僕の私のコミックマーケット96一般参加日記(後編)
前編中編はこちら。
8月12日 13時30分
さて、ここからはコスプレ広場に向かい、コスプレイヤーさんを撮影をしよう。馬鹿でかい一眼なんて立派な機材は持っておらず、古くなってバッテリーの減りが早くなってしまったiPhoneSEしかないが大丈夫、なはずだ。
西館1Fから人の流れにのってコスプレ広場に向かう。普段は西⇒東への移動くらいにしか通らず、広場に向かわずにそのまま階段を上ってしまうので、この下の道を通るのは初めてだった。
建物を抜け、眼前に広がったのは噴水を中心とした少し広めの空間、ちょこんと立ったケータリング屋台。そしてそこを埋め尽くすのは、華やかなコスプレイヤーとカメラマンの群れだ。普段、橋の上から見下ろし通り過ぎるだけだった光景が、今目の前に拡がっている。ここでまたテンションがあがった。
コスプレイヤーを撮影している人の手元をよく見てみると、ドデかい一眼や反射板なんていうガッチガチの重装備に身を固めた文字通りのカメラマン!という人もいれば、僕と同じようにスマートフォン一台で撮影をしているような人達もいて、やはり僕が以前抱えていた敷居の高さは偏見だったのだなと改めて実感した。
人と人の間を縫って広場を一通り見て回る。ここまでブラブラと色んなコスプレを目で楽しんでいたが、そろそろコスプレイヤーさんを撮影をするという目的を達成しようではないか。
しかし決意を固めたは良いものの、誰を撮らせてもらおうか。別に誰でもいいから適当に撮影をしたいというわけではないのだ。それは撮影されるコスプレイヤーさんにとっても失礼というものだろう。なるべく自分がその作品をわかっていて、且つ自分の目に止まるようなコスプレをしている方を…。
と、広場をキョロキョロと見回していたら、マントをはためかせ、姿勢もばっちりで、身のこなし方がやたらと堂の入ったコードギアスのゼロが目に入った。よし、この方にしよう。
そうと決まれば早速声をかけてみよう。前に撮影していた人がスマートフォンで撮影していたのもあって、声がかけやすかったというのもあった。
「あの、すみません。一枚撮影してもいいですか?」
礼儀として、これで大丈夫だよな…?と脳内で自問自答しながら、声をかける。すると、ゼロのコスプレイヤーさんは、こちらに気付くと
「少し待て」
と言ってポーズを取って…声すごい似てるな!?アニメを見たときによく聞いていたゼロの声ほぼそのままでかなり驚いた。え、なに?コスプレイヤーさんってここまでやるの!?
そう呆気に取られていると、ゼロのコスプレイヤーさんは左腕を前に出し、もう片腕をマントにひっかける、とてもゼロっぽい立ち方をしてくれていた。なるほどここか。瞬時に判断した僕はiPhoneを構えた。
「じゃあ撮りまーす」
「ありがとうございました!」
笑顔で僕が返すと
「気をつけるがいい」
と最後までゼロのように送り出してくれた。なんと気持ちの良いコスプレイヤーさんなんだろう。
というわけで、こうして僕の人生初のコスプレイヤーさんの撮影が終わった。一度の成功体験を得た僕はその後、次々とコスプレイヤーさんに声をかけていった。
ここからは僕の撮影結果を淡々と貼っていこう。
もう本当に今まで悩んでいたのが何だったのかというくらい撮った。この程度の枚数、慣れた方にとっては雀の涙ほどの枚数かもしれない。だが、僕の今までを考えると、本当に大進歩であると自負している。
そして、ここまで僕が撮った写真を見て、「ガワコスとかネタコスはあるけど、アイマスみたいな正統派顔出し女性コスプレイヤーの写真なくない?」と疑問に思った方、ここで僕の言い訳を聞いてほしい。
ヘタレと取ってもらって構わないが、まだ撮影していいものか不安に思ってしまうところがあったの…。あとなんか女性撮るのちょっと恥ずかしくて…。
今後のイベントでの新たな課題ができた瞬間であった。
8月12日 14時10分
コスプレ広場を一通り堪能した僕が次に向かったのは、ビッグサイトに隣接している防災公園だ。ここもコスプレ広場と同じようにコスプレイヤーさんの撮影ポイントになっている。また、自衛隊が有明防災フェアという展示を同時開催しているようだ。
今回の夏コミで6回目だそうだ。意外と若いイベントらしい。
実は防災公園も今までコミケに参加していて一度も足を踏み入れたことはなかった。もうこの後何の予定もないし、せっかくここまで来たらなんでも体験してみようじゃないか。そう思った僕は、意気揚々と防災公園に足を踏み入れた。
広々とした公園で色んなコスプレイヤーさんとカメラマンが色々なポーズ、さまざまなシチュエーションで写真を撮っていた。かなりスペースに余裕があるおかげか、複数人による合わせの写真や、長物や大型のガワを持ったコスプレが心なしかコスプレ広場よりも多い。
悠々と公園を歩いていた僕の目に突然飛び込んできた人の壁。なんだなんだと思い覗いてみると、様々なポーズを決めるコスプレイヤーさんを中心に、カメラマンの群れがぐるっと大きな円を作っているではないか。
なるほど、ネットなどのまとめで存在は知っていたが、これが有名なコスプレイヤーの撮影風景か。よく見ると近くでタイムキーパーらしい男性が残り何秒かカウントを行っている。恐らく撮影に時間制限があり、それが終わると一旦解散、その後新しい撮影希望のカメラマンを集めるのだろう。
その空気は先ほどまで僕が触れていたもの和やかなものとは違い、なんというか真剣そのもの。ある種殺意に似た仰々しさまで感じた僕は、その雰囲気に思わず気圧された。
この円の一員になるには、まだ僕自身のレベルは足りないようだ。コスプレ界隈独特のルールをまたひとつ知り感心した僕は、静かにその場を後にした。
せっかくなので防災フェアの方も見てみようと思った僕は、そのまま展示の方へ向かった。防災公園と隣接していることもあってか、ここにもコスプレイヤーさんがチラホラ見受けられる。
軍事レーションの販売、軍用車の展示などが行われていた。軍用車に関しては、これに乗って写真撮影なども出来るようで、普段は扱えないシチュエーションだからか、コスプレイヤーさんが多く集まっていたようだ。
もっと他にも展示はあったのだが、生憎ここにきて暑さと空腹によりギブアップ。隣接していたケータリングで遅めの昼食を取ることにした。来年は展示についてももっとゆっくり見ておきたいものだ。
ピザーラだかピザハットだかの屋台でペパロニピザとコーラを買い、テントの下へ向かう。そこそこ席は埋まっていたが、時間が遅いこともあってか無事に座ることができた。
夏の暑さで消耗した身体にピザをつっこみ、それをコーラで雑に流し込む。美味い。デブの代名詞とも呼ばれるコーラとピザの組み合わせだが、このように消耗した時にはこのデブの代名詞こそが最高にキくのだ。デブ、最強。
8月12日 14時45分
さて、ここまで一通り色々と見て回ってきた。経験上、15時以降は国際展示場駅にコミケ帰りの人が溢れかえる。体力的にもここら辺が潮時だろう。幸い、防災公園から駅までの距離もそんなに離れてはいない。
と、いうわけで
ちなみに駅までの移動中にこんなことがあった。
嫌いな人もいるかもしれないが、コスプレイヤーさんが喫煙所でタバコを吸うとか、そういう日常と非日常の中間みたいな風景にエモさを感じてしまう。そういった普段見られない光景が見られるのも、コミケの良いところだろう。
8月12日 15時00分
帰りの電車で座席の腰を下ろしながら一息。僕の今年の夏のコミケはこれで終了した。
今年のコミケは普段とは違う経験を沢山出来て、とても楽しかった。人間、適度に新しい刺激を受けることは大事だ。それが巡り巡って最終的に長生きに繋がっていったりとかするのだろう。知らないが。
ともかく、まだまだコミケは楽しめそうだ。
最寄駅近くの電車内でこんな風景に遭遇するのも、またコミケらしいと思った。
長くなってしまったが、僕のコミックマーケット96の一般参加感想日記は、これで終了である。ここまで長文の記事を読んでいただきありがとうございました。
また何か新しい記事を投稿した際には、読んでいただけると幸いである。ではまた。