何かの上に都市が築かれている、
まだ悲しんでいる人がいるが、
対外的に隠している、
蓋をしようとしている、

不気味な気持ちが止ません…

気にしない、無理しない、のがオージーのいいところですが、
こういったことにまで知らない顔をする、
そんな国民性だったらどうしよう。

私の前任者は
楽しかった！帰りたくなくて泣いた！
と言っていましたが…

え…どうしよう、
私は涙ゼロで帰るかも。


ラスト１ヶ月なのに
不信感がやばい。
心の底から楽しいなーと思えない。

んーこまったな。

…みなさん、どうですか？