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Obsidianをスマホで使わない理由

ObsidianはMarkdownをベースとした強力なノート管理ツールで、多くのユーザーから高い評価を得ています。プラグインやカスタマイズ性の高さによって、自分好みの情報整理環境を構築できるのが魅力です。一方で、使い方によってはオーバースペックになったり、外部サービスとの同期が煩雑になったりすることも少なくありません。

本記事では、私自身が「Obsidianのスマホ同期をやめた理由」と「今後どのような運用方針でObsidianを使っていくのか」について、具体的な背景や体験を交えながら紹介します。


1. そもそもObsidianをスマホで動かす意味があるのか?

1-1. Obsidianの特徴

  • ローカルファイルベース:Obsidianはクラウドではなくローカルファイルをそのまま編集する仕組み。データが自分の手元にあり、オフラインでも使えるのが大きな強み。

  • プラグイン・テーマの豊富さ:拡張機能のプラグインやCSSテーマが多数存在し、自分のワークフローに合わせて自由にカスタマイズできる。

  • 高速なリンク作成:Markdownリンクや双方向リンクなどの機能を活用することで、ノート間の関係性を視覚化しやすい。

これらの特徴から、PC上での知的生産や大規模なノート管理には非常に優れたツールだといえます。

1-2. スマホでの利用価値

一方で、スマホでObsidianを使用する場合、期待できるメリットとデメリットを整理してみます。

  • メリット

    • どこでもノートを閲覧・編集できる

    • 移動中のアイデアメモやちょっとした修正が可能

    • PCを立ち上げなくてもすぐにノートを参照できる

  • デメリット

    • スマホの画面サイズが小さいため、リンク構造を俯瞰しにくい

    • Markdown記法やプラグイン操作がタッチ操作では煩雑

    • PC版ほどの拡張性を活かしきれない

    • 競合や同期の手間が発生しやすい

上記を踏まえると、Obsidianの真価を引き出すには、やはりPC環境がベストと感じます。スマホはあくまで「閲覧やちょっとしたメモの編集」にとどまり、思考を深めたり複数のノートを行き来しながら作業したりするには不向きだと感じました。


2. スマホとの同期をやめた経緯

2-1. 使い始めは便利だと思った

当初は、「PCで作成したノートをスマホからもサクッと参照したい」「移動中に思いついたアイデアをすぐに書き留めたい」という考えから、スマホ版Obsidianの利用を始めました。

  • 電車の中でブログ記事の下書きを見返す

  • 思いついたキーワードをその場でノートに追記する

  • Markdownのリンクを活用して、新しいアイデアと既存ノートを関連付ける

こうした使い方は一見魅力的でしたが、徐々に「Obsidianをスマホで使う必要性」に疑問を抱くようになりました。

2-2. 画面サイズの制約

もっとも大きな理由は、やはりスマホの画面が狭いことです。Obsidianは複数のペインを表示してノートを横並びにしながら編集したり、プラグインウィンドウを開いたりといった作業が想定されています。しかしスマホ版だと、1画面に表示できる情報量が圧倒的に少なく、

  • リンク構造の確認がしづらい

  • 参照元のノートと書きかけのノートを同時に見られない

  • 誤タップが増える
    といった問題が頻出しました。

2-3. 入力デバイスの問題

Markdownの記法や短いスニペットをサクッと書くには、やはりPCのキーボードが理想的です。スマホのソフトウェアキーボードだと以下のようなストレスがありました。

  • アスタリスクやバッククォートなど、Markdownに多用する記号の入力が面倒

  • 一度に多くのテキストを入力しづらい

  • タイピング速度が落ち、思考の流れが途切れる

もちろん外付けキーボードを使う方法もありますが、それならいっそノートPCを使ったほうが効率的と感じました。


3. Obsidian Gitとの同期の問題点

私はノートをバージョン管理するために、Obsidian Gitというプラグインを導入していました。Gitを活用すれば更新履歴を細かく残せるだけでなく、複数端末間の同期も可能です。しかしスマホでの利用において、以下のような問題が深刻化しました。

3-1. 競合の頻発

Gitでは同じファイルを別の端末で同時に編集した場合、マージ作業が必要になります。たとえばPCで編集して保存(コミット)しないまま、スマホで同じノートを変更してしまうと、後でプッシュやプルを行った際に「競合」が発生します。テキストベースだからこそ解決は容易とはいえ、細かい差分を手動で確認する作業は手間でした。

3-2. 手動同期のわずらわしさ

Obsidian Gitは自動同期をするわけではなく、ユーザーが手動でpushやpullを実行する必要があります。これを忘れていると、スマホに最新のノートがない、または逆にスマホ側の編集内容がPCに反映されていないという状況が度々発生し、結局PC上で整合性を確認しなければならない手間が増えていました。

3-3. スマホでのGit操作

そもそもスマホでGitを操作するのはあまり快適ではありません。タッチ操作でターミナルのようにコマンドを打つわけにもいかず、プラグイン側のUIを使うにしてもミス操作が多かったり、エラーが出た場合に原因を特定しづらかったりとストレスが溜まりました。結果的に、「PCで一元管理したほうがシンプルでいい」という結論に至ったのです。


4. スマホでObsidianを使わない選択肢

「それでもスマホでObsidianを使いたい」という人はもちろんいると思います。出先でノートをがっつり編集したい、PC環境をほとんど使わずスマホメインで生活している、など個々の事情によってはスマホ版Obsidianの価値は高いでしょう。

しかし私の場合は「PC作業が中心」「外出先での編集頻度は低い」「シンプルに運用したい」という理由から、結果的にスマホでのObsidianのメリットが少なく、デメリットの方が大きいと感じました。スマホ上でできることは、既存のメモアプリ(Google KeepやAppleメモ、Notionなど)で十分事足りる場面が多いのです。


5. 今後の運用方針

5-1. PC中心でのローカル運用

現在は、Obsidianのノート管理をローカル環境に限定して運用しています。クラウドやGitによる頻繁な同期は行わず、PC内のフォルダを中心にして管理する形です。

  • 重要なノートはローカルに保存し、バージョン管理は必要に応じて手動でGitを使う

  • 定期的にバックアップを外部ドライブやクラウドストレージに取っておく

  • 過去のバージョンをさかのぼる必要が生じたら、そのときだけGitを活用する

こうすることで、余計な競合や同期トラブルの心配が減り、作業に集中しやすくなりました。

5-2. クラウドストレージはバックアップとして利用

Obsidianのノートをスマホと同期させるのをやめたとはいえ、データのバックアップは必要不可欠です。特に、Obsidianのようなローカルファイルベースのノート管理ツールでは、データの損失が直接作業に影響するため、定期的なバックアップを取ることは重要です。

5-3. スマホでのメモは軽量アプリに集約

スマホで思いついたアイデアや出先での情報収集は、専用の軽量メモアプリを使うようにしています。例えば、以下のようなアプリは起動も早く、テキスト入力にも最適化されているので便利です。

  • Google Keep

  • Appleメモ

  • Simplenote

  • Notion(簡易メモ的に使う)

後でPCに戻ったときに、必要な内容だけObsidianに転記すれば十分です。リアルタイムで同期しなくても、まとめて整理するほうが意外と効率的だということに気付きました。


6. スマホ同期をやめたメリット

最終的に「スマホでの同期をやめる」という決断をしたおかげで、以下のようなメリットを享受しています。

  1. 同期の手間やエラーが減った

    • 競合や手動での復旧作業がなくなり、ストレスフリーになった。

  2. ノート整理に集中できる

    • PC上で腰を据えてノートを編集するため、思考の流れが途切れにくい。

    • プラグインやテーマなど、Obsidianの持つ拡張性をフルに活かせる。

  3. 運用がシンプルになった

    • 「スマホと同期させるためにはどうすればいいか?」を考えなくてもよくなった。

    • 日々のメンテナンスやトラブルシューティングが激減。

  4. スマホで余計な操作をしなくなった

    • スマホでの微調整にとらわれなくなり、メモを取るなら取る、PCで整理するならする、と役割を切り分けられる。

    • その結果、思考や作業のロスが減り、生産性が向上した。


7. まとめ

Obsidianは非常に優れたノート管理ツールですが、その真価を発揮できるのはやはりPC環境での利用が中心だと痛感しました。スマホとの同期は一見便利に見えても、画面サイズや入力方法の制限、競合や同期エラーなど、運用上の煩雑さが増大するリスクがあります。

もしあなたが、

  • 移動中にがっつりMarkdownでノートを書く必要がない

  • PCでの作業時間がメイン

  • 運用のシンプルさを重視する
    という条件に当てはまるなら、思い切ってスマホ版Obsidianの同期をやめるのも一つの手です。代わりに、スマホでは軽量なメモアプリを使い、必要に応じてPCへ転記するだけで問題ない場合が多いでしょう。

私自身は、今後もPC中心のローカル運用を続けつつ、必要なときにだけクラウドストレージを使う形でObsidianを活用していきたいと考えています。Obsidianを「PCでどっしり使うメインツール」、スマホは「アイデアの一時保管先」として割り切ることで、ノート管理の効率や生産性が格段に上がりました。

あなたに合ったObsidianの使い方を探るヒントになれば幸いです。ぜひ、ご自身のワークフローやライフスタイルに合わせて最適な運用を検討してみてください。


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