調子がいい時しかがんばらないやつを信頼できるかどうか
コーチングの現場にいると、
選手のモチベーションをあげるというのが、
コーチの仕事の大半を占めると思う時がある。
なんのトレーニングをするかよりも、
どんな風に取り組むのかということのほうが大事だ。
トレーニングというのは方法論であって、
絶対解があるわけではない。
このトレーニングをしていれば絶対勝てるというものはない。
だけれども、このトレーニングをしていても
上達したり、より良くはならない。
というトレーニングはある。
それは100%で取り組まないというものだ。
パフォーマンスの波は取り組みの波
調子がいいときはがんばる。
気分が乗ったときだけ本気出す。
うまくいかないときは途中でやめる。
面白くないことはやってるふりをして時間が過ぎるのを待つ。
そんな取り組み方だと、
絶対に、確実に、上達のスピードは遅くなる。
なんなら、パフォーマンスが安定しない。
波があるとはそういうことだ。
試合というのはいいときもあればそうじゃないときもある。
波があるとうまくいかない状況を好転させる選手にはなりにくい。
いいときは何をしてもうまくいく。
それこそ、爆発的に派手な大活躍をするかもしれない。
そうじゃないときに何ができるのか、
が選手としての付加価値になると思うが、
おそらくそんな選手は悪い状況下でも最大限のファイトをして
何とかして情況を変える側の人間にはならないだろう。
気分が向いたとき、楽しいときにはすごい集中力でがんばれる。
疲れたらやらない、気分が向かないとやめてしまう。
3歳児でもそうだ。
100%とは何なのか?
100%というのは、
いま持てるものを、最大限に発揮するということだ。
常に100%追い込むトレーニングが正解かといわれたらそうでもない。
体力的に追い込むトレーニングが絶対解ではないからだ。
100%というのは、
フィジカルはもちろんだが、
メンタルや戦術理解の面でも100%を発揮することが大事だ。
言われたことを全力でやっていたら100%かといわれると、
そういうわけでもない。
思考という部分で止まってしまっていては、
体は100%でも、頭が100%ではない可能性がある。
怪我などがあって動きに制限があるときに、
だからこそ何ができるのかを考えるというのも大切になってくる。
体も脳みそもフル回転させる。
その時のベストを尽くすということが、
100%になるのだと思う。
それは100点を取れというわけではない、
その瞬間の100%を目指すのだ。
自らを奮い立たせる
自分の思い通りにならないとがんばれない、
というのであれば、
いつまでたってもモチベーションを他人にゆだねることになる。
外発的動機づけがないとがんばれない、
もしくは気分の波が来ないと何もしない人間になってしまう。
そして、自分の意識の中では
がんばっているので、
それを評価されないとふてくされてしまう。
がんばりたいときにだけがんばって、
それ以外は並以下の取り組みで、
なんなら集団に対していい影響は一つもないのに、
主張だけはして、評価はしてほしい。
人は都合のいいものだ。
評価するほうも、
「今日はがんばってるなー」
と感じる。
しかしながら、
実力的には平均かもしれないけれども、
いつもがんばってるやつはいる。
できないなりにいつも全力を尽くそうとしているやつもいる。
指導をしていると、
そういういつもの姿や姿勢が当たり前になってしまって、
目立たない存在になってしまうかもしれないが、
実はそういう選手にこそ価値があったりする。
いつもいつでも、どんな時でも、
100点じゃないかもしれないけど、
100%を目指して取り組んでいるやつの存在をないがしろにしてはいけない。
ふてくされるから、といって選手に忖度をしていては、
「あの選手には優しいけど、私には厳しい」
「どうせあの人には何も言わない」
と言って指導者への不信になる。
もちろん、時と場合によって、
言うべき人間、言うべきタイミングを考えることもある。
指導する側の基準というかはっきりとした姿勢は大事だ。
まとめ
今日は70%でいいや。
と思ってトレーニングをしている選手は伸びない。
これは選手自身も分かっているはずだ。
下手になるためにトレーニングする選手はいない。
上達するためには100%でやる必要がある。
わかってはいるけども、毎回毎回そんな風に取り組めない。
だからこそ、指導する側のアプローチが大事になってくるのだが、
最終的に、指導する側としては、
なんのトレーニングをするかというよりも、
どうやって取り組ませるかというアプローチ。
そしてどうやって取り組むのか、という部分へのアプローチが必須になる。
いま持てるものを100%発揮する。
発揮させるというの能力を育むことが大事だ。
スポーツだけに限らず、どんな時もだ。