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オスカーノミネーション出ましたので、とりあえず現時点での感想を記しておきましょう

山火事の影響で2回の延期を経て、1週間遅れの23日、ようやくオスカーノミネーションが出揃いました。率直な感想は「全然面白くない」。なぜ面白くないのか、その一番の理由は、それまでに発表されている国際映画祭、批評家各賞の結果をなぞるような、まるで特徴のないノミネーションになっていたことにあります。

アカデミー賞はここ10年の間に、協会員の数を劇的に増やし、それもダイバーシティを重んじて海外からの会員を多く受け入れたことで、ここ5年ほどのノミネーションは非常に国際的になっています。それ自体は悪いことではないのですが、今年のノミネーションの結果だけを見ると、それは去年のカンヌ映画祭やベネチア映画祭で賞を獲った、注目された作品に極端に偏っており、ハリウッド作品は見る影もありません。アカデミー賞ってどこの国の賞だっけ?と思ってしまうのは避けられない状況ですし、これでは国際映画祭を追ってればいいじゃんとなってしまうのが悲しいところです。

今年はノミネーション投票の一番大事な時に、ロスアンジェルスの山火事が大変なことになり、業界人も多く住むパシフィック・パリセイズと言う地域が壊滅的な被害を受けました。私の知り合いでも家をなくした人がいます。これにより、アカデミー協会は投票期間を延長しましたが、果たして家が燃えてしまった人が、アカデミー賞を気にする余裕はあったでしょうか。今回のノミネーションは、山火事でハリウッドが大変なことになった影響で、通常なら投票をする多くのロスアンジェルス在住会員が、オスカーに振り向きもせず救援活動をしていた反面、ロスアンジェルス外に住む海外などの会員は通常通り投票をした結果、海外映画祭と同じようなノミネーションになったと推測しています。つまり、ノミネーション時点での不可抗力により、本来はもう少し個性のある内容になったかもしれないノミネーション結果が、批評家や国際映画祭の反響をそのまま残すようになったのではと思っているのです。

現時点で山火事はまだ収まったわけではなく、ハリウッドは精神的に大きなダメージを受けています。今年はノミネーションから授賞式までの時間が短いので、このまま多くのハリウッド会員が今年のオスカーに参加しないまま授賞式を迎えるのではないかと心配です。新しい大統領が就任した事だけでも大きな社会的変化ですし、山火事被害の復興のために恒例のランチョンもアカデミー協会の決断により中止になるなど、とにかく異例ずくめの今年のオスカー。ここからどう進んで行くのか、要注目です。
(日本でWOWOWの生放送がないのもいつもとの大きな違いです。)

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