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オスカーウォッチャーが解説する、それじゃあ組合賞ってなに?

昨日のエントリーで書いた、オスカー予想をする上でゴールデングローブより大事な組合賞とはいったいなんなのか。簡単に説明します。

アカデミー賞の行方を決めるアカデミー協会員とは、映画業界で働く様々な専門職を持つ人々で構成されています。アカデミー協会は、その専門分野が部門として分かれていて、各メンバーはどこかひとつ(ふたつの人もいる)の部門に所属します。俳優部門、監督部門、音響部門、撮影部門等々です。アカデミー協会の部門とは別に、アメリカの映画業界は各分野でそれぞれ、組合が形成されていて、ハリウッドで働く人たちはたいてい、どこかの組合に属しています。それぞれの組合は毎年、その専門分野で活躍した功労者に対し、独自に賞を与えています。これが組合賞です。

アカデミー協会員は、各分野の組合に所属する組合員で成り立っているので、アカデミー賞の投票権を持つ人は、組合賞の投票をする人と重なります。つまり、ゴールデングローブや他の批評家賞のように、協会の外の人が投票する賞ではなく、中の人も含んだメンバーで決めているのが組合賞であり、批評家賞との一番大きな違いです。最終的な受賞結果の統計を見ても、組合賞の結果がアカデミー賞の結果と重なることは多く、組合賞を獲った=各賞のフロントランナーに躍り出た、と解釈することは間違っていません。

今年のアカデミー賞のノミネーション投票は、現地時間の8日、日本時間で言うと今日の深夜から、12日まで行われますが、その真っただ中の今晩0時半(ロスアンジェルス時間で午前7時半)に、最も重要な組合賞と言われる俳優組合賞(SAG)のノミネーションが発表になります。同じく重要な監督組合(DGA)のノミネーション発表も8日中です。その後9日に脚本家組合(WGA)、10日に製作者組合(PGA)のノミネーションが立て続けに発表され、その直後にアカデミー賞ノミネーションの投票期日が終わりを迎える、と言う、今年はなんともタイミングの重なるスケジュールになっています。

2月になると、これらのノミネーションから最終的な1作品、いわゆるオスカー受賞作品が選ばれることになり、この組合賞結果が直接的にオスカー予想の指標となります。今年予想をしてみようかな、と思っている皆さんは、まずはこの、各組合賞の結果に注目すると、的中率が上がると思います。

まずはSAGとDGA。SAGのノミネーションは明日の朝起きた時には出ているはずなので、オスカー戦線はそこから始まると思って頂いて構いません。ゴールデングローブを獲ったとしても、ここでノミネーションを逃すと、かなりな痛手を負うことになるので、とりあえず今晩のノミネーションに注目しましょう。

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