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【DXリアルと予測】#03:クリニックにおけるAI活用の実態

こんにちは!目利き医ノ助の松岡です。

目利き医ノ助の運営を通して全国のドクター方から様々なDX化、業務効率化の相談をいただいている立場から、クリニックにおけるDXのリアルな現状と、私なりの今後の予測をざっくりラフに書いていき、クリニックに関わる方々に少しでもお役に立てればと思いシリーズモノでお伝えしていこうと思います。
#03として、《クリニックにおけるAI活用》ついて書いてみようと思います

はじめに

ここ1~2年で急速に進みつつある、医療業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)。その中でも特に注目を集めているが、AI(人工知能)を活用したITシステムです。クリニックにおいても、診療の効率化と患者ケアの質の進歩を確保するため、AIの導入が進んでいます。発展途上な分これから大いに活用の幅が広がると思われるAI搭載ITシステムの現状、具体的な活用例、そして今後の予測をしてみたいと思います。

クリニックにおけるAI搭載ITシステムの現状

AIとプログラムによるソリューション例

1.画像診断

医療機器の部類になりますが、AI搭載が早かったシステムとしては画像診断の分野になると思います。画像処理系はもともとAIが得意とする部分でもあり、X線やCT、MRIなどの病変に当たりをつける機能はすでに広く活用されていることは周知のことと思います。

2.問診システム

デジタル問診においても”AI問診”と言われる製品は3~4年前から市場に提供されていました。従来からあるAI問診の特徴としては、単一な問診を入力してもらうというよりは、設問の回答に対しAIが次の設問を出し分け、症状や疾患に当たりをつける。といった感じですね。
幅広い症状を診るクリニックのトリアージに使うイメージが近いと思います。
ただこの1年でリリース(予定を含む)された製品では、問診で入力された内容をAIが要約してSOAPテキストに変換し、カルテ記載を支援するタイプもあり、今後も増えてくると思います。

3.自動電話応答(IVR)

自動電話応答(IVR)は、公共機関や通信会社でよくある、『◯◯のご要件の方は1を』『△△のご要件の方は2を』『その他のご要件の方は3を』といったアナウンスが流れる仕組みですね。従来は『Aを選択したらBの処理をする』『A'を選択したらCの処理をする』といった、プログラムされた動きがメインでした。
これがAI搭載になると、『その他の要件』に対しても要望をヒアリング、要約し、チャットに誘導し対応することができるようになります。

■例:頭痛がひどく目眩もあるがこのクリニックで予約が取れるか入電
(IVR)
・診療時間の問い合は”1”を、予約を技希望の方は”2”を、その他の方は”3”をのように内容によって振り分けを行います。また、ホームページに載っている情報の問合せなどはURLを自動返信するなども可能です。

4.AI音声要約

これは読んでそのままですが、音声を録音し要約してくれるソリューションです。医療専門の製品であれば、医師と患者の会話を録音しておき、診察後に『SOAP』に要約振り分けをしてくれます。
一昔前の音声入力製品と混同されやすいですが、ただ音声をテキスト化する製品と違い”要約”してくれるため、そのままカルテにコピペできる点が管理効率化になります。また音声の認識精度(医学用語変換も)もかなりのレベルにあるので進歩を感じますね。
★ポイント★
・カルテ記載の手間が大幅に削減できるため、クラーク不要になる可能性
・患者とのやり取りを録音できるためエビデンスになる

5.AIテキスト要約

上の音声要約と似ているソリューションで、テキスト入力されたデータを要約してくれるソリューションです。単に音声かテキストかの違いのように思えますが、現場での活用場面は異なってきますね。
実際の活用場面は、問診入力など患者が入力した内容をカルテ記載用の用語に変換要約してくれるため、問診の取込作業、問診の視認性が向上します。
★ポイント★
・来院前の問診入力により待ち時間の削減になる
・問診取込作業が大幅に削減されるため他業務に時間を割ける
・患者が入力した内容のためエビデンスになる

AIだけが正義じゃない

AIは確かに素晴らし技術で活用できればすごい効果を発揮してくれるため、どこを見ても”AI”という文字が目立ちます。しかし、AIでなくても、従来からある”プログラム”で制御された製品がマッチする場合も多く、混同しがちなのも事実です。特に近年は『RPA(Robotic Process Automation)』と言われるPC上の操作を記録し、条件に沿って自動で動作を行ってくれるソリューションもよく目にします。
では”AI”と”プログラム”がどう違って、何に向いているのかを簡単にまとめてみます。

AIとプログラムの違い

上図のように
■AI:自己学習により成長するため【柔軟性と進化の可能性】が魅力
■プログラム:指示により動作するため【確実性と安定性】が魅力
となります。
そのため、業務の中でも『決まった作業を繰り返す』『特定の条件下できまった作業を行う』ようなものはプログラムで対応したほうが確実で安定した結果得られるでしょう。
逆に『アイデアを出す』『要約する』や、『ヒアリング』『対話』から結果を推測していくような『判断』が伴う業務はAIが向いているといえるでしょう。

まとめ

AIにしてもプログラムで動作しているソリューションにしても、まずは課題に対する解像度を上げることが重要になると思います。
業務効率化と導入フローとしてはしたのように進めてはどうでしょうか。

AIかプログラムかの選定フロー


①課題がある業務は何なのか?
 ⇩
②その課題はなぜ発生しているのか?
 ⇩
③発生原因は『柔軟性・判断』が伴うか、『確実性・反復』が必要なのか?
 ⇩
④AIかプログラムかを判断しソリューションを検討していく

いずれにしてもこれら新たなソリューションを理解して、取り入れていくことで”人的経営課題”を軽減できると思いますし、私たち目利き医ノ助はこういった情報提供を通して、医師、スタッフ、経営者の方のお役に少しでも立てればと思っています。

【執筆者プロフィール】

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